グローバルマーケットトピックス (GMT)9月14日号 (PDF

グローバル・マーケット・
トピックス
2015/
9/14
投資情報部
チーフ FX ストラテジスト
鈴木 健吾
シニアエコノミスト
宮川 憲央
日米金融政策決定会合プレビューと為替相場
 9/14~15の日銀金融政策決定会合では金融政策の現状維持が決定される見込み
 9/16~17の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが見送られる公算
 FRBの利上げは12月となると想定、日銀の緩和は10月の可能性を警戒
 日銀の現状維持とFRBの利上げ先送りは、短期的なドル安円高圧力となる可能性があるが
あくまで短期的で、年終盤にかけてはドル高円安基調を想定
今週は日米で金融
政策決定会合が
開催
今週は9/14~15に日銀金融政策決定会合、9/16~17に米連邦公開市場委員会
(FOMC)と、日米金融政策についての決定会合が行われる。とりわけ、FOMCは、
その結果次第では金融市場に大きな影響を及ぼす可能性も考えられる。そこで、
現時点での両会合のポイント等を展望してみたい。
日銀は現状維持を続
け、強気の見方も崩
さないと予想
まず、日銀については、今回の決定会合では金融政策の現状維持が決定される
見込みである。7月の輸出や個人消費、鉱工業生産等の経済指標は4-6月期のマ
イナス成長の後も、日本経済の持ち直しの動きが鈍い状況を示しているほか、中国
経済の減速懸念や金融市場の混乱等、客観的な情勢は追加緩和の可能性を高め
る方向に動いているとみられる。また、自民党の山本幸三・衆議院議員が10/30の
金融政策決定会合における追加緩和を促すような発言を行ったことでドル円相場
が一時ドル高円安に振れたように、金融市場でも追加緩和に対する潜在的な警戒
感は存在しているとみられる。
ただ、黒田日銀総裁は9/10の参議院財政金融委員会において「7-9月期のGDP
はプラスになる可能性が高い」「物価の基調は着実に高まっており、今後も高まって
いく。消費者物価は物価安定目標である2%に向けて上昇率を高めていく」等と述べ
ており、少なくとも現時点で従来の見通しを修正したような様子はうかがわれない。
また、「物価が2%に達する時期は2016年度前半ごろになると予想」としつつ、「原油
価格の動向に応じて多少前後する可能性はある」として、原油価格の下落によって
消費者物価上昇率が2%に達する時期が前後することは容認する発言を行ってい
る。つまり、原油価格の下落が、需給ギャップや期待インフレ率からなる物価の基調
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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グローバル・マーケット・トピックス
に影響を及ぼさないのであれば、追加緩和に結びつくわけではないということであ
る。
こうした点から、今回の会合では現状維持が見込まれる。また、記者会見では足
元の状況に対する評価や追加緩和の可能性に関する発言に注目が集まるとみられ
るが、基本的にこれまで同様、強気の見通しを維持する一方で、必要であれば躊躇
(ちゅうちょ)なく政策の調整を行うという姿勢を示すとみられる。
ただ、上記のような経済状況から10/30に発表される展望レポートでは経済見通し
が下方修正となる可能性が高い。また、中国経済の減速懸念や金融市場の不安定
な動きが残るなかで、企業マインドが慎重化している可能性がある(この点では10/1
発表予定の日銀短観の内容が注目される)。仮にこうした状況を受けて、企業や家
計のデフレマインドの転換が遅れるリスクが生じると日銀が判断するようであれば、こ
うしたリスクの顕在化を未然に防ぐため、追加緩和を決定する可能性が高まることに
なる。今後の金融政策については、2016年度前半ごろまでに消費者物価上昇率が
2%に達することは難しいとみられるため、いずれかの時点で日銀は追加緩和を迫ら
れる可能性が高いとみているが、早ければ10/30の会合において追加緩和が決定
される可能性について、当面注目していきたいと考えている。
消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)の推計
(四半期:1998/3~2015/6)
(%)
3.0
推計式:消費者物価=α+β*(GDPギャップ)+γ*(ドル円レート)+σ*(原油価格)
補正R2=0.639、先行きは1ドル=122.50円、原油価格=60ドル、
GDPギャップは投資情報部の予測により延長
2.0
1.0
0.0
▲ 1.0
▲ 2.0
実績値
推計値
▲ 3.0
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16 (年)
出所:総務省、内閣府、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
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9月の利上げは難し
いとしても、年内利上
げの可能性は高い
金融市場が注目する9月のFOMCがいよいよ間近に迫ってきた。9/11時点でブ
ルームバーグが金利先物を用いて算出する0.25%の利上げ確率は28.0%にとどまっ
ており、利上げ見送りとの見方が優勢な価格形成となっている。一方、米国の労働
市場は完全雇用の状態に近づいており、この点からは利上げの条件を満たしたと
判断される可能性が高い。このため、9月利上げに踏み切るという見方も根強く残っ
ており、9月FOMCでの利上げの有無はなお予断を許さないといった状況であろう。
みずほ証券投資情報部では労働市場の面で利上げの条件を満たしていると考えて
いるものの、インフレ率が抑制されているため、利上げを急ぐ必要がないうえに、金
融市場でなお不安定な動きが続いていることから、9月の利上げは見送られる可能
性が高いと考えている。
(%)
60
FF金利先物から算出される9月FOMCでの利上げの確率
(日次:2015/7/1~2015/9/11)
50
40
30
20
10
0
15/07/01
15/07/13
15/07/25
15/08/06
15/08/18
15/08/30
15/09/11
(年/月/日)
