21.情報サービス

産業アウトルック
2016年1~3月期
21.情報サービス
仁田
敬三
トピック:
市場の成長が続く一方、
IT事業者各社の人件
費・外注費は高騰
社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)への対応に向けたシステム投資等、
大型案件の本格化等によって市場の成長が続いている一方、IT人材の不足感の
高まりを受けて、IT事業者各社では人件費・外注費の高騰が続いています。
国内情報サービス市場
動向:
IT活用の多様化・高度
化の進展によって市場
成長が続く見通し
足元の国内情報サービス市場は、2015年10月に導入されたマイナンバー制度へ
の対応に向けたシステム投資や電力の小売全面自由化に向けたシステム導入等、
複数の大型案件が本格化していることから、前年同期比+2~3%程度での成長が
続いています。こうした大型案件は2016年以降順次終息していくものの、ユー
ザー企業のIT投資意欲は業績改善に伴い高まる傾向にあります。このため、既
存のシステム保守・運用に止まらず、リアルタイムに発生する大容量データを
収集・分析し、ユーザー企業の事業戦略に活かすビッグデータやIoT分野への
取組みを中心としたIT活用の多様化・高度化等の進展によって、今後について
も引き続き成長傾向が続くものとみられます。
IT事業者業績:
2015年度上期の大手IT
事業者の業績は増収と
なる一方、利益水準は
横這い
大手IT事業者の2015年度上期の業績は、国内市場が堅調に推移しているほか、
海外事業への注力等により増収となっています。一方、サービス単価は依然低
水準に止まるうえ、IT人材の不足感が高まっていることから、人件費・外注費
が高騰しており、利益水準は横這いとなっています。こうしたなか、システム
高度化への対応や収益力向上に向けて、IT事業者は人材確保の動きやクラウド
サービス提供等ストック型ビジネスに注力しているほか、他社との差別化に向
けた異業種間でのアライアンスの動きを活発化させています。
情報サービス売上高推移(年度)
(兆円)
売上高(左軸)
情報サービス売上高推移(前年同月比・月次)
10%
前期比(右軸)
12
25%
10
20%
15%
8
15/10
+1.3%
5%
0%
10%
6
+2.6%
4
2
0
-5%
5%
+2.1% +2.6% 0%
-0.1%
-5%
-3.4%
-5.8%
-10%
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (年度)
-10%
-2.5%
(年/月)
-15%
09/3
(出所)経済産業省より弊行作成
10/3
11/3
12/3
13/3
14/3
15/3
(出所)経済産業省より弊行作成
情報サービス価格指数
(注1)
情報サービス上場大手10社(注2)業績推移
102.0
(兆円)
15
売上高(左軸)
営業利益率(右軸)
10%
100.0
8%
98.0
10
6%
96.0
4%
94.0
5
2%
92.0
0
90.0
00/1
03/1
06/1
(出所)日本銀行より弊行作成
09/1
06
12/1
15/1
(年/月)
(注1)2000年1月を100とした時の推移
07
08
09
10
11
12
13
14
0%
15 14 15 (年度)
(予) 上期 上期
(出所)各社有価証券報告書より弊行作成
(注2)情報サービス関連主要企業:富士通、日立製作所、NEC、NTTデータ、野村総合研究
所、日本ユニシス、伊藤忠テクノソリューションズ、ITHD、SCSK、大塚商会<富士
通、日立製作所、NECはサービス関連部門>
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