10.造船・プラント

産業アウトルック
2016年1~3月期
10.造船・プラント
トピック:
<造船>足元船価はリー
マン後最低水準
<プラント>新規案件の
延期・中止増の可能性
澤口
【造船】中国経済の減速等により荷動き量が頭打ちとなったことで海運市況が
低迷し、足元の船価はリーマン・ショック後最低水準まで下落しています。
【プラント】 LNGは原油価格低迷で競争力が低下する中、新興国経済の減速等
により需要が鈍化し、新規案件の延期・中止が更に増加する可能性があります。
【造船】造船各社は2013年~14年前半に欧州船主等から大量に受注した後、各
工場の操業を抑えたこと等により、概ね2018年までの工事量を確保しています。
ただし、2015年1~9月の受注量は環境規制適用前の駆け込み需要があったもの
の、元々船腹過剰であったところに中国経済の減速等に伴い荷動き量が頭打ち
となったことから、前年同期比▲28.3%減と低迷し、船価もリーマン・ショック
後最低水準まで下落しています。2016年の受注量をみれば、上述した駆け込み
需要の反動減も相俟って、2015年比半減する可能性が指摘されています。
造船6社の2015年度業績は、円安効果一巡や不採算船の竣工増加に加え、海洋
分野における損失引当金や追加費用の計上等により、前年度比増収ながらも大
幅な減益となり、営業赤字となる先も出てくる可能性があります。
造船需要:
受注量は駆け込み需要
があったものの減少。
16年は反動減もあり受
注量が半減する可能性
造船6社業績:
円安効果一巡や海洋分
野の損失等で営業赤字
の先が出てくる可能性
【プラント】世界的なエネルギー需要拡大に伴い、各地でLNGプラント等の建
設プロジェクトが立ち上げられ、プラント各社は高い技術力を背景に受注を重
ねてきました。もっとも、原油価格が下落しLNGのコスト競争力が低下してい
るほか、新興国経済の減速等を受けてエネルギー需要が鈍化していることから、
進捗中の案件が延期・中止となり、各社の受注高が前年度比減少する可能性が
あります。
プラント専業3社の2015年度業績は、大型案件が進捗する上、原油価格の下落
等により資機材コストが減少したこと等を背景に前年度比増収増益となる見通
しです。
プラント需要:
原油価格低迷、新興国
経済減速で受注高が減
少する可能性
プラント3社業績:
大型案件の進捗や調達
コスト減少等で増収増
益見通し
新造船契約船価、受注量(四半期)推移
世界の新造船竣工量と船舶需給の推移
(百万DWT)
200
(2002年対比の増減率)
+140%
その他(左軸)
中 国(左軸)
韓 国(左軸)
日 本(左軸)
船腹量増減率(右軸)
海上荷動量増減率(右軸)
150
昭太郎
+120%
(百万ドル)
200
船価:タンカー(VLCC)(左軸) (百万DWT)
80
船価:BC(ケープ)(左軸)
180
受注量:世界(右軸)
+100%
70
受注量:日本(右軸)
160
60
140
+80%
100
120
50
+60%
100
40
+40%
80
30
60
0
20
+20%
50
40
0%
20
-20%
02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (年)
0
(年度/期)
(出所) Clarkson Research Servicesより弊行作成
プラント専業3社(注)の合算連結業績推移
国内上場造船関連6社(注)の合算連結業績推移
(億円)
各社造船部門売上高合計
0
05/2Q 06/2Q 07/2Q 08/2Q 09/2Q 10/2Q 11/2Q 12/2Q 13/2Q 14/2Q 15/2Q
(出所)日本造船工業会、Clarkson Research Servicesより弊行作成
9,000
10
(億円)
25,000
12%
売上高合計
8,000
12%
受注高合計
各社造船部門営業利益率
10%
営業利益率
20,000
7,000
10%
8%
6,000
5,000
6%
4,000
4%
8%
15,000
6%
10,000
4%
3,000
2%
2,000
5,000
2%
0%
1,000
0
05
06
07
08
09
10
11
12
13
-2%
14 15予(年度)
0
06
07
08
09
10
11
12
13
0
14 15予 (年度)
(出所)各社決算短信、補足資料より弊行作成
(出所)各社決算短信、補足資料より弊行作成
(注)総合重機は三井造船、川崎重工業、住友重機械工業
造船専業はサノヤスホールディングス、内海造船、名村造船所
(注)日揮、千代田化工建設、東洋エンジニアリング
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