商いのヒマは活力の素

商いのヒマは活力の素
月刊『2020 Value Creator』原稿
私は仕事場においては、国内外の商談のときも会議のときも社員を叱ったり褒めたりするときも常
に、ストレートで正直であることを意識しています。
そのためか、私の仕事の進め方は良かれ悪しかれ何事によらず速いと言われます。
それによって時間が余り、私は「ユトリというヒマ」を持て余します。
商いは良い時期は短い。
だから商売に活力を注入し続けるためには、このヒマをフル活用して常に新しいものに挑戦し、仕
事と商品とサービスのレベルアップを続ける必要があります。
私は活力のある商いは、経営者から従業員一人一人まで「ヒマ作り活力作りの名人」がなしうるも
のだと常々思っています。
商いは感動創造メーカー
感動創造とは何かというと私は、お客様に喜んでもらえることが第一であり、お客様の喜ぶ顔を見
て店員が喜ぶこと、そして店員が喜ぶ顔を見て経営者が喜ぶことであると考えています。
36年間、3000店を超えるボランタリーチェーン店を、本部として見てきた経験から得たもの
は「商いは感動創造メーカーであるべし」ということでした。
お客様と店との間、お客様と店員さんとの間、経営者と店員さんの間に、如何に感動を創造し共有
できるものにするかが商いそのものだと実感してきました。
しかし、商いは良い時代はそんなに長くはなく、油断すると途端に悪く転回するものでした。
私が不思議に感じたのは、同じ条件のお店でも、いつの時代でも、世の中の景気がよかろうと悪か
ろうと関係なく、繁盛する店があれば、苦境にあえぐ店もあるということでした。
この違いは、売り場などセクションそのものにも起こりうる現象でした。
その原因を私は、ヒマを上手く活用するかしないかの差だと見ています。
仕事への対応技術は、経営者であろうと店員さんであろうと、一日一日の仕事の経験によって進歩
しヒマな時間が増えていきます。
知的労働でも作業労働でも一年後に人は、前年の30%のエネルギーで昨年と同等の仕事ができ
ようになると私は考えています。
ヒマつくりは感動創造の原動力
このヒマを成長のために活用する人は、自分の仕事を早々と、コストの安い若い後任にハンズオン
し、自らはより高いステージに上がってより大きな感動を創造する立場になることから、売り場や
事業の継続的な成長を成しえると考えます。
ヒマであることは美徳だと徹底しよう!
自分がヒマであることを他に知られることを隠したがるのも一般的です。
経営者にとってのヒマは、ゴルフや寄り合いなど仕事と離れた付き合いに消耗して、それでも忙し
いという方が多く見受けられます。
このことは、経営者が現場から離れることを意味し、間違った経営判断をし、破綻を早める原因に
なります。
また、従業員さんは、ヒマであることを隠して忙しい振りをして、常に今までと同じ社員数や宣伝
費など同じ経費を要求しがちです。
このヒマを隠した守旧型社風が常態化することが、その商いの破綻の原因になります。
「全社開発挑戦体制」を錦の御旗に・・・
お客様である消費者は常に、新しい生き方や感動を自ら開発し、それに挑戦しています。
このお客様に対応するには、店は常にお客様の前を走って、感動と満足を開発し挑戦し、提供し続
ける必要があります。
それを可能とするには、全社を開発挑戦体制の御旗に統一しなければなしえません。
そして、お客様の感動と満足は、自らの感動と満足になることを全社が意識する。
その原動力が「商いのヒマ」であると私は考えます。
下のハガキは、35 年来のお取り引きの山口県の日本一の販売店さんからの読後ハガキです。
前略、秋刀魚、娘家族にも分けて全員で美味しく頂きました。
先般、都筑先生の会での講演の資料の中に貴方のコラムに「ヒマを如何に作
り、そのヒマの作り方で勝負が決まる」
「ヒマが活力」「ヒマが感動創造」
このヒマの意味が一番適切でさすがと思いました。時間を作ってもダメで、
このヒマが、ゆとりであり、集中力であり、全てがこの中にあるとつくづく
思いました。
「ヒマ」はブランドになるよ。
山口県柳井市 ㈱アデリー 会長 小野悟