熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System Title 維持血液透析医療における酸化ストレスの評価と治療の 最適化に関する研究 Author(s) 宮村, 重幸 Citation Issue date 2016-03-25 Type Thesis or Dissertation URL http://hdl.handle.net/2298/34781 Right 宮村 論文題 目 重幸 論文審査 の要 旨 維持血液透析 医療 にお け る酸化 ス トレスの評価 と治療 の最適化 に関す る研 究 審 査 内容 維 持 血 液 透 析 患 者 で は 、 尿 毒 症 を起 点 と して 、 心 血 管 疾 患 、皮 膚 掻 痒 、 サ ル コペ ニ ア 等 、 多 様 な合 併 症 の リス クが 増加 して い る。 特 に活 性 酸 素 種 生成 系 の充 進 な らび に消 去 系 の 減 弱 化 の結 果 、他 の 疾 患 に比 べ て酸 化 ス トレス の充 進 が 著 しい 。 上 記 の 合 併 症 の発 症 な らび に進 展 に 関 与 す る酸 化 ス トレス を制 御 ・軽 減 で き る新 た な 治療 戦 略 を実 施 す る た め に は 、個 々 の患 者 の 酸 化 ス トレス を適 切 に 評価 す る こ とが極 め て 重 要 で あ る。 EsI-TQFMsを (Cys-HSA率)の 用 い た ヒ ト血 清 ア ル ブ ミン(HsA)のcys34残 基 の レ ドッ ク ス 状 態 解 析 が 、簡 便 、迅 速 、 高感 度 か つ 低 コス トな酸 化 ス トレス マv-・ 一 ・"カ ー と して 臨 床 検 査 に応 用 で き る とい う報 告 に基 づ き、維 持 血 液 透 析 患者 に 対 す る各 種 治 療 法 な らび に治 療 条 件 を抗 酸 化/酸 化 ス トレス の観 点 か ら最 適 化 す べ く、 血 清Cys-HSA率 を 指標 と して 臨床 研 究 に よ る検討 を行 っ た。 まず 、(1)透 析 専 門 医 を対 象 と した酸 化 ス トレス/抗 酸 化 療 法 に 関す る ア ンケ ー ト調 査 か ら、医療 ニ ー ズ を的 確 に把 握 し、次 に 、(2)血 観 察研 究 に よ り検 討 し、online-HDFの 液 浄 化 法 に よ る影 響 に つ い て 前 向 き 有 用 性 を明 らか に し、血 清Cys-HSA率 が血漿 中プ テ リジ ン濃 度 と も正 の相 関性 を示 した こ とか ら、 血 管 内皮 機 能 障害 を評 価 す る新 た なマ ー カ ー と して も有 用 で あ る こ とを示 した 。ま た 、(3)活 性 炭 サ プ リメ ン トの 併 用 に よ る 酸 化 ス トレス の軽 減 作用 、 な らび に 、酸 化 ス トレス の 充 進 が懸 念 され る鉄 を含 む 経 ロ リ ン吸 着 薬 が 酸 化 ス トレス を誘 導 しない こ と も明 らか に した 。さ らに 、(4)血 清Cys-HSA 率 が 市 販 の アル ブ ミ ン製 剤 の 質 的 評 価 にお け るマ ー カ ー と して有 用 で あ る こ とを検 証 し た。 本研 究 は、 透 析 患 者 の酸 化 ス トレス状 態 を簡 便 に予 測 す る手 段 と して 、 血清 ア ル ブ ミ ンの レ ドック ス状 態 の変 化 に着 眼 した 点 がユ ニ ー クで あ り、 基 礎 ・臨床 の 両 面 か らの ア プ ロー チ は意 義 深 い。 本 研 究 で 得 られ た知 見 は透 析 患者 にお け る抗 酸 化 治 療 や 血 漿 分 画 製 剤 の 評 価 にお け るアル ブ ミン解 析 の 臨床 的有 用 性 を提 示 す る もの で あ り、独 自性 の 高 い 論 文 と して評 価 で き る。 ま た 、 これ らの知 見 は透 析 患者 ・慢 性 腎臓 病 患 者 の 心 血 管 疾 患 発 症 阻 止 に 関す る重 要 な 情 報 を含 ん でい る。 以 上 の こ とか ら、本 論 文 は博 士 の 学位 論 文 に相 当す る 内容 を十 分 に含 む もの と判 定 した。 生命分析化学分野 教 授 森岡 弘志 審査委員 薬剤情報分析学分野 教 授 入江 徹美 審査委員 臨床薬理学分野 教 授 平田 純生 審査委員 臨床薬物動態学分野 教 授 齋藤 秀之 糞 ㊥劔 審査委員
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