ドル高相場の調整、FOMCを控え様子見

2015 年 3 月 24 日
FX/CFD モーニング・レポート
水谷文雄( FOREX.COM スポンサード・コメンテータ)
市況概況:フィシャーFRB 副議長利上げ後に慎重姿勢→ドル高調整局面続く
高利回りからオセアニア通貨上昇
ドル高相場の調整が依然として続いています。ドルイ
ンデックスは 96.95 と前日の 97.80 から引き続き下落
しています。右のグラフ(出所:ウォール・ストリー
ト・ジャーナル紙)は過去 1 年のドルインデックス
の推移を示しています。100.00 を付けた後、急速に
調整局面になっていることを伺わせます。昨日説明し
ましたが、シカゴ金融先物市場の先週火曜日時点で、
対ユーロ、ポンドを除き、利食いをしていることが分
かります。特に豪ドルの大幅ショート縮小、そしてス
イスフランのポジション反転が目立ちます。それを察
知した市場参加者が昨日スイスフラン買いと動いたよ
うです。そして高利回り通貨のオセアニア通貨が豪ドル、NZD 高を演出しているようです。後程考察したいと
思います。ドル高調整局面のドル安相場となった理由付けとして昨日は、フィッシャーFRB(米連邦準備理事
会)副議長(ハト派)の講演が注目されました。「年末までに利上げが正当な状況になるだろう。将来におけ
るスムーズな金利上昇が実現しないことはほぼ確定して、FF 金利(フェッド・ファンド・レート)の引き上
げ、引下げの双方を検討する。」との発言がありました。今年半ばに利上げし、その後少なくても 1 回の追加
利上げが行われるとの観測が強かった市場であります。それが利上げした後に経済指標次第では、利下げもあ
るとの見解を示したことで市場に動揺が走りました。リトマス紙 10 年米国債利回り 1.90%と引き続き低下傾
向、短期金利先物ユーロドル(3 ヶ月物)期先物は利回り低下傾向にあります。16 年 3 月限-0.04%の
0.895%となっています。金利観で一方的な上昇トレンドにはならないのではと変化してきていることが大き
いようです。
欧州時間帯では、ドル安のユーロ高調整局面となりました。注目されたスペイン・アンダルシア州議会選挙で
は、最近躍進が注目された急進左派ポデモス(Podemos)党は 15 議席獲得にとどまりました。野党社会労働
党(PSOE)47 議席、与党国民党(PP)33 議席のそれぞれ獲得となりました。第三党に位置し、今年 11~12
月予定のスペイン総選挙に引き継ぐことになります。スペイン政界地図に大きな変化はなく、一旦楽観論が漂
います。ツィプラス・ギリシャ首相とメルケル独首相との会談が行われました。メルケル首相は、構造改革と
緊縮財政が必要としてギリシャに釘を刺す発言がありました。ツィプラス首相は、ギリシャ経済には救済資金
が必要と発言しています。10 年ギリシャ債 11.56%と大きくは変動していません。従ってドル要因によるユー
ロ買戻しと解釈したい。ドラギ ECB(欧州中央銀行)総裁は、インフレの調整が継続するまで量的緩和は続け
るとして、月額 600 億ユーロ相当の国債など購入を強調されている。これはユーロ安材料の大前提です。
豪ドル/NZD が 1.02 台後半まで豪ドル安/NZD 高が進行している。NZD には史上最高値と言うことです。こ
れは他の主要国通貨の利回りが低下傾向であり、オセアニア通貨の金利高に注目が集まり、とりわけ 10 年 NZ
債 3.26%と高いことに投資家が魅力を感じている結果ではないかと思います。10 年豪連邦債 2.40%と言うこ
とで、オセアニア通貨の中でも NZ に注目が集まる結果です。O/N Index Swap Curve では RBA(豪準備銀行)
の利下げ確率 45%に対して、RBNZ(NZ 準備銀行)の利下げ確率 10%と低いことも影響しているようです。
現在の RBA 政策金利 2.25%に対して、RBNZ 政策金利 3.50%と、RBNZ が高い足元金利も影響しているようで
す。RBA は来月にも利下げ観測があることに対して、RBNZ は今年中に小幅利下げ(0.25%)観測があると言
えます。
今日の注目点: 欧米経済指標
アジア時間帯では兜町の動きに注意。欧州時間帯では、独 3 月 PMI 製造業・速報値(予想 51.5(前回 51.1)、
サービス業(予想 55.0(前回 54.7))、ユーロ圏 3 月 PMI 製造業・速報値(予想 51.5(前回 51.0))、サー
ビス業(予想 53.9(前回 53.7))、英 2 月消費者物価指数(予想 0.3%前月比、0.1%前年比(前回-0.9%、
0.3%))、英 2 月生産者物価指数・コア(予想 0.4%前年比(前回 0.5%))に注意。
米国時間帯では、米 2 月消費者物価指数(予想 0.2%前月比、-0.1%前年比、コア 0.1%前月比、1.7%前年比
(前回-0.7%、-0.1%、0.2%、1.6%))、米 1 月住宅価格指数(予想 0.6%前月比(前回 0.8%))、米 2 月
新築住宅販売件数(予想 46.5 万件(前回 48.1 万件))、米 3 月リッチモンド連銀製造業指数(予想 3(前回
0))に注意。特に米消費者物価指数が予想より低いとドル安相場が強く表れる可能性があり、注意したい。
ウィリアムズ SF 連銀総裁(中立)、ブラード・セントルイス連銀総裁(中立)の講演が予定されている。
明日早朝に、NZ:2 月貿易収支(予想 3.50 億 NZD 黒字(前回 0.56 億 NZD 億黒字))に注意したい。
為替見通し: ドル高調整局面継続
