グローバルマーケットトピックス(GMT)2月27日号 (PDF

グローバル・マーケット・
トピックス
2015/
2/27
投資情報部
シニアストラテジスト
半杭 亮一郎
海外に事業機会が広がる日本の防衛産業
 2014年4月に「防衛装備移転三原則」が決定。武器輸出基準が大幅緩和された背景として、
日本の安全保障環境の変化や国際共同開発の広がりへの対応、国内防衛関連メーカーの
海外販路開拓の狙い等が挙げられる。
 国内防衛産業を巡る環境として、日本の防衛関係費がここ数年で大幅増加となっていること
や、「純国産ステルス戦闘機」の開発検討の動き等にも注目。
 防衛装備移転三原則のもと、政府はすでに三菱重工業が生産するミサイル部品の対米輸出
や、三菱電機と英企業のミサイルの精度を高める技術の共同研究を承認。
日本の 武器輸出の
基本方針が条件付き
容認に大きく転換
日本の防衛産業の海外展開に向けた動きが注目されている。従来の「武器輸出
三原則」では国内の防衛産業による武器輸出を原則的に禁じ、必要に応じて例外
をつくってきたが、それに代わる新たな基本方針として「防衛装備移転三原則」が
2014年4月に決まり、一定の条件を満たせば輸出や国際共同開発が認められるよう
になったためである。
防衛装備移転三原則の主な内容
(1) 移転を禁止する場合の明確化<第一原則>
①日本の締結した条約その他の国際約束に基づく義務に違反する場合、②国連
安保理の決議に基づく義務に違反する場合、③紛争当事国への移転になる場
合、は防衛装備の海外移転を認めない
(2) 移転を認める場合の限定、厳格審査、情報公開<第二原則>
移転を認めるのは、①平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合、②日
本の安全保障に資する場合、等に限定し、厳格審査を行う
特に慎重な検討を要する重要案件は国家安全保障会議(NSC)で審議し、政府
として情報を公開
(3) 目的外使用、第3国移転に係る適正管理の確保<第三原則>
目的外使用や第3国移転について、原則として日本の事前同意を相手国政府に
義務付け
出所:防衛省の資料よりみずほ証券作成
この防衛装備移転三原則では、「第一原則」で防衛装備の海外移転を禁止する
例を明確に示すとともに、「第二原則」で移転を認める場合の条件(目的の限定、厳
格な審査、情報公開)を規定、そして「第三原則」で輸出先の目的外使用や第3国
移転にかかる適正管理の確保を定めている。より具体的にみると、まず海外移転で
きない対象として、国連決議による禁輸国や紛争当事国等を列挙。それ以外にお
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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いて、平和貢献や日本の安全保障の強化につながると判断されれば、厳格な審査
を経たうえで輸出が行なえるとした。実際の運用では、防衛装備の性質や相手国に
応じて3段階で移転の可否を審査する体制をとり、前例がない国への輸出等、高度
な政治判断が必要な「重要案件」は国家安全保障会議(NSC)の閣僚会合に委ねる
としている。透明性確保の観点から、重要案件の輸出を決めれば政府は速やかに
公表する。また、日本からの装備が紛争を助長したり、紛争国に渡ったりしないよう
にする歯止め策として、輸出先の政府や企業が第3国移転や目的外使用をする場
合は、日本の事前同意を得るよう義務づけている。
周辺国の 軍備拡張
の動きや、防衛装備
品の 国際共同開発
の流れを踏まえる
このように日本が武器輸出の基本方針を原則禁止から条件付きの容認へ大きく転
換させた狙い・背景としては、主に以下の点があろう。まず、中国の東シナ海での活
動拡大や、北朝鮮が核・ミサイル能力を高める等、日本の安全保障環境が変化する
なか、装備の輸出や共同開発を通じて米国をはじめ友好国との安保協力を進める
ためである。例えば、海難救助や警戒監視を支援するための装備品輸出が可能と
なったことは、日本と同様に中国の海洋進出に直面しているフィリピンやベトナム、
インド等、シーレーン(中東からの石油を運ぶタンカーが通る海上交通路)沿岸国と
の関係強化を図るうえで重要といえる。また、防衛装備品は近年、技術の高度化で
開発費や生産費が上昇しており、国際的には各国で経費を分担し、事業のリスクを
抑える共同開発の流れが強まっていることも挙げられる。さらに、そうした国際共同
開発は、従来の武器輸出三原則によって内需(自衛隊向け)に依存してきた国内防
衛関連メーカーの海外販路の開拓、技術取得等につながる。武器輸出基準の大幅
緩和は、国際競争にもまれず、海外に比べて高いコスト構造とされる日本の防衛産
業の競争力底上げ、および商機拡大を狙う意味合いもあるだろう。
中国の国防費の推移
(億人民元)
8,000
(%)
(年次:1986~2013)
35
7,000
30
対前年伸び率(右目盛)
6,000
25
5,000
20
4,000
15
3,000
2,000
10
国防費額(左目盛)
5
1,000
0
0
86
88
90
92
94
96
98
00
02
04
06
08
10
12
(年)
