平成 27(2015)年度三重短期大学推薦入試 正解(解答例) 問1 挨拶とは互いの関係性と親密さを確認するもので、会話の意味内容に重要性はない。B のように内容の正確さを 問い質せば、相手の行動や考えを拘束することになり、A との関係にかえって緊張が強まるから。(94 字) 問2 「安全保障の言語」とは、 会話内容に重要な意味はなく、互いが親和的であることを伝え、緊張を緩和し、当面の不満の原因を除去したり することで、暴力を回避することが可能な言語である。挨拶やムダ話、罵倒や非難に使われる言葉が該当する。 (100 字) 「仕事をする言語」とは、 人間が協同して組織的に仕事をする際に用いられ、作業を円滑にしたり目的を達成したりするためにも、論理的 で意味内容の正確さが重要とされる言語である。それは、調査、分析、報告といった場面で使われる。 (96 字) 問3 私は著者の意見に賛成である。現代の日本においては生産性や効率が重んじられるあまり、本来は人と人との 円滑なコミュニケーションに必要なはずの挨拶や無駄話、世間話といったものが軽視されている。そして、その ことが、いじめや暴力の横行するような、この社会の生き辛さにつながっているように思われる。 さらに言えば、人々が互いに気分や感情を理解しあい、必要があればそれを吐き出し合うという「安全保障の 言語」活動があってこそ、職場や学校、家庭での良好な人間関係が保たれるのであり、その上ではじめて仕事や 学業などいろいろな活動を円滑に進めることできるはずであるから、このような言語の衰退は、 「仕事の言語」が 担っていたはずの生産性や効率を否定する結果になるのではないだろうか。効率性一辺倒ではなく、人の気持ち や人間関係にも目配りのされた、バランスのとれた社会が求められているものと私は考える。
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