FX/CFD モーニング・レポート - ForexDatabases.com

2015 年 9 月 28 日
FX/CFD モーニング・レポート
水谷文雄( FOREX.COM スポンサード・コメンテータ)
市況概況:FRB 年内利上げセンチメント→ドル高相場
カタルーニャ地方選挙:独立賛成派勝利→新たなユーロ安材料
日消費者物価指数低く日銀追加金融緩和観測→円安下支え
先週木曜日のイエレン FRB(米連邦準備理事会)議長の年内利上げの可能性示唆発言が依然として効いている
市場環境と言えます。それをファンダメンタルズが支える構図です。米第 2 四半期 GDP(国内総生産)確報値
3.9%前期比年率は速報値から 0.2%改善した数字でした。また米 9 月ミシガン大消費者信頼感指数・確報値
97.2 とこちらも良い数字となりました。注目していたリトマス紙 10 年国債利回り 2.16%と前日からは上昇の
動きとなりました。筆者の注目する 2.25%には届きませんでした。年内利上げのコンセンサスが出来上がるか、
そして 2.25%を上回っていくかに注目したい。今週は利上げコンセンサスの構築、そして週末金曜日の米雇用
統計の数字でそれが確実になるのか、それともやはり待つ姿勢になるのか注目することになります。ドルイン
デックスは 96.25 水準と前日の 96.20 水準からはほとんど変化していません。
週末日曜日にスペイン・カタルーニャ地方選挙が行われました。その結果独立賛成派が過半数を占めました。
右のグラフ(出所:El País 紙)は選挙結果と各政党の議席獲得
を示しています。独立賛成派の JXSÍ(独立連合)62 議席、CUP
(人民連合)10 議席と全議席 135 席中、過半数の 72 議席を獲
得しています。この結果を受け、マス・カタルーニャ州知事は、
1 年半後にカタルーニャ州はスペインから独立すると公約してい
ます。マドリードのスペイン政府は独立に反対しています。12
月スペイン総選挙では、急進左派党のポデモス党の躍進が予想さ
れ、今後スペイン政局がユーロ売りの材料になる可能性があり、
注目されることになります。
金曜日には日 8 月全国消費者物価指数 0.2%前年比除生鮮-0.1%前年比と引き続き弱い数字となっている。コ
ア・コア 0.8%前年比と日銀 2%物価目標にはほど遠い。原油価格の下落が主な要因と指摘されている。日銀の
追加金融緩和期待が高まっていると言えます。この動きは円安基調を支えることになります。
8月23日
7月23日
6月23日
5月23日
4月23日
3月23日
2月23日
1月23日
12月23日
11月23日
10月23日
9月23日
0.9000
シカゴ金融先物市場の先週火曜日時点のポ 20,000
10,000
ジションを検証しましょう。円ネット・シ
0.8500
0
ョート 23,678 枚(3,136 枚減)と依然と
(10,000)
して少ない円ショートとなっている。どち
0.8000
(20,000)
らにでも動ける体制ではと思います。ユー (30,000)
0.7500
ロ・ネット・ショート 81,033 枚(3,169 (40,000)
枚減)と依然としてユーロ・ショートのポ (50,000)
0.7000
ジションをキープしている。ECB(欧州中 (60,000)
央銀行)の量的緩和強化の動きから、ユー (70,000)
0.6500
ロ・ショートが基本であると考えているの (80,000)
0.6000
でしょう。ポンド・ネット・ロング 1,267 (90,000)
枚と前週のポンド・ネット・ショート
建玉
3,619 枚から転換しています。シカゴ・ヘ
レート
ッジファンド筋も読みづらい展開と考えて
おり、ポジションをスクエアにしていると言えます。豪ドル・ネット・ショート 52,832 枚(12,103 枚増)と
ショートポジションを増やす動きにあります。中国経済景気後退→資源額輸出減少→豪経済景気減速→RBA
(豪準備銀行)利下げ観測台頭の流れで考えているのでしょう。筆者も同様のシナリオを考えています。上記
グラフは過去 1 年の建玉とレートの関係を示しています。ご覧の通りショート建玉が増え、そして豪ドルレー
ト下落の関係が鮮明なようです。NZD ネット・ショート 3,529 枚(1,389 枚増)と、こちらも中国経済の大き
く依存しており、景気後退、そして RBNZ(NZ 準備銀行)の年内の利下げも確実視されており、素直に NZD
安方向のポジションに傾ける傾向にあると言えます。
今日の注目点: 米経済指標と金融当局者の発言
アジア時間帯では上海総合指数、兜町の動きに注意。金曜日は上海株-50.34(-1.6%)3,092.35 です。
欧米時間帯では、米 8 月個人所得(予想 0.4%前月比(前回 0.4%))、米 8 月個人支出(予想 0.3%前月比
(前回 0.3%))、米 8 月 PCE コア・デフレーター(予想 1.3%前年比(前回 1.2%))、米 8 月中古住宅販売
成約(予想 0.5%前月比(前回 0.5%))に注意。カンリフ BOE(イングランド銀行)副総裁、ラウテンシュレ
ーガーECB 専務理事、ダトリーNY 連銀総裁(ハト派)、エバンス・シカゴ連銀総裁(ハト派)、ウイリアム
