みらい MR14MR14-02 航海での西赤道太平洋堆積物採泥結果の概要 ○黒田潤一郎(海洋研究開発機構) ,山崎俊嗣(東京大学) ,吉村寿紘・木元克典(海洋研究開発機構), 高木悠花(早稲田大学) ,佐川拓也(九州大学) ,横山祐典(東京大学) ,山本正伸(北海道大学) ,Stephen Obrochta(秋田大学) ,大河内直彦・長谷川拓也(海洋研究開発機構) 太平洋は炭酸塩補償深度(Carbonate Compensation Depth, CCD)が浅く、有孔虫などの炭酸塩微化 石が堆積物中に保存される場所が限られている。オーリピクライズやオントンジャワ海台などの海底 には、水深が CCD よりも浅いため炭酸塩微化石を豊富に含み、かつ大陸から離れているため陸源物質 をほとんど含まない堆積物が得られる。西赤道太平洋の第四紀環境変動と古地磁気強度変動の復元を 行うことを目的とし、西赤道太平洋の4サイトにおいて「みらい」MR14-02 航海(2014 年 2 月~3 月) でピストンコアを用いた柱状採泥を行った。採泥は西カロリン海盆の PC01 地点(水深 3855 m)、オー リピクライズの水深 PC02 地点(2243 m)、オントンジャワ海台の PC03 地点 (水深 1923 m)および PC04 地点(水深 2447 m)の4か所でおこなった(下図) 。 4つのサイトで 14~15 m の柱状堆積物が回収された。コア試料はいずれも炭酸塩微化石を豊富に含 む石灰質軟泥(calcareous ooze)からなる。最も深い西カロリン海盆の PC01 サイトでは褐色を帯び、 やや粘土質な層準(粘土質石灰質軟泥)が繰り返し認められ、明灰色石灰質軟泥と数 10 ㎝規模の互層 をなす。8.4 m より下位の層準では明灰色石灰質軟泥が優勢となる。およそ 1 m のセクションにつき 1 個程度の軽石やスコリアが認められた。6.5 m より下位の層準では微粒黄鉄鉱と思われる黒色スポッ トが頻繁に認められる。オーリピクライズの PC02 サイトでは明灰色~明オリーブ灰色の石灰質軟泥か らなる堆積物が得られた。コアの 30 cm 深度より下位では微粒黄鉄鉱と思われる黒色スポットが豊富 に認められ、また還元的条件下で形成されたと思われる緑灰~明緑灰色のカラーバンドも認められる。 これらのバンドは生痕化石を切るように発達しているため、初期続成で形成されたと思われる。オン トンジャワ海台の PC03 サイトでは有孔虫を豊富に含む明灰~明オリーブ灰色の石灰質軟泥からなる堆 積物が得られた。コアの 30 cm 深度より下位では黒色スポットが豊富に認められ、また 65 cm 層準よ り下位では緑灰~明緑灰色のカラーバンドが認められる。PC04 サイトでは、明灰色~明オリーブ灰色 石灰質軟泥からなる堆積物が得られた。コアの 85 cm 深度より下位では黒色スポットや緑灰~明緑灰 色のカラーバンドが認められる。シンポジウムでは、年代値や堆積物の物性・化学データなどに基づ き予察的報告をしたい。 ピストンコア採泥地点
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