11 1変数関数の微分(2) 逆関数 テイラーの定理 基本事項 1 逆関数の性質 (逆関数の定義は教科書 p89 を参照) (1) f は区間 [a, b] で狭義単調増加(または狭義単調減少)な連続関数とする. α = f (a), β = f (b) とおくとき, 閉区間 [α, β](または [β, α])で定義された逆関数 f −1 が定まり,f −1 も狭義単調増加(または狭義単調減少) な連続関数である. (2) f (x) が (a, b) で微分可能で,(a, b) でつねに f ′ (x) > 0(または f ′ (x) < 0)とする.y = f (x) の逆関数を x = f −1 (y) (y ∈ f (I)) とするとき,x = f −1 (y) は J 上で微分可能で 2 Taylor の定理 d −1 1 f (y) = ′ . dy f (x) x ̸= a とし, f が [a, x](または [x, a])で n 回微分可能とすると, ある ξ ∈ (a, x)(または ξ ∈ (x, a))が存在して, f (x) = f (a) + f ′ (a)(x − a) + f (n−1) (a) f ′′ (a) (x − a)2 + · · · + (x − a)n−1 + Rn |{z} 2! (n − 1)! f (n) (ξ) Rn = (x − a)n ← Lagrange の剰余項 n! 剰余項 が成り立つ. (剰余項の表し方は Lagrange の剰余項の他にも色々な方法がある.) ※ ∞ ∑ f (n) (a) n=0 n! (x − a)n を f の a を中心とした Taylor 級数という. 3 Taylor 展開可能性 f が [a, b](または [b, a])で無限回微分可能で, ある定数 M, C に対して, [a, b](また n は [b, a])上で |f (n) (x)| < = M C (n = 0, 1, 2, . . .) が満たされていれば, f (x) = ∞ ∑ f (n) (a) n=0 n! (x − a)n が任意の x ∈ [a, b](または x ∈ [b, a])に対して成り立つ. ex − e−x と cosh x := ex + e−x について考える. 2 2 √ −1 −1 (1) sinh x の逆関数 sinh x が R 上で定まり, sinh x = log(x + 1 + x2 ) であることを示せ. 【11−1】双曲線関数 sinh x := (2) cosh x は定義域を (0, ∞) に制限すれば, その逆関数 cosh−1 x が (1, ∞) 上で定まり, √ cosh−1 x = log(x + x2 − 1 ) であることを示せ. 【11−2】 f (x) = tan−1 x について, 次の問に答えよ. (1) n ≥ 2 の自然数について (1 + x2 )f (n) (x) + (n − 1)2xf (n−1) (x) + (n − 1)(n − 2)f (n−2) (x) = 0 を示せ. (2) f (n) (0) を求めよ. 【11−5】 次の関数を x = 0 のまわりで Taylor 展開 (即ち, Maclaurin 展開) せよ. ただし, Taylor 展開 可能性をきちんと確認すること. (2) ex (1) sin x (3) sin2 x (4) xex 【11−6】 次の値の近似値を小数点以下 3 位まで求めよ. (1) e0.1 (2) sin 3 10 【11−7】 次の関数を x = 0 のまわりで Taylor 展開 (即ち, Maclaurin 展開) せよ. (1) log(1 + x) (−1 < x < = 1) (2) tan−1 x (|x| < = 1)
© Copyright 2024 ExpyDoc