若手へのアドバイス 出席者に若手が多いと思ったら、 新入会員の

2 1 6 若手へのアドバイス
者の解説に頼らざるを得ない難解な
制度が存在するが、そこで立ち止ま
り、別の視点で考えてみる。それが
非常識を語る事だ。知識は、非常識
を語る事によって、立法趣旨や、そ
の制度の射程距離を把握することが
できる。
出席者に若手が多いと思ったら、
新入会員の歓迎を兼ねた講演会だっ
た。さて、若手に、なんとアドバイ
スするか。何十年の業界、あるいは
人生経験から得た教訓を語っても、
若い人達に、それが理解できるはず
がない。若い人達には、若い人達に
向けたアドバイスがあるだろう。
さて、私がアドバイスするとした
ら次のような視点だろうか。
①常に、熱中するモノを持ちなさ
い。②常に、物事の本質を追求しな
さい。③常に、自分の無知を怖れな
さい。④常に、非常識を語りなさい。
⑤今日、1 つ、発見しなさい。⑥挑
戦しなさい。⑦違和感を大切にしな
さい。⑧正義を主張しなさい。⑨権
威を否定しなさい。⑩知恵を求めな
さい。⑪カネは結果だと考えなさい。
⑫自分の価値観に拘りなさい。⑬名
誉、権威などは目標にしない。⑭常
に完璧を求めなさい。⑮自分の原理
原則を守りなさい。
この業界で2 0 年、3 0 年のベテ
ランなら、この言葉だけで理解して
貰えると思う。しかし、受験勉強を
終え、初めて自分の責任で実務を担
当する人達は、税理士業務について、
恐らく、「申告書を作成する仕事」
と認識していると思う。しかし、仮
に、申告書を作成するだけだったと
しても、誰が申告書を作成するかに
よって結論は異なるのだ。
さて、これら項目の幾つかを説明
すれば、まず、④の非常識を語る事
だ。誰でも、自分自身の常識を語っ
ている。しかし、それが正しい常識
なのか。それは非常識と比較して検
証しなければ分からない。それは考
え方の問題になるだけではなく、税
法知識の習得にも必要な視点だ。組
織再編成税制、グループ税制、事業
承継税制など、税理士業界には権威
- 1 -
②物事の本質を求め、⑫自分の価
値観に拘り、⑭常に完璧を求め、⑮
自分の原理原則に拘ることも重要だ。
ネットを検索すれば答が見付けられ
る時代。東大生の論文の7 5 %がネッ
トのコピー&ペーストで造られてい
たと報道される時代、答は努力しな
くても見付けられる。しかし、バラ
バラの答は、トランプの神経衰弱と
同様に、バラバラの知識でしかない。
各々のピースに分かれた知識を拾い
集めて1 つの絵を描き出すジグソー
パズルのように知識を体系化してお
けば、他の事例に応用できるし、何
よりも、自分の生き方に、体系化し
た知識を生かすことができる。
その為に必要なのが⑦違和感に拘
ることだ。自分の中に完成しつつあ
る知識体系、あるいは価値観体系が、
違和感センサーとして、ネットで検
索したピース一片の知識にアラーム
を鳴らす。ふと感じた違和感を無視
したツケを支払うことになった先輩
達は多いはずだ。いや、1 5 個のキ
ーワードで語れるほどには人生は簡
単ではない。必要なのは、常に、③
自分の無知を怖れる謙虚さなのだ。
1 2 3 3 字