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産業アウトルック
2015年1~3月期
12.海運(外航)
爲﨑
真吾
トピック:
円安及び燃料油価格下
落は業績の大きな下支
えとなる
為替及び燃料油価格は、2014年10月~2015年3月期に国内海運大手3社が前提(単純
平均)とする106円/USD、547USD/MTに対して、足元円安かつ低水準(2014年12月
316USD/MT)で推移しています。同期間の同3社合計経常利益は1円/USDの円安で+23
億円、▲10USD/MTの燃料油価格下落で同+18億円上振れる模様で、業績の大きな下
支えになっています。
コンテナ船市場動向:
北米東岸向けは高値で
推移。15年は新造船竣
工のピークを迎え、厳
しい市況が予想される
コンテナ船の荷動きは、米国経済の好調等を受け堅調に推移しています。運賃は、
欧州向けで大型船投入影響により低迷する一方、北米向けは西岸港湾の混雑影響
等から東岸向けで高値となっています。15年は、混雑解消による北米東岸向けの
下落を含め、新造船竣工がピークとなるため前年を下回る水準が予想されます。
バルカーは、大型船で荷動きが堅調に推移する一方、新造船竣工は一服している
とは言え船腹過剰感が依然強い状況にあります。加えて、超大型船による長期輸
送契約が増加しスポット輸送が減少した影響もあり、運賃は低迷が続いています。
足元では停船を行う船社も出ており、厳しい状況が続くとみられます。
タンカーは、新造船竣工が一服したことに加え、荷動きでも長距離輸送の増加や
足元の原油価格下落を受けて石油備蓄積み増しに係る輸送が増加し、市況が急回
復しています。もっとも原油需要自体は低調で、解撤動向次第では需給ギャップ
の改善が進まず、運賃は採算水準とされるWS50台前半を維持できるか不透明な状
況です。
バルカー市場動向:
船腹過剰感は依然強く、
足元では停船を行う船
社も出る等低迷が続く
タンカー市場動向:
原油価格下落の影響で
石油備蓄積み増し需要
が増加、市況は急回復
大手3社合算業績は、円安を主因に2014年4~9月期で経常利益772億円(前年同月比
+59億円)となり、通期でも同1,497億円(前期比+38億円)を見込む等、増益基調に
あります。もっとも、市況低迷が続いているだけに、今後も為替影響等を除けば
厳しい収益環境が続くとみられます。
海運大手の業績動向:
2014年7~9月期は増益、
通期でも増益見通し
コンテナ運賃(注)の推移
アジア発コンテナ荷動き量の推移
(千TEU)
4,000
北米往航(左軸)
欧州往航(左軸)
同前年比(右軸)
同前年比(右軸)
(ドル)
5,000
+30%
3,500
北米東岸向け
4,500
4,000
+20%
3,000
3,500
+10%
2,500
3,000
北米西岸向け
2,500
+0%
2,000
2,000
1,500
-10%
1,500
1,000
1,000
-20%
500
500
1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q
09
10
11
12
13
11/12
14
13/12
14/6
14/12
大手海運会社3社合算の連結業績推移
(十億円)
(兆円)
1,000
6
80
売上高(左軸)
70
3,000
13/6
(出所)Clarkson Research Servicesより弊行作成
(注) Shanghai Container Freight Index (SCFI)
(WS)
大型タンカー運賃指数(右軸)
12/12
(年/月)
バルカー・タンカー運賃指標(注)の推移
3,500
12/6
(年)
(出所)日本海事センター企画研究部作成資料より弊行作成
(BDI)
欧州向け
0
-30%
0
800
5
60
2,500
経常利益(右軸)
40
1,500
600
4
50
2,000
3
400
2
200
1
0
30
1,000
20
500
10
バルカー運賃指数(左軸)
0
11/12
12/6
12/12
13/6
13/12
14/6
0
14/12
-200
0
07
(年/月)
(出所)Clarkson Research Services、Bloombergより弊行作成
(注)タンカーの運賃指数WSは毎年初に見直されるためデータは連続していない
08
09
10
11
12
13
14 13 2Q 14 2Q
(年度)
(出所)日本郵船、商船三井、川崎汽船の決算短信より弊行作成
本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行が一般に信頼できると思われる資料に基づい
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