分かる授業 1 「ねらいを明確に」ってどういうこと? 「ねらいを明確に」するため、学習課題を黒板に分かりや す く 示 し て い ま す 。( 初 任 者 の 声 ) こうした方 法 によって、子 どもは授 業 の「ねらい」を意 識 することができます。 では、教 師 は、子 どもに示 す「ねらい」をどのようにして決 めればよいのでしょうか? 教 科 書 の文 章 から引 用 する、指 導 書 に書 いていることを示 す……、それでは、十 分 とは言 えません。 「ねらいを明 確 に」するためには、学 習 指 導 要 領 に示 された“教 科 等 の目 標 や内 容 ”と“子 どもの実 態 ”を踏 まえて、「教 材 研 究 」を行 うことが大 切 です。 参考「授業における学習を大きく左右するのは、子どもの取り組む教材である。 教 材 と は 、 教 育 内 容 を 子 ど も の 学 習 の た め に 具 体 化 し た 素 材 で あ る 。」 ( 国 立 教 育 政 策 研 究 所 「 学 習 意 欲 向 上 の た め の 総 合 的 戦 略 に 関 す る 研 究 」) 教材研究の二つの視点 1 目標・内容に基づいて教材の本質を明らかにする。 2 子どもの立場から教材の意味を検討する。 【目標・内容に基づいた教材研究】 ① 学習指導要領に示された教科等の目標や内容を把握する。 ② 単元で育てたい資質や能力の系統的な位置付けを明確にする。 ③ 単 元 の 目 標 を 具 体 的 に 分 析 し 、教 師 は 何 を 教 え 、子 ど も た ち が 何 を 分 か り 、 何ができて、何に気付けばよいのかという指導内容を明らかにする。 ④ 単 元 で 扱 う 教 材 に は 、ど の よ う な 特 色 が あ る の か 、単 元 の 目 標 を 達 成 す る ためにどのような働きがあるのかを分析する。 【子どもの立場から考える教材研究】 ① 子 ど も が 興 味・関 心 を 向 け る 対 象 や 、活 動 へ の 思 い や 願 い 、こ れ ま で の 体 験や既に身に付けている習慣や技能等を把握する。 ② 子 ど も が 、今 行 っ て い る 学 習 が 自 分 に と っ て ど の よ う な 意 味 が あ る の か を 意識できるように、子どもの身近な生活と結び付けて教材を検討する。 ③ 一 人 一 人 の 姿 を イ メ ー ジ し な が ら 、子 ど も が 教 材 を ど の よ う に 解 釈 す る か 綿密に予想する。 分かる授業 授業を想定した教材の再検討 教材の本質を明らかにし、子どもの姿が予想できたら、教材を提示する順序 やタイミング、効果的な指導方法など、実際の授業を想定して、再度、教材を 検討します。必要に応じて、教材を補ったり変更したりします。 授 業 を 想 定 す る 際 に は 、「 活 動 」 と 「 内 容 」 を 区 別 し て お く こ と が 大 切 で す 。 こんな経験はありませんか? 研 究 授 業 で 、子 ど もたちは意 欲 的 に 活 動 しま した。「いい授 業 ができ たなぁ 。」 と 思 っていると、先 輩 の先 生 から、「子 どもたちが元 気 いっぱい活 動 していたね。それ はいいことだよ。でも、この時 間 のねらいって何 ?」と言 われました。 活 動 は 目 に 見 え る 分 、意 識 し や す く 、子 ど も が 楽 し そ う に 活 動 し て い る と 、教 師 は そ れ で 満 足 し て し ま い が ち で す 。し か し 、い か な る 活 動 も 内 容 の 習 得 を 目 指 して組み立てるものです。内容を明確に意識しておくことが大切です。 例 え ば 、総 合 的 な 学 習 の 時 間 に お い て 、自 分 た ち で 米 を 栽 培 し 、収 穫 後 調 理 す るという授業(単元)を考えてみましょう。 活 動 や 体 験 は そ れ 自 体 が 楽 し く 、子 ど も は 意 欲 的 に 取 り 組 み ま す 。し か し 、教 師 が 学 習 活 動 を 通 し て 習 得 さ せ る 内 容 を 意 識 し て い な け れ ば 、「 活 動 あ っ て 学 び なし」となります。 では、この学習では、どのような内容の実現が期待できるでしょうか。 ○ 米作りを通して、水管理、病気、害虫、農薬などについて考え、環境問 題が自分たちの生活と密接に関わっていることに気付く。 ○ 米作りの方法や収穫物の生かし方に見られる文化や先人の知恵のすば らしさに気付く。 ○ 地域の農業や生産者の現状と日本の食文化の変化について調べること を 通 し て 、自 分 た ち の 食 生 活 に つ い て 考 え る 。 など 内容を習得させるために、どういった素材を教材化し、学習活動を組み立て るのか。そこがしっかりとしていなければ、子どもたちにねらいを実現させる ことはできません。 子 どもの学 習 意 欲 が高 まるような素 材 はないか、教 師 自 身 が日 常 生 活 の中 で常 にアンテナを張 り巡 らし、教 材 研 究 を楽 しみましょう。
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