2015 年度 早稲田大学 基幹・創造・先進理工学部 物理 全体概況 試験時間 物理・化学で 120 分 大問数・解答数 難易度の変化(対昨年) 大問数: ○ 難化 3題 ● やや難化 解答数: 33 問 ○ 変化なし 問題の分量(対昨年) ○ 多い ● 変化なし 出題分野の変化 ○ あり ● なし 出題形式の変化 ○ あり ● なし 新傾向の問題 ● あり ○ なし ○ やや易化 ○ 易化 ○ 少ない 総評 例年大問 3 題で、力学と電磁気学が 1 問ずつ含まれている。残りの 1 題については、 「新課程入試」 初年度とあって、何が出題されるか注目されていたが、波動分野であった。 (原子物理ではなく)幾何 光学からの出題で、旧課程履修者に配慮した形とはなっているが、「凹面鏡による写像公式」は新課程 で詳しく扱うようになったテーマである。旧課程の教科書にはあまり記載がないために、 「新傾向の問 題あり」としたが、2011 年度センター追試験には凹面鏡、凸面鏡に関する問題があるし、過去にも誘導 形式で球面鏡(今回は厳密に放物面)の写像公式は出題されているので、「不利な問題が出た」と感じ た旧課程履修者の生徒は、あまりいなかったと思われる。解答数は昨年が「描図 1 問を含む 38 問」だ ったのに対して、今年は「描図 1 問(速度と力のグラフをセットで1つと数える)を含む 33 問であっ た。数字上ではかなり減ったように思えるが、昨年は、同じ考えで求まる物理量を同時に3つ答える設 問があったことや、今年の方が描図の負担が格段に多いことを考えると、分量は同程度と言ってよい。 力学では、昨年はおなじみの題材だったのに対し、今年はどんな現象か見抜きにくい実験であったこと。 電磁気学では、同様の考え方を使う類題を解いた経験がないと、誘導にうまく乗れなかったこと。以上 の点から、難易度は「やや難化した」と言える。標準的な解答時間 60 分に対する問題量は、相変わら ず非常に多い。力学の最後の描図をするために必要な処理は、 「120 分間全部を物理の解答に費やす受験 生に対するもの」としか思えないほど煩雑である。 〔Ⅰ〕のマーク式の波動は「凹面鏡」に関する問題である。最初の放物線の式の導出で戸惑うことなく、 よく知られた「レンズの公式」の証明と全く同じ手順であると気づけば、難しいところはない。⑩ ⑪ ⑫ は、実際の装置(3Dミラースコープ)を使ったことがあれば、すぐ正解を選べる。 〔Ⅱ〕の力学は、与えられた条件により、上位の大学の過去問でよく見かける「ベルトコンベヤー上の 単振動」と同様の現象であるとわかる。類題を解いたことがあり、そのことに気づいた受験生ならば、 問 8 までは短時間で高得点を狙える。ただし、単振動を数学の演習問題のように思っていると、計算の 複雑さばかりが目立ち、手早く処理することはできない。「振動中心からのズレ」に注目して、エネル ギーの式を(運動方程式から導出せず)自分で立てられること。 「単振動が等速円運動の正射影である こと」に注目して、運動時間を周期の倍数としてすぐ求められること。この2つが大切である。 〔Ⅲ〕の電磁気学は、題材としては「磁場を切る導体棒による電磁誘導」なので頻出問題である。しか し、 「導体棒の働きをコンデンサーとみなす」という考え方が、唐突な条件として与えられているため に、戸惑った受験生も多かっただろう。同様の誘導は過去に何度か出題されていて、城南では冬期講習 で(東大の過去問を使って)扱っていた。受講した生徒は、落ち着いて取り組めたことだろう。 毎年のことであるが、早大(理工系)は、処理に何分もかかってしまう設問から、数秒で正答できる 設問まで、さまざまなタイプの問題が含まれる。志望系統によって物理と化学の配点が異なるから、物 理に費やしてよい時間配分もそれに応じて変わってくるが、いずれにせよ、いかに効率よく点をかせげ るかがポイントとなる。 【物理一科目が特に優秀だった場合の特例合格制度】を利用せず、総合点で普 通に合格したい受験生にとっては、 「真の物理的思考力」はもちろんのこと、そういった「高得点をと るための技術」も身につけることが、早大合格にとっては大変重要である。 Copyright (C) 2015 Johnan Prep School
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