メキシコ、緊急会合で政策金利引き上げなどを決定

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マーケットレポート
2016年2月18日作成
メキシコ、緊急会合で政策金利引き上げなどを決定
今回のポイント
 現地2月17日、同国の財務大臣と中央銀行総裁が共同で声明を発表し、財政支出の削減とともに、緊
急の金融政策決定会合において、政策金利を3.25%から3.75%へ引き上げることを決定しました。
 今回、為替介入の手法を直接市場介入に大きく転換したことから、ペソは上昇しました。債券市場では
短期国債の利回りは上昇、長期国債の利回りはもみ合う展開となりました。
 今後の為替市場については、底堅く推移するとみられ、債券市場については、短中期国債に利回り上
昇圧力がかかると想定されるものの、長期国債の利回り上昇幅は限定的と予想されます。
金融政策について
政策金利の推移
(%)
メキシコ中央銀行は現地2月17日、緊急の金
融政策決定会合において政策金利を3.25%か
ら3.75%へ引き上げることを決定しました。この
決定の背景として、世界の金融市場の値動きが
不安定化する環境下、原油価格の低迷を受けて
メキシコペソが大幅に下落し、インフレ率の上昇
リスクが高まっていることを挙げました。また、声
明文において、今回の政策金利の引き上げは、
「新たな利上げサイクルの始まりではない」として
おり、米国の金融政策や原油価格の動向、およ
び通貨とインフレ率への利上げによる影響を精
査しつつ、柔軟な政策対応が行われると期待さ
れます。
(2013年2月15日~2016年2月17日)
5.0
4.5
4.0
3.5
3.0
2.5
13/2
13/8
14/2
14/8
15/2
15/8
16/2
(年/月)
※政策金利は翌日物金利を使用しています。
インフレ率の推移
メキシコ経済の動向
(%)
5.0
1月の消費者物価指数については、2.61%の
上昇と中央銀行の目標値を下回る水準だったも
のの、市場予想を上回っており、12月の2.13%
から大幅に上昇しました。今後、インフレ率が上
昇傾向となるかが注目されます。
(2013年1月~2016年1月)
4.5
4.0
3.5
3.0
また、鉱工業生産は市場予想を下回り、原油
価格の下落が引き続き同国の経済の重石となる
とみられるものの、主要な貿易相手国である米
国の景気が堅調であることから、同国の経済もプ
ラス成長を維持している状況と考えられます。
2.5
2.0
13/1
13/7
14/1
14/7
15/1
15/7
16/1
(年/月)
※インフレ率は消費者物価指数(前年比)を使用しています。
(出所:BloombergのデータをもとにDIAMアセットマネジメント作成)
※上記は、将来の市場動向を示唆・保証するものではありません。※巻末のご注意事項等を必ずご確認ください。
商 号 等 / DIAMアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第324号
加入協会/一般社団法人投資信託協会
一般社団法人日本投資顧問業協会
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160218情報メキシコ金融政策-1
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今後の市場見通し
緊急の政策金利引き上げを受けて短期
国債の利回りが上昇する一方、財政健全
化策が評価され、長期国債の利回りはもみ
合う展開となりました。また、メキシコペソに
関しては、ルールに基づく入札方式での介
入から、状況に応じて直接為替市場で自国
通貨買い介入を実施する方式へ大きく転
換させ、通貨防衛の姿勢がより鮮明となっ
たことで、対米ドルおよび対円で上昇しまし
た。
会合後の声明文で、新たな利上げサイク
ルの始まりではないことが明示されましたが、
通貨とインフレ率の動向に応じ、中央銀行
が柔軟に為替介入や政策金利引き上げな
どの自国通貨防衛策をとる姿勢が示されま
した。また、同時に財政健全化策も発表さ
れており、通貨を防衛し、インフレ率を抑制
する姿勢が明確になりました。
今後の為替市場については、上述の取り
組みを受けて、メキシコペソは底堅く推移
するとみられます。また、債券市場につい
ては、追加利上げの可能性が意識されるこ
とから、短中期国債に利回り上昇圧力がか
かると想定される一方、当局の明確なイン
フレ率抑制の姿勢を背景として、長期国債
の利回り上昇幅は限定的と予想されます。
金利の推移
(%)
(2013年2月15日~2016年2月17日)
下落 6.0
5.5
5.0
債券
価格 4.5
4.0
上昇
3.5
13/2
13/8
14/2
14/8
15/2
15/8
※メキシコの金利は5年国債利回りを使用しています。
16/2
(年/月)
為替の推移
(2013年2月15日~2016年2月17日)
現地通貨 (円)
9
高
為替
レート
(メキシコペソ、逆目盛)
10
8
12
7
14
6
16
5
18
メキシコペソ/円(左軸)
米ドル/メキシコペソ(右軸)
現地通貨
安
4
13/2
13/8
14/2
14/8
15/2
15/8
20
16/2
(年/月)
(出所:BloombergのデータをもとにDIAMアセットマネジメント作成)
主要新興国の状況
その他の新興国の動向としては、2月17日に米国大手格付け会社がブラジルの格下げを発表しました。外貨
建て長期債の格付けをBB+からBB、自国通貨建て長期債の格付けをBBB-からBBに格下げし、格付け見通し
をネガティブとしました。背景には財政再建の不透明感や低迷する経済があるとしています。また、2月18日に
はインドネシアの金融政策決定会合が予定されており、市場では利下げ予想が優勢となっています。今後、
景気減速が懸念されている新興国の政策運営のかじ取りには、注視する必要があると考えています。
※上記は、将来の市場動向を示唆・保証するものではありません。※巻末のご注意事項等を必ずご確認ください。
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