サンプルレポート - 水野真澄 中国ビジネスコンサルティング

初心者でもわかる!
中国ビジネス担当者マニュアル
ステップワン
国際税務 編
(恒久的施設・183 日ルール・源泉徴収課税)
監修・執筆
Mizuno Consultancy Holdings Ltd.
代表取締役社長 水野真澄
制作・販売
株式会社チェイス・チャイナ
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目
次
第 1 部 恒久的施設認定(PE 課税)
1.PE とは何か
2.PE 認定されると何が起こるのか
3.PE 認定されない条件
4.中国の PE 課税の経緯
5.常駐代表処の PE 認定
6.コンサルティング PE
7.出向者の身分否定の PE
第 2 部 出張者の給与課税(183 日ルール)
1.183 日ルールとは
2.非居住者の個人所得税課税
3.役員報酬の取扱い
第 3 部 源泉徴収課税
1.配当・利子・使用料・譲渡所得に関する登記義務
2.租税条約適用のための事前登記
3.源泉徴収課税手続の経緯
4.源泉徴収される税金
5.源泉徴収される税金の負担者
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第1部
恒久的施設認定(PE 課税)
1.PE とは何か
恒久的施設(Permanent Establishment; PE)とは、非居住者の営業拠点を指す専門用
語で、国際課税では非常に重要な概念です。
PE の概要と意義、そして PE 認定を受けた場合の影響を解説します。
①
PE とは、非居住者の営業拠点の事。
支店・工事事務所などが代表的な PE の例と言える。
②
PE の概念が重要になってくるのは、PE の有無で非居住者の事業所
得(物品売買益等)の納税義務が変わってくるため。
③
PE は支店・工事事務所などの様に実際に登記された拠点だけでなく、
「営業拠点を構築しているのと同じ様な活動を行っている」と認定される事で、実際には
拠点は無いのに有るものとみなされる場合がある。この様な PE を「みなし PE」という。
PE とは具体的に何を指すの?
P
E というのは国際課税を語る時に必ず出てくる用語だけど、非常に分かりにくいの
で抵抗感を持っている人が多い。経理・税務を専門としている人以外は、大部分が
抵抗感を持ってるんじゃないかな。
会社で PE という用語が使用される場合、
「(PE 認定リスクがあるので)この取引は行って
はいけない。若しくは、注意しろ」という結論に結びつく場合が多いからね。ただ、PE と
いうのは「非居住者の営業拠点」を指しており、代表的な例は支店(海外支店)
だ。支店は独立した法人格を持っておらず、海外支店であっても法務上・税務上
本店の一部なので、支店は外国企業(本店)の純然たる営業拠点(PE)。支店所
在地国がその支店に法人税を課税するというのは、外国企業に対して課税してい
る事を意味しているからね。
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代表的な PE である海外支店はどうなの?
代
表的な PE は支店だと言うと、
「海外支店なんてたくさんある。PE 認定が怖いな
ら、支店も作れないはずだし、PE 認定リスクがあるからビジネスがで
きないというのは矛盾しているんじゃないか」と思うよね。その答えは、
「PE 認定で怖いのは、みなし PE 認定だ」という事。その理由は次で解説するよ。
みなし PE 認定が怖いとされているのはなぜ?
支
店というのは一番わかりやすい PE だけど、それ以外には工事現場(6 ヶ月を超
過する場合)や天然資源の採掘場などが PE の例として挙げられている。これら
の組織は、その国での収益獲得を目的とした組織だからね。
ただ、PE 認定で概念的に分かりにくく、且つ、怖いのは「みなし PE」と呼ばれるものだ。
日中租税条約に規定されている PE の定義は下の通りだけど、実際の拠点ではなく、出張者
を長期間派遣していたら PE と認定されてしまう(コンサルティング事務所があると認定さ
れてしまう)場合や、代理人を起用したら PE と認定されてしまう場合があるのが分かるよ
ね。この様なみなし PE は支店や工事事務所とは違って、
(当然の事ながら)拠点としての
登記もないし、経理記帳もしていない。そのため、どの様な活動をしていてどの程度の収
入・費用があるかを立証するのは困難と言える。その様な状況で課税が行われると、税務
局から何を言われるか(どの程度の所得を査定され、どの様な方法で課税される
か)がわからない。
つまり、PE は怖いという趣旨は、基本的には「みなし PE 認定されると、リス
クのマグニチュードが想定しづらいから怖い」という意味だと考えてもいいんじ
ゃないかな。
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