6 PRRS-ELISAにおける非特異的陽性反応に対する一考察

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PRRS-ELISAにお ける非特異 的陽性反応 に対する一 考察
西 部家 畜保健 衛生 所
1
○ 梁川 直宏
千代 隆之
はじめに
管 内PRRS陰性A農 場にて 、PRRS-ELISA(ELISA)陽 性反応 があり 、その 後、確 認検査 、疫
調査 を実施 し、 ELISA陽性 反 応は非 特異的 陽性反 応と断 定し、 PRRS陰 性と判 断した 。
当 事 例に つ いて 、「 ワク チ ン履 歴 」「他 疾 病の 抗体 検 査」「 血 清生 化学 的 検査 」「 非特 異
的陽 性反応 の除去 」を4本柱 に、多 角的に 原因追 求を試 みた。
2
PRRS-ELISA陽性反応事例
P R R S -E L IS A
家 畜伝染 病予 防事業 を根 拠に、 A農 場の県 外導
• 1 0 月 25 日
P R RS 陰 性 A 農 場 が ♀ 3 0 頭 県 外 か ら 導 入
入時 に 採血 しELISAを実施 した ところ 、30検 体中
• 1 1 月 13 日
• 1 1 月 14 日
採血
E L ISA
4検体 で 陽性 反 応、 1 検 体で 擬 陽性 反 応が 認 めら
れた 。 採血 時に臨 床症状 は見ら れなか った。
4 検 体陽 性 反応
11 月1 3日 採血
NO
生年 月日
導入 日
11 月1 4日 検査
S/ P比値 (陽性 :0 .4以 上)
判定
11 1 80 32 3
0. 42
陽性
初動 対 応と し て農 場 に連 絡 ・聞 き 取り を 行っ
20 1 80 33 1
0. 70
陽性
21 1 80 33 1 1 81 02 5
0. 49
陽性
た 。臨 床 症状 な し、 農 場自 主 検査 で 陰性 を 確認
24 1 80 40 1
0. 39
-
30 1 80 40 5
0. 50
陽性
し てい る との こ とで あ った が 、結 論 が出 る まで
PRRS-ELISA
隔離 を 指示 した。
当家 保 で保 存 して い た過 去 の導 入 豚や と 畜場
採血 の 未検 査材料 でELIS Aを実施 。過去 導入豚 83
検体 中2検体 陽性、 と畜場 採血 検体は 40検体 陰性
• 導入豚83頭 (2頭陽性)
• 出荷豚40頭 (全陰性)
• RETEST30頭 (再現性あり)
生年
月日
NO
導入日
であ った。 全ての 陽性 検 体を 病性鑑 定室に IFA,R
T-PCR検 査を依 頼した 。
経 時的変 化を 見るた め、 最初採 血から 2週 間後
36
180204 180830
前ロット
計153頭
11月15日検査
9月25日採血
6月26日採血
S/P比値 判定 S/P比値 判定
0.62
陽
性
38 171207 180530
前々前
1.17
ロット
に 同検 体 の 再 採 血及 び 、同 じ 豚舎 内 の前 回 導入
陽
性
豚の 未移動 豚7 頭も併 せて採 血し 、ELISAを 実施
IFA&RT-PCR
した 。IFA、 RT−PCR、 ELISA全 て 陰性 であっ た。
結 果をま とめ ると、 ELISA陽 性検体 に ウイ ルス
RT−PC R
IF A
1 st
2n d
抗体 価
判定
判定
11
< ×2 0
−
−
20
検 体不 足
−
−
21
< ×2 0
−
−
24
< ×2 0
−
−
30
< ×2 0
−
−
36
< ×2 0
−
−
< ×2 0
−
−
NO
遺伝 子検出 なし 、IFA抗 体陰性 、豚舎 内に新 たな
広が りなし 、ELISA陽性 検体の 2 週間 後血清 は抗
体が 陰転し た。
以 上の こ とか ら、ELISA陽性 反応は 、非特 異的
陽性 反応と 断定し 、PRRS 陰性と 判断し た。
3
同居豚
38
多角的原因追求
上 記非 特異 的ELISA陽 性検 体を 用い 「ワ クチ ン履 歴」「 他疾 病の 抗体 検査 」「 血 清生化 学
的検 査」「非 特異的 陽 性反 応の除 去」を 4本 柱 に、 多角的 に原因 追求 を 試みた 。
