2015 年 3 月 2 日 FX/CFD モーニング・レポート 水谷文雄( FOREX.COM スポンサード・コメンテータ) 市況概況:米債利回り底堅い動き→ドル高傾向続く、ECB 量的緩和開始へ→ユーロ安 リトマス紙 10 年米国債 1.99%、ドルインデックス 95.25 がすべてを物語っている先週金曜日終値です。もう 少し利回り上昇の動きとなるかも思いましたが、米経済指標がまだら模様、そしてハト派の FRB(米連邦準備 理事会)メンバーの発言などが響いたようです。米 GDP(国内総生産)改定値 2.2%と良い数字です。しかし 2 月シカゴ購買部協会景気指数 45.8 と悪い数字となりました。市場は直近の数字を気にしている。そして寒 波による経済への悪影響を気にしている。不動産の指標 1 月中古住宅販売成約 1.7%前月比と悪い数字。FRB メンバーの発言としては、ハト派のフィッシャーFRB 副議長が、「利上げの確率は主に 6 月と 9 月が高い。 FRB は利上げが近づいていることを明らかにしている。「辛抱強い can be patient」の削減について協議を続 けている。辛抱強いが削減されれば、いかなる会合で利上げを行う可能性があることを言及している。強いド ルは米経済を反映している。」が一番注目されました。市場は 6 月か 9 月の利上げがあることを予想している。 ダドリーNY 連銀総裁(ハト派)は、「利上げのタイミングやペースについて警戒すべきである。インフレ率 が米当局の目標とする 2%を下回る状況は当面続くと予想される。」とあくまで利上げには慎重姿勢です。週 末でもあり、ポジション調整と前向きに解釈したい。 独 2 月消費者物価指数・速報値 0.9%前月比、0.1%前年比と予想より良い数字のようです。しかしコンスタン シオ ECB(欧州中央銀行)副総裁は、「量的緩和は為替レートに影響を及ぼす。」と語り、ユーロの重石とな っているようです。今月から毎月 600 億ユーロ相当の国債を中心に資産購入つまり量的緩和が始まります。ユ ーロ債券市場では、投資家は事前にディフォルト懸念のない債券を積極的に購入する傾向が見られるのではな いかと思います。10 年イタリア債利回り 1.36%、10 年スペイン債 1.27%と活況のようです。10 年ギリシャ 債 9.60%と前日の 9.21%からは上昇しており、引き続きギリシャの提出した改革案に懐疑的な市場参加者では ないかと思います。 中国人民銀行が利下げに踏み切りました。1 年物貸出金利 5.35%、1 年物預金金利 2.50%とそれぞれ 0.25%引 き下げを発表しました。中国経済は「新常態」の巡航速度の景気スピードを目指している。不動産市況の悪化 など景気への腰折れが心配な状況ではと言えます。7%台前半に減速する中国経済にテコ入れしたとも言えま す。全人代が今月予定されており、中銀が先に動いたとも言えます。中国 2 月製造業 PMI:49.7、2 月非製造 業 PMI:53.9 と前月とほぼ変化がない動きとなっています。 シカゴ金融先物市場の先週火曜 60,000 日時点のポジションを検証して みましょう。今回の注目は豪ド 40,000 ルです。豪ドル・ネット・ショ 20,000 ー ト 63,154 枚 と 前 週 か ら 0 9,323 枚増と増えています。明 日の RBA(豪準備銀行)金融 (20,000) 政策委員会を控え、市場では利 下げを囃す動きもあるようです。 (40,000) 2 ヶ月連続の利下げがあるかど (60,000) うか注目したい。前回の RBA (80,000) 議事録では、「利下げについて は 3 月まで待つことを協議し た。」として 3 月利下げ論が 後退した経緯があります。 1.0000 0.9000 0.8000 0.7000 建玉 レート 大きな変化がないことで、筆者は利下げには動かないのではと思います。しかしシドニー市場では利下げ方向 に走っている相場観ではと言えます。上記グラフは豪ドルの建玉とレートの関係を 1 年間のスパンで示してい ます。先週から 6 万枚を超えるショート・ポジションになってきています。市場のセンチメントを明確に表し ていると言えます。その他通貨では、円ネット・ショート 47,512 枚(前週比 2,049 枚減)、ユーロ・ネッ ト・ショート 177,736 枚(7,846 枚減)、ポンド・ネット・ショート 21,870 枚(6,928 枚減)、スイスフラ ン・ネット・ショート 5,085 枚(959 枚減)、NZD ネット・ショート 4,440 枚(1,423 枚減)と全てショー ト・ポジションを縮小する動きになっている。豪ドルショートの増加が際立っていると言えます。 今日の注目点: 欧米経済指標 アジア時間帯では兜町の動きに注意。日経平均 19,000 円トライなるかどうか注目したい。欧州時間帯では、 ユーロ圏 2 月消費者物価指数・速報値(予想-0.5%前年比(前回-0.6%))、ユーロ圏 1 月失業率(予想 11.4%(前回 11.4%))、英 2 月 PMI 製造業(予想 53.3(前回 53.0))に注意。特にユーロ圏消費者物価指 数には注意したい。 米国時間帯では、米 1 月個人所得(予想 0.4%前月比(前回 0.3%))、米 1 月個人所得(予想-0.1%(前回 -0.3%))、米 1 月 PCE コア・デフレーター(予想 1.3%前年比(前回 1.3%))、米 2 月 ISM 製造業景況指 数(予想 53.2(前回 53.5))に注意。筆者は PCE の数字に注目しています。 明日早朝には豪 1 月建設許可件数(予想-2.0%前月比(前回-3.3%))に注意したい。 