よりも自分の時間や暮らしを大事にしたいと考える部下を持つ、両方のことが わかる世代だ。その意味では、自らの意識改革を行いつつWLBへの理解を深 めること。さらに言えば、自分自身のWLBも部下のWLBも実現できるよう な職場のマネジメントを行う「WLB管理職」へと変わっていかなければなら ない。 こうした「WLB管理職」を育成するには、管理職に対する研修等を通じて 意識改革を図ることが必要だし、職場のマネジメントについての方法や情報を 提供することが欠かせない。またWLBを重視した職場のマネジメントを達成 した、あるいは成果を上げた管理職を評価するという取り組みも有効だ。こう したことが企業や職場の価値観や組織風土を変えることにつながるのだ。 WLBは企業だけではなく 社会全体の課題 これまで企業における働き方を中心に紹介してきたが、言うまでもなく WLBというのは企業で働く人たちだけでなく、農林水産業や自営業のみなさ んにも共通する課題だ。さらに言うならば女性が活躍できる地域や社会の実現 にも、活躍支援だけでなくWLBの考え方を両輪で進めていく必要がある。 とくに、これからのWLBを考える上では「介護」の問題を抜きでは考えら れなくなる。仕事と介護の両立という新しいWLBが課題となることは避けら れない。共働き世帯が増え少子化が進行している日本では、だれが介護の担い 手になるのか、仕事と介護をどう両立させるのかが問われることになる。 育児休業制度と同様に介護休業制度が定められているが、法律で定められた 休業日数は最大で93日。介護の平均年数は4~5年、10年以上というケースも 15%だから、93日というのは介護の準備期間でしかない。さらに言うならば、 介護のために休暇を取ることよりも、仕事と介護を日常生活の中で両立させる ことのほうが重要だ。 介護はどうしても女性に負担がかかりがちになる。男性は仕事、女性が家庭 のことを、といった考え方が根強く残っているからだが、こうしたことも女性 が活躍できる社会を阻害する要因となるのではないか。男性も介護に参加でき る働き方や暮らし方の実現、また地域社会を中心とした支援制度など、近未来 に向けて日本が取り組むべき大きなテーマであろう。 女性が活躍できる社会、男女を問わずWLBが実現できる社会に向けて、企 業の職場や働き方の改革、あるいは企業風土の変革などが始まっている。これ からはさらに日本社会全体で、男女の役割観や家庭観などについての意識風土 を変えていく必要がある。その推進役、キーパーソンとして、地方自治体の役 割は大きく、その活動に期待したい。 21
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