(1)ワクチン履歴
ワクチン歴の調査
右図の表のとおりのワクチンを接種してい
た。3 回目の 接種後 直ぐに 陸送を してい るため 、
体内 免疫反 応に よるス トレ スやト ラック 陸送 に
ワクチン種
2回目 3回目
着地
豚丹毒
( SE )
ス トレス
(8週齢 )
よる 移動 ス トレ スが考 えら れた。 これら スト レ
グレーサー
スと 非特異 反応 物質に 何ら か の関 わりが ある か
HPn2価
もし れない が 、 科学的 分析 手 法を 検索す る必 要
1回目
9/4
9/25 10/23
(5 ヶ月齢 )
10/25
9/25 10/23 陸送
9/4
(A P P)
(5 ヶ月齢 )
AR(C)
9/4
9/25 10/23
(5 ヶ月齢 )
があ ると思 われた 。
マイコバスター
9/4
ス トレス
9/25 10/23
(5 ヶ月齢 )
(2)他疾病の抗体検査
その他疾病の抗体検査
右図 のと お り行 っ た。 他 のELISA 検 査に お け
る非 特異的 陽性 反応と の相 関はな く、本 疾病 の
◎AD抗原ラテックス 全陰性
◎HC-ELISA 全陰性 (非 特異 反応 なし )
◎SE抗原 ワクチンテイク
◎APP抗原 ワクチンテイク
ELISA抗原 に 特異 的 に反 応 する 非特 異 物質 で あ
ると いうこ とがわ かった 。
※ADV(S)‐ELISAの非特異反応との関係
相関なし
(3)血清生化学的検査
ELISA陽性検 体(右 表白抜 のNo.1∼10)と 陰
性検 体(右表網 掛の NO.11,20,21,24, 30,36,38 )
とグ ループ 分け してド ラ イ ケムを 用いて 血清 生
化 学検 査を 行 った 。 BUNに注 目 する と 、陽 性 グ
ルー プの方 が陰 性グル ープ に比べ て低い 値で 有
生化学検査
No
1
TP
A LB
BUN
血清 におい ては 、 有意 差が なくな った。 この こ
GOT
5.2
1 2.9
1.1
2
7 .1
4.4
1 8.3
3
7 .9
4.7
3 4.4
4
7 .6
4.3
5
7 .7
4.5
6
6 .8
7
7 .3
8
9
10
ALP
41
20 6
1.4
44
21 8
2.3
8 36
29 3
1 1.7
0.9
32
17 5
1 8.4
1.4
1 24
19 4
3.5
8.7
0.7
17
83
4.8
1 0.3
1.0
28
22 8
7 .9
4.8
1 1.6
1.0
47
13 4
7 .3
8 .2
4.5
4.3
1 3.2
1 0.3
1.7
1.0
25
39
14 3
21 9
11
検体不足
20
意差 (5%の危険 率 )が あ っ た。2 週間後 採血 の
CR E
8 .8
9.9
1.2
21
7 .5
4.6
9.6
1.5
42
19 8
24
8 .3
5.1
5.9
1.6
41
15 7
30
7 .7
4.3
1 2.6
1.6
28
22 5
36
9.5
1.5
38
1 0.4
1.1
とか ら、非 特異 的反応 物質 が体内 に存在 する と
きに BUNが 低く なる こと が示 唆 さ れ た 。 個体 ごと によ るス トレ ス の 感受 性や 食欲 (タン パ
ク摂 取) 低下 によ るBUN低下 、非 特 異反 応物 質の 出現 の3 者に 何ら かの 関わ りが あるも の
と考 えられ た。
4
まとめ
ELISA検査 の非特 異反 応の原 因は多 岐に わたり 、血液 材料 に 起因 するも の( 交 差反応 等)、
抗 体や 標 識 な ど 材料 に 起因 す るも の 、マ イ クロ プ レー ト等 の 採用 し てい る 固相 等 の基 本
技 術に 起 因す る もの が 考え ら れる と いわ れ てい る 。こ の度 は 、血 液 材料 に 起因 す るも の
と 想定 し て、 多 角 的 に 原因 追 及を 行 った 。 スト レ スと の関 わ りが 最 も関 係 があ る よう に
思わ れ、今 後 に おいて も、 このよ うな データ を積 み上げ てい きたい と思 う。