量子力学 A(2 年後期) 期末テスト 2015. 2. 13 (金) 以下の問題で,h ¯ は,プランク定数 h を 2π で割ったものとする. 問題0. (おまけ:4 点) (1) 次の 4 種類のローマ字が現れる数式を書かなければならないとしよう.これらの文 字を他の人が見ても判別できるように書き分けよ.まぎらわしい場合は不正解とす る. 大文字のユー, 大文字のブイ, 小文字のユー, 小文字のブイ 2 (2) t, τ , ω を実数とするとき,|(t − iτ )3 e−iωt | を簡単にせよ.ただし,遠藤から「三角 関数依存症」と言われないように解答すること. (3) 電子の運動量ベクトルが p であるとき,対応する物質波の波数ベクトルを k とする. p と k との間の関係式を (¯ h を使って) 書け. (4) 関数 et を t = 0 のまわりにベキ級数展開(Taylor 展開) せよ.t の 2 次まで書き 3 次 以上は「+・ ・ ・」で表せ. 問題1. (配点予定:40 点) (1) e−2x +x を x = 0 の周りでベキ級数展開(Taylor 展開)せよ.x の 6 次まで書き 7 次 以上の項は「+・ ・ ・」で表せ. 3 6 (2) z 4 = −1 を満たす複素数は何個あるか? その複素数をすべて求め,複素平面上に図 示せよ. (3) y = e−x cos(6πx) のグラフの概形を描け. 2 (4) x 軸上を伝わる 1 次元の平面波 ψ(x, t) = Aei(kx−ωt+α) を考える.ただし,A, k, ω, α は実定数である.この平面波の速度を (上の ψ の式に もとづいて) 求めよ. (5) 波束は無数の平面波の重ね合わせとして表される.波束を構成する各平面波は一般 にそれぞれ異なる速さをもつため,波束の形なども時間とともに変化する.波束を 構成する(代表的な)平面波の速度は位相速度と呼ばれる.では,波束の群速度と 呼ばれるものは何か. (6) 運動量の大きさが p のときのエネルギーが E = pc で与えられる粒子がある(c は真 空中の光速).物質波の分散関係を求め,位相速度と群速度を求めよ. (7) 古典力学では,粒子(質点)の状態を指定するのは位置と運動量であった.では,量 子力学では状態を指定するのは何か? (8) 時間を含むシュレーディンガー方程式は同次線形の微分方程式として表される.こ の「同次線形性」は, (量子力学として)何を保証するために必要だったのか? 問題 2. (配点予定 20 点) 次の系の時間を含む (time-dependent) シュレーディンガー方程式を書け.関数の変数も省 略せずにちゃんと書くこと. (1) 質量 m の粒子が x 軸上を運動する 1 粒子系.ポテンシャルエネルギーは V (x) で与 えられる. (2) 質量が m と M の粒子が,相対的位置に応じて互いに力を及ぼし合っている 1 次元 K 2 粒子系.そのポテンシャルエネルギーは (x − X)2 で与えられる.ここで,x は 2 質量 m の粒子の位置座標であり,X は質量 M の粒子の位置座標である.また,K は実定数. 問題 3. (配点予定 40 点) x 軸上を運動する1粒子系を考える.波動関数が ψ(x) で与えられるとする.ただし,こ の ψ(x) は規格化されているとは限らない. (1) 粒子が a < x < b の範囲に見つかる確率 P (a, b) を表す式を書け. (2) 粒子の位置の 2 乗の期待値 hx2 i を表す式を書け. (3) 粒子の運動量の期待値 hpx i を表す式を書け. (4) 波動関数が特に ψ(x) = eikx R(x) の形をしている場合を考える.ここで,k は実定 数.R(x) は x → ±∞ で十分に速く R(x) → 0 となる実数値関数であり, ∫ ∞ {R(x)}2 dx = 1 −∞ を満たす. さて,このような波動関数のもとでは,運動量の期待値は hpx i = h ¯k となることを示せ. (ヒント): R(x)R0 (x) = 1 0 {R(x)2 } . 2
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