ブラジル、インフレ抑制から4会合連続の利上げを決定

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マーケットレポート
2015年3月5日作成
ブラジル、インフレ抑制から4会合連続の利上げを決定
今回のポイント
 ブラジル中央銀行は現地3月4日、政策金利を12.25%から12.75%に引き上げることを決定しました。
 債券市場については、ある程度の利上げ実施が織り込み済みであることや、当局のインフレ阻止に向
けた強い姿勢から長期ゾーンの国債利回りは上昇しにくいとみています。
 為替市場では、引き続き1レアル=40円台半ばを中心としたレンジでの推移を想定しています。
金融政策について
政策金利の推移
ブラジル中央銀行は現地3月4日、金融政策委員
会において、政策金利を12.25%から12.75%に引き
上げることを全会一致で決定しました。利上げ幅に
ついては大方の予想通りの結果となっています。利
上げ実施は前回1月に続いて4会合連続となり、
2013年4月から始まった利上げ局面では計13回、利
上げ幅は計5.5%となっています。
(%)
今回、声明では前回と同様に「マクロ経済シナリオ
やインフレ見通しに基づいて今回0.5%の利上げを
決定」としており、今後の方針については触れられな
かったため、今後の追加利上げの実施幅等を推し
測る材料とはなっていません。詳細については後日
発表予定の議事録公表が待たれる状況です。
(2012年3月2日~2015年3月4日)
14
13
12
11
10
9
8
7
6
12/3
12/9
13/3
13/9
14/3
14/9
※政策金利はSelicレートを使用しています
15/3
(年/月)
(出所:BloombergのデータをもとにDIAM作成)
ブラジル経済の動向
ブラジルの12月鉱工業生産や小売売上高は低迷
しており、2014年通年の経済成長についてもほぼゼ
ロ成長となることが予想されています。2期目に入っ
たルセフ政権下では、市場予想以上に財政の緊縮
が図られる方向で進んでおり、これまでの軟調な景
気情勢が上向く兆しはみられていません。
また、ここ数年、景気対策を積極化させた副作用な
どによるインフレ懸念が高まりをみせており、長らく金
融引き締め局面に入っています。これまでの金融引
き締め効果は限定的となっており、食品価格の上昇
と交通料金や電力料金の値上げもあり、2015年1月
のインフレ率は前年比+7.14%と同国のインフレ目標
レンジの上限(+6.5%)を上回っています。
インフレ率の推移
(%)
(2012年1月~2015年1月)
7.5
7.0
6.5
6.0
5.5
5.0
4.5
12/1
12/7
13/1
13/7
14/1
14/7
※インフレ率は消費者物価指数(前年比)を使用しています
15/1
(年/月)
(出所:BloombergのデータをもとにDIAM作成)
※上記の見通しは作成時点のものであり、事前の予告なく変更される場合があります。上記は、将来の市場動向を示唆・保証するものではありません。※巻末
のご注意事項等を必ずご確認ください。
商 号 等 / DIAMアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第324号
加入協会/一般社団法人投資信託協会
一般社団法人日本投資顧問業協会
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市場においても依然としてインフレ率の上昇
予想は強く、今後も公共料金の値上げが予定
されていることから、次回会合(4月28日、29日
開催予定)においても利上げ実施が見込まれ
ます。
また、格下げリスクが高まっている中、国営
石油会社ペトロブラスをめぐる汚職問題や電
力不足に対する懸念から、同国の信認を維持
する対策の必要性が重要課題として挙がって
います。そのため、これまで軽視されがちで
あった財政改革を推し進めざるを得ない状況
にあるとともに、インフレについても積極的に
抑え込む方針であることから、ブラジル経済の
先行きが懸念される状況となっています。
金利の推移
(%)
(2012年3月2日~2015年3月4日)
下落 14
13
12
11
債券
価格 10
9
8
上昇
7
12/3
12/9
13/3
13/9
14/3
14/9
15/3
(年/月)
※金利は4年国債利回り(2012/10/2以前は3年国債利回り)を使用しています
今後の市場見通し
債券市場については、今回の声明内容から
は次回以降の利上げ幅について方針が示唆
されなかったことから、今後発表される経済指
標や要人発言に注目が集まっている状況とみ
られます。債券市場では、来年初め頃までに
さらに0.5%程度の利上げ実施が織り込まれ
ていることや、当局のインフレ阻止に向けた強
い姿勢が続いていることから長期ゾーンの国
債利回りは上昇(価格は下落)しにくいとみて
います。
為替市場については市場の注目が米国の
利上げ観測に伴う米ドル高に集まりやすい
中、ブラジルでは目先、景気回復が見込みに
くいことから、対米ドルではレアルの上昇余地
は限定的とみています。なお、円安米ドル高
が進む中、対円では底堅く推移しており、1レ
アル=40円台半ばを中心としたレンジ圏での
推移を想定しています。
(出所:BloombergのデータをもとにDIAM作成)
為替の推移
(2012年3月2日~2015年3月4日)
現地通貨 (円)
高
55
(ブラジルレアル、逆目盛)
ブラジルレアル/円(左軸)
米ドル/ブラジルレアル(右軸)
1.2
50
1.7
為替
レート 45
2.2
40
2.7
現地通貨
35
安
12/3
12/9
13/3
13/9
14/3
14/9
3.2
15/3
(年/月)
(出所:BloombergのデータをもとにDIAM作成)
このような中、短期金利が13%台で、ブラジ
ルレアルが対円でレンジ圏で推移する場合、
対円でのブラジル短期債への投資妙味がある
とみています。
※上記の見通しは作成時点のものであり、事前の予告なく変更される場合があります。上記は、将来の市場動向を示唆・保証するものではありません。※巻末
のご注意事項等を必ずご確認ください。
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