生命力のある若菜を食べて、一年の無病息災 を祈願する「七草粥」の伝統行事を次世代へ伝 えようと、1 月 7 日、農業・農村ギャラリー「旬」 (東京都大手町)では、来館者に七草粥 400 杯 を振る舞った。 山形産米「はえぬき」使用のお粥に、神奈川 県三浦市産の「春の七草」 (ナズナ、ホトケノザ、 ゴギョウ、セリ、スズナ、スズシロ、ハコベ) をたっぷり入れ、薄い塩味で仕上げた七草がゆ 農業・農村ギャラリー職員が、先着 400 名に七草粥を 振るまった 約 400 食は、40 分ほどで好評のうちに配布終了 した。訪れた親子連れは、「今年は受験なので、 七草がゆを食べて風邪をひかないように乗り切りたい」と話していた。お弁当と一緒に七草粥を食べて いた会社員は「優しい味で体に良さそう。普段、味付けが濃い食事が多いので嬉しい」と喜んだ。 使用された七草は、 「三浦七草会」が生産販売した「春の七草」セット。 「三浦七草会」では、三浦市 と横須賀市の生産者 5 人で、昭和 63 年から七草パックを作っている。注文数は年々増加傾向にあり、 今年度は年末年始の約 10 日間でおよそ 130 万パックを出荷。消費地に近い物流面の利便性を生かし、 全国の 24 市場を通して、首都圏を中心に北海道から関西まで、量販店などの契約先へ販売した。代表 の岩崎重夫さんは、 「今年は七草の発育時期に曇天が続くなど成長に遅れが見られた。また気候が温暖 な三浦半島では珍しく、寒波の影響でマイナスまで気温が下がった。霜が解けてから収穫しないと野菜 が傷むので、例年暗いうちから行う収穫作業が、日が照ってからでないと行えず、納期に間に合わせる ため作業の遅れを取り戻すのに苦労した」と話していた。 農業・農村ギャラリーでは、家庭でも伝統行事を楽しんで もらおうと「春の七草パック」を 5、6 日に限定販売した。二 月の節分には「豆まき」用に国産大豆のテトラパック配布を 予定しており、同ギャラリー川並マネージャーは「日本の伝 統行事や文化を発信する場所として、今後も様々な企画を考 えている」と話している。
© Copyright 2024 ExpyDoc