ズ SF 連銀総裁(中立)の講演が予定。特にダドリーNY 連銀総裁の発言には注目。
為替見通し: 次の材料待ちの相場
ドル/円:119.80~121.00 引き続きレンジにとどまっていると言えます。下記は日足チャートです。フィボ
ナッチ分析 8 月 12 日高値の 8 月 24 日安値の間の 50%戻し(120.70 水準)と 61.8%戻し(119.60 水準)の
範囲内の動きが分かります。上下レジスタンスとサポートのどちらを抜け出すかに注目したい。やはり FRB
利上げと日銀追加金融川期待から筆者は円安方向ではと思います。ボリンジャーバンドの上下バンド幅が急速
に狭まる動きに、次の変動が大きくなるのではと期待したい。下段のストキャスティックスは上方基調にある
ようです。時間足で見ると、20 本 EMA は下方曲線にあるようです。兜町下落から連動しているかのようです。
EMA が水平方向になるまで底値拾いは様子見としたい。MACD も下方基調にあります。
ユーロ/ドル:1.1130~1.1250 カタルーニャ選挙結果がどのように反応するか欧州市場の動きを待ちたい。
こちらも小幅な動きのようです。日足チャートで見ると、ボリンジャーバンドのミドルバンド(1.1235)がレ
ジスタンス、90 日移動平均線(1.1139)がサポート、そしてギャンチャート昨年 5 月 8 日高値 1.3992)起点
の 1x1(1.0969)に位置します。ストキャスティックスは上方基調。時間足で見ると、20 本 EMA は上方基調
と短期的にはユーロ高相場にあると言えます。しかし ECB の量的緩和強化の動き、短期金利のマイナス体系
にあり、ユーロ安相場をサポートする。スペインの政治状況が新たな火種になるか注目。中期的ユーロ安のビ
ッグピクチャーを堅持したい。
2
ユーロ/円:134.20~135.40 対ドル相場が共に小動きであり、結果クロス円も小動きの展開となっている。
ボリンジャーバンドのミドルバンド(134.90)がレジスタンスとなっています。ストキャスティックスは上方
基調にあります。新たな材料待ちの相場と言えます。
ポンド/ドル:1.5150~1.5270 ポンド安基調も一服感があるようです。ドル動向に左右される展開が続いて
います。シカゴ筋動向を見ても、ヘッジファンド筋は確固たる相場観をポンドには見出していないようです。
BOE の利上げ観測もいまいちどの時期に利上げが実施されるのか確信が持てないでいます。5 日移動平均線
(1.5208)を上回ることが出来るかどうか、それともドル高相場の下、ボリンジャーバンドの 下限バンド
(1.5093)を目指すのか注目したい。ストキャスティックスは下値圏から上方を伺う気配を示しています。
豪ドル/ドル:0.6970~0.7070 ファンダメンタルズ的に見ると市況概況シカゴ筋ポジション分析で述べた通
りで、中期的豪ドル安のビッグピクチャーを描きたい。下記は日足チャートです。緑の平行線で長期的レジス
タンス、サポートラインを引きました。この範囲内で豪ドル安が進むのではと思います。直近ではボリンジャ
ーバンドのミドルバンド(0.7060)をレジスタンスに、下限バンド(0.6896)方向のアイディアを持ちます。
下段のストキャスティックスは上方転換模様であり、若干の豪ドル戻しもある可能性があるのではと思います。
時間足で見ると、20 本 EMA は緩やかな上方曲線にあるようです。しかし小動きに変りはない。
豪ドル/円:84.00~85.00 ボリンジャーバンドの上下バンド幅が狭まり、小動きにクロス円です。ミドルバン
ド(84.87)、5 日移動平均線(84.43)などの分析指標からどのように抜け出すか注目したい。やはり中期的
には下限バンド(82.61)方向ではと思います。
NZD 相場:NZD も小動きのチャートになっている。ボリンジャーバンドの上下バンド幅が狭まる動きになっ
ている。上限バンド(0.6410)がレジスタンス、下限バンド(0.6250)がサポートとなっています。今日の
NZ 主要紙を読むと、NZ 不動産入札において、中国人投資家が少なくなってきていると出ていました。中国景
気減速で中国人投資家の投資意欲が低下していると思われます。不動産価格上昇が RBNZ の頭痛の種であった
だけに、今後利下げがしやすい環境が整います。中期的 NZD 安相場を読みます。対円相場でも対ドル相場と
同様のチャートとなっています。上限バンド(77.50)がレジスタンス、下限バンド(74.86)がサポートとな
っています。
3
CFD 見通し:大きな変動幅の VIX(恐怖指数)
8 月の中国株の大幅下落から VIX 指数は大きな変動を続けています。9 月下旬となり、やや上方基調が続いて
いる。イエレン FRB 議長の先週木曜日の年内利上げの可能性を示唆したことで、上昇の弾みをつけたようで
す。高値水準の 26 水準まで到達する可能性も否定できません。利上げは NY 株価にはネガティブに反応しま
す。早く利上げコンセンサスに慣れることが必要です。利上げは米景気が良いからの結果と言うことに注目さ
れると、リスク志向の VIX 指数下落の動きに繋がるのではと期待したい。
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