出所:中国財政部資料、CEICデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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防衛装備品の国際共同開発の具体例
装備品
開発開始時期
部隊配備年
輸送機(A400M)
1982年
2013年
戦闘機(ユーロ・ファイター)
戦闘機(F35)
1986年
2001年
2003年
部隊未運用
無人機(ユーロ・ホーク)
2005年
無人機(ニューロン)
2005年
参加国
英国、フランス、ドイツ、イタリア、
スペイン等8ヵ国(2003年までに米国脱退)
英国、ドイツ、イタリア、スペイン
米国、英国、オランダ、イタリア等9ヵ国
共同開発中止 米国、ドイツ
部隊未配備
フランス、スウェーデン、イタリア、スペイン
等6ヵ国
出所:「2014年版防衛白書」よりみずほ証券作成
高い技術力を有する
日本の防衛関連メー
カーの事業機会が拡
大へ
日本の防衛関係費は、安全保障環境が一層厳しさを増すなか、2015年度も4兆
9,801億円(米軍再編関連費用を含む)と3年連続で増額され、過去最大となる見通
し。また、政府は日本単独で手掛ける「純国産ステルス戦闘機」を開発することの検
討等も進めている。今後の輸出や国際共同開発の増加見通しとあわせ、国内の防
衛関連メーカーの事業環境は好転しているといえよう。日本の装備品を巡っては、
世界の国防関係者の間で、半導体技術や電子デバイス、通信機器等への関心が
高いとされ、民生用部品を防衛向けに転用するデュアルユース品も含め、海外の軍
需企業で日本製品の受注機会が増えることが期待されている。
日本の防衛関係費の推移
(億円)
50,000
(年次:1997~2015)
49,500
49,000
48,500
48,000
47,500
47,000
97
00
03
06
09
12
15 予
(年度)
(注)米軍再編関連費用を含む、2015年度は見通し
出所:防衛省の資料等よりみずほ証券作成
日本の防衛産業の市場は年1兆6,000億円ほどと世界全体の規模に比べて小さ
く、国内最大手の三菱重工業(7011)の防衛売上額は米ボーイングや米ロッキード・
マーチン等、欧米大手の10分の1程度にとどまるとされている。それだけに、高い技
術力を誇る日本の防衛関連メーカーの海外展開の動きは、株式市場においても関
心が強い。主な国内メーカーとしては、戦闘機や潜水艦、特殊車両で三菱重工業、
輸送機や敵艦を監視する哨(しょう)戒機で川崎重工業(7012)、航空機エンジンで
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IHI(7013)、飛行艇で新明和工業(7224)、敵機をとらえるレーダー装置でNEC
(6701)や三菱電機(6503)、等が挙げられる。
新たな防衛装備移転三原則のもと、日本が防衛装備の輸出や共同研究を行う案
件としては、昨年7月に三菱重工業が生産している迎撃ミサイル「パトリオット2
(PAC2)」に搭載される高性能センサの対米輸出や、三菱電機と英防衛大手MBDA
が参加する最新鋭ステルス戦闘機「F35」用ミサイルの精度を高める技術の共同研
究が、NSCで審査する重要案件として政府から承認されている。三菱重工業は、従
来からPAC2用のセンサを自衛隊向けに手掛けている。
また、友好国との安保協力上、政府は海難救助や海上の警戒監視に活用できる
飛行艇、巡視船等の輸出も視野に入れているものと思われる。例えば、新明和工業
が生産する自衛隊の救難飛行艇「US-2」は、世界で唯一、高さ3mの荒波でも安定
着水でき、航続距離が長い等の優れた性能を持つことで、インドが輸入に関心を示
しており、同国との間で協議が重ねられている。オーストラリアも、2020年代半ばに
導入予定の新型潜水艦の設計・建造にあたる提携先を日本とドイツ、フランスの3ヵ
国に絞り込んだと発表しており、三菱重工業と川崎重工業が建造する「そうりゅう」型
の輸出に期待が集まる。
主な国内防衛関連メーカー
4403
5631
6203
6208
6301
6503
6701
6751
6946
日油
日本製鋼所
豊和工業
石川製作所
コマツ
三菱電機
NEC
日本無線
日本アビオニクス
防衛用火薬類(発射薬等)
火砲システム、ミサイル発射装置
小銃、迫撃砲、閃(せん)光発音筒、発煙弾発射機、発煙弾
機雷
装甲車、対戦車砲弾
レーダー装置
レーダー装置
防衛用通信機器
艦艇搭載情報表示装置、航空機搭載機器
7011 三菱重工業
戦闘機、護衛艦、潜水艦、戦車、ヘリコプター、誘導機器(地
対空誘導弾システム、空対空誘導弾等)
7012 川崎重工業
純国産哨戒機「P1」、輸送機、ヘリコプター、潜水艦
7013 IHI
航空機エンジン(防衛省で使用する航空機の大半のエンジン
を製造)、ロケット弾システム
7224 新明和工業
7721 東京計器
救難飛行艇「US-2」
航空機搭載機器(レーダー警戒装置等)、艦艇搭載機器
(注)関連メーカーはみずほ証券が任意に選定したもの
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