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
利上げの有無に加えて、重要なのは米連邦準備理事会(FRB)から、声明文や政
策金利見通し、記者会見等を通じて、どのようなメッセージが送られてくるかというこ
とであろう。利上げが見送られる場合は、データ次第の姿勢を維持しつつも、年内
利上げの意欲を改めて示すことになるとみられる一方、利上げを実施する場合は緩
やかなペースで利上げを進めていくことを強調することになるとみられる。なお、労
働市場が完全雇用の状態に近づいていることをふまえると、ゼロ金利という異例の
緩和政策をいつまでも続けるわけにもいかないため、この段階で年内利上げを棚上
げにするほどFOMCの判断が慎重化している可能性は低いと考えられる。つまり、
大枠としては米国経済や労働市場の動向、先行きのインフレ率の上昇に自信を
持っているが、利上げは慎重に判断していくという姿勢を示すと想定している。いず
れにせよ、今回のFOMCでは利上げの有無に加えて、FRBがどのようなメッセージ
を送り、それを金融市場がどのように消化するかによって、その反応は異なってくる
ことになろう。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
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10月利上げの可能
性
また、ここにきて10月のFOMCでイエレン議長の記者会見を特別に設定し、利上
げを実施する可能性についても現実的に議論の対象となりつつあるようだが、実際
には難しいと考えている。FRBが利上げを実施すれば、久しぶりの金融政策の方向
転換(前回の利上げは2004年、利下げは2007年)であり、FRB議長が環境認識やそ
の舵(かじ)取りについて説明する必要があるが、10月のFOMCでは議長の記者会
見は設定されていない。これを設定すると発表すれば市場はイコール10月の
FOMCで利上げ実施決定と判断するだろう。市場が消化する時間をとるために早め
に記者会見設定を発表すればFRBの金融政策の手足を縛ることになり、直前に発
表すれば市場の混乱の要因となりかねない。現実問題として10月の会見設定は難
しいとみられる。
一部には「基軸通貨米ドルをつかさどるFRBの金融政策変更は、いずれにせよあ
る程度の市場の混乱を呼ぶものだ。市場の混乱を気にしていたらFRBは金融政策
の変更はできない。したがって市場の混乱は気にしない」との意見も一理はあるが、
8/24にみられた「日経平均株価一時900円安、NYダウ一時1000ドル安、ドル円一時
6円ドル安」という値動きは尋常ではなかった。G20財務相・中央銀行総裁会議で
も、中国の為替制度変更と並びFRBの利上げの可能性もこの混乱の要因との指摘
があったと思われるなか、FRBも一定の配慮をするのではないか。
為替市場の反応につ
いて
前述の通り、日銀の金融政策については山本衆議院議員の発言等により、10月
の会合にむけて一定の緩和期待がある一方で、今週の9月会合では現状維持が決
定されるとみられることから、円は日銀金融政策決定会合直後や黒田日銀総裁の
発言後「失望の円買い」となる可能性がある。
一方で、FRBの利上げ期待については前述の通り、9月利上げ実施見送りが大勢
であるものの、9月利上げ期待もゼロではないことから利上げを見送れば多少の「失
望のドル売り」となる可能性がある。
したがって、ドル円は日米金融政策決定会合直後、一時的なドル安円高に注意し
たい。
しかし、このドル安円高圧力は非常に短期で限定的なものと考えている。なぜな
ら、①引き続き、日銀には10月の会合に向けて追加緩和期待がかかりやすい。マイ
ナスとなった4-6月期実質GDP成長率に続き、7-9月期の実質GDPも金融市場の混
乱等によって下押し圧力が強まっているうえ、インフレ率も低迷している。昨年同様
10月の展望レポートで日銀自らの展望を変更するとともにその政策変更に踏み切る
可能性は残されている。また、②FRBの年内利上げも引き続き可能性が高い。米雇
用マーケットはすでに利上げを正当化する水準まで回復しているとみられるうえ、こ
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
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グローバル・マーケット・トピックス
れまで明らかとなったFRB要人発言、FRBスタッフ作成資料等から、FRBは世界的な
金融市場の大混乱さえなければ、9月の利上げを志向していた可能性がある。この
ようななかで12月には利上げに踏み切るだろうとの見方が徐々に強まる可能性があ
る。そして③金融市場の混乱が収束し、市場が徐々に冷静さを取り戻す可能性が
高い。前述した8/24の「日経平均株価一時900円安、NYダウ一時1000ドル安、ドル
円一時6円ドル安」という値動きは、株価のバリュエーションや経済のファンダメンタ
ルズといった部分を無視したパニックだったが、その後各国の金融政策決定会合や
G20財務相・中央銀行総裁会議等を通じた要人発言等によって徐々に過度の悲観
論が後退しつつある。このようななかで日米中央銀行も今回の混乱は世界的な金
融危機等につながるものではないとのスタンスを示すとみられ、これらを通じて市場
は冷静さを取り戻していくとみている。市場が冷静さを取り戻せば、8月以降の世界
的な市場の混乱が実体経済に与える影響を見極める動きが広がり、結果としてファ
ンダメンタルズ指標に注目が集まる展開となるだろう。そうなれば前述のように、7-9
月期GDP等にも不安が残る日本経済と雇用マーケットは利上げが正当化される水
準へ回復しつつある米国経済という構図となり、さらにその先には日米金融政策の
方向性がある。これらは結果として年末に向けたドル円相場の上昇圧力となるだろ
う。
結果、ドル円のドル安円高圧力は短期的・限定的にとどまり、年終盤に向けてドル
高円安方向の圧力が勝っていくだろう。年末までにドル円は1ドル=128円近辺へ上
昇する展開を引き続きメインシナリオとしている。
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金融商品取引法に係る重要事項
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