為替見通し: 円安、ユーロ安の相場が続く ドル/円:119.30~120.50 やはり円安傾向が続いていると言えるチャートになってきました。下記は日足チ ャートです。ボリンジャーバンドの上限バンド(120.26)が当面の上値目安。ギャンチャートでは、7 月 18 日安値 101.08 起点の 2x1(122.91)に位置し、この水準を目指す動きになるのではと思います。米債利回り 2.30%方向になればその動きが強まる。サポートは 5 日移動平均線(119.47)と言えます。下段のストキャス ティックスは上方基調を強めています。時間足チャートで見ると、20 本 EMA は上方曲線を続けています。 EMA 水準で仕込む作戦を続けます。MACD が高値圏であり、注意したい。高値掴みだけは避けたい。 2 ユーロ/ドル:1.1100~1.1220 今月から ECB による量的緩和策開始と言うことで、長期債の金利低下を促す ことになりそうです。従ってユーロ安相場が続くことになります。下記は日足チャートです。ボリンジャーバ ンドの下限バンド(1.1183)に沿ったバンドウォークの動きになるか注目したい。5 日移動平均線(1.1253) がレジスタンス。下段のストキャスティックスは下方基調継続とユーロ安を正当化している。時間足で見ると、 20 本 EMA は下方曲線となっている。短期的にもユーロ売り継続と言える。EMA 水準でユーロ売り作戦。35 ~40 ポイント上に保険の損切注文を置きましょう。MACD は中立と言えます。 ユーロ/円:133.30~134.50 対ドルで同じスピードでユーロ安、円安が進む相場であり、クロス円は概ね変 化がないようです。チャート的には、ややユーロ安方向ではと思います。ボリンジャーバンドの下限バンド (133.09)が下値目安、ミドルバンド(134.76)がレジスタンスと言えます。ストキャスティックスは下値圏 から上方転換する気配があり、注意したい。 ポンド/ドル:1.5350~1.5470 先週前半の BOE(イングランド銀行)利上げ視野の相場観の調整局面が続い ている。またドル高相場も後押ししている。5 日移動平均線(1.5437)をレジスタンスに、ボリンジャーバン ドのミドルバンド(1.5368)が下値目安。ストキャスティックスは下方基調で進んでいる。 豪ドル/ドル:0.7730~0.7830 明日の RBA に注目する豪ドル相場です。利下げ観測が強いようで豪ドル安に 振れやすいと言えます。ボリンジャーバンドの上限バンド(0.7861)がレジスタンス、ギャンチャートでは 9 月 5 日高値 0.9401 起点の 1x1(0.7735)と下限バンド(0.7715)がほぼ一致し、下値目安と言えます。シカ ゴ筋も豪ドルショートを増やす傾向にあるようです。ストキャスティックスは下方基調を続けており、豪ドル 安を正当化します。時間足で見ると、20 本 EMA は水平方向から下方曲線に変化しており、短期的にも豪ドル 安相場が続きます。EMA 水準で豪ドル売り方針で良いのではと思います。 豪ドル/円:92.80~93.80 対ドルでやや豪ドル安が強い相場、円安が続き、クロス円の方向性が見極めづらい。 ボリンジャーバンドの上限バンド(94.08)がレジスタンス、ミドルバンド(92.69)がサポートとなります。 ストキャスティックスは中立圏で推移。 NZD 相場:RBNZ は利上げが視野に入っているのではと思わせる NZD 高の方向性が見られます。RBA の利下 げ観測、RBNZ の利上げ観測の違いからは、豪ドル/NZD は 1.03 前半の動きと NZD 高が目立ってきています。 このポジションも良いのではと思います。対ドル相場で見ると、5 日移動平均線(0.7540)がサポートになる か注目です。ドル高相場に押されてしまっているのかもしれない。対円相場では、円安基調が続いており、 NZD 高の相場が続きます。5 日移動平均線(90.14)がサポート、ボリンジャーバンドの上限バンド(91.15) が上値目安と言えます。 3 CFD 見通し:VIX(恐怖)指数は引き続き軟調、リスク志向が続く 下記は VIX 指数 4 月限です。緑のサポートラインを引きました。この水準を下回ると、益々リスク志向が強ま ると言えます。ダウ平均の株価を押し上げる要因となるか注目したい。兜町にも良い影響を与えるでしょう。 そしてドル高相場を演出します。今週は金曜日に雇用統計発表があり、注意したい。そしてポジティブに働く ことを期待したい。 本レポートにおける情報および意見は、一般的な情報であり、当社の金融商品の売買を推奨または勧誘するものではありません。 同情報及び意見は、事前の連絡なく変更されることがあります。本レポートは、特定の読者の投資目的や財政状態またはニーズを 考慮して作成されたものではありません。過去の価格動向や相場水準に関する記述は当社の分析をもとにした情報であり、将来の 価格動向や相場水準を表明または保証するものではありません。ここに掲載された情報は信頼できる情報源から入手したものです が、その正確性、完全性を保証するものではなく、当該情報または意見を信頼したことに起因して発生するいかなる直接的、間接 的または結果的損害について、当社はいかなる責任も負いません。 先物、オプション、外国為替、その他のレバレッジを利用した金融商品は重大な損失を生じるリスクを持っており、すべての投資 家に適しているとは限りません。証拠金を利用した取引は、預託した金額以上の損失を生じるリスクあります。レバレッジをかけ ればかけるほど、リスクが増加します。取引を開始する前に、ご自身の収益目標、投資経験、リスク許容度を注意深く考慮して下 さい。なお、当社の書面による許可なく、本レポートを配布、複製することはできません。 4
© Copyright 2024 ExpyDoc