ドル/円:119.20~120.40 米債利回り低下傾向が続き、調整が進むドル円です。日足チャートで見ると、5 日
移動平均線(120.03)は下方曲線継続となっている。ボリンジャーバンドの下限バンド(119.02)と 90 日移
動平均線(119.10)がサポートとなっています。シカゴ筋も利食い継続する動きになっているのではと推測し
ます。ストキャスティックスは下方基調。中期的ドル安傾向が続き、どこが着地点か模索が続きます。下記は
短期的動きを見る時間足チャートです。20 本 EMA は下方曲線を続けている。現在ローソク足が EMA 水準で
上抜けするかどうか注目です。底値拾いしても 35~40 ポイント下で損切設定して臨みたい。下段の MACD は
中立です。積極的には短期、注意でも底値拾いは控えたい所です。
ユーロ/ドル:1.0870~1.0990 ドル高調整局面のドル安が相場を支配しているユーロ買戻しの相場になって
います。5 日移動平均線(1.0836)は引き続き上方曲線となっている。ボリンジャーバンドのミドルバンド
(1.0869)を上回ってきている。上限バンド(1.1314)までのユーロ買戻し相場を現在では予想していません。
どうしても ECB 量的緩和、ギリシャ問題が頭をよぎります。依然としてユーロ中期的安ではとのビッグピク
チャーを持ちます。1.10 水準を注目します。MACD は上方基調、ストキャスティックスも上方基調とまだ嵐は
去っていない相場と言えます。時間足で見ると、20 本 EMA は引き続き上方基調となっています。ユーロ買戻
しが進む短期的チャートと言えます。積極的にユーロ買いに動くのは危険であると思います。シカゴ筋はユー
ロ・ショート・ポジションを大量に抱えており、1.10 を上回っていくと損切執行の可能性もあるということに
は注意したい。
2
ユーロ/円:130.30~131.50 対ドルでユーロ高、円安小康状態で、クロス円ではユーロ高が進むチャートに
なっています。5 日移動平均線(130.10)がサポート、5 日線自体上方曲線となっています。ボリンジャーバ
ンドのミドルバンドを明確に上抜けするか注目したい。ストキャスティックスは上昇基調、MACD も上方基調
継続となっています。ユーロ安調整局面継続と言えます。
ポンド/ドル:1.4870~1.4990 ドル安相場が続いているポンド相場と言えます。ボリンジャーバンドのミド
ルバンド(1.5051)が上値レジスタンスとして機能するか注目したい。ストキャスティックス上昇基調と、も
う少しポンド高局面が続くのではと思います。
豪ドル/ドル:0.7800~0.7900 オセアニア通貨高が続いています。下記は日足チャートです。5 日移動平均線
(0.7787)がサポート、5 日線自体上方基調を続けており、強い相場となっています。ドル高の調整局面とい
う側面は強く影響していると言えます。相対的に高い金利の面も働いているのではと思います。ボリンジャー
バンドの上限バンド(0.7905)を明確に上回って行くか注目したい。90 日移動平均線は 0.8033 に位置する。
ストキャスティックスは上昇基調、MACD も上昇基調と、もう少し豪ドル買戻しが続く市場心理状態と言えま
す。RBA は 4 月会合で利下げに動くとの観測が強く、高値には警戒感が出て、重石となろう。時間足で見る
と、20 本 EMA は上方基調継続と言えます。ファンダメンタルズとはチャートが遊離しており、豪ドル買いに
は慎重でありたい。
豪ドル/円:93.60~94.60 対ドルでの豪ドル戻しが強く、クロス円でも豪ドル高の動きとなっています。5 日
移動平均線(93.46)がサポート、ボリンジャーバンドの上限バンド(94.30)が明確に上抜けするかに注目し
たい。RBA は来月にも利下げ観測があり、上値警戒感も出てくるのではと思います。90 日移動平均線(95.64)
を意識した動きになるか見極めたい。ストキャスティックスは上方基調を継続している。
NZD 相場:豪ドルよりも強い上昇相場になっています。市況概況でも説明しましたが、主要国では最も高い債
券利回りとなっています。このことが投資家を引きつけるのでしょう。対ドル相場では、 5 日移動平均線
(0.7563)をサポートに、中期のトレンドを見る 90 日移動平均線(0.7605)をも上回りました。残るはボリ
ンジャーバンドの上限バンド(0.7689)が上値目安と言えます。ストキャスティックスは上方基調、MACD も
上方基調となっています。もう少し上値があるのではとチャートを重視する姿勢です。対円相場でも NZD 高
が鮮明です。5 日移動平均線(90.74)がサポート、ボリンジャーバンドの上限バンド(91.72)を明確に上回
るかに注目したい。上下バンド幅が拡大する形状になっていることに注意したい。
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CFD 見通し:NY ダウ平均は高値トライ模様
FRB が利上げを急がない姿勢を見せれば、一旦利上げされても依然として金利が低い状態が期待され、企業に
とっては資金コストが大幅に上昇することにはならない。従って株価は好感することになります。下記は日足
チャートです。緑丸で示した 90 日移動平均線は結果サポートとなっています。下段のストキャスティックス
も参考にしてください。現在は 18,250 ドル水準に引いた最高値を目指す動きになってくるのではないかと思
います。楽観的になっている NY 株式市場であると思います。
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