平成 28 年 3 月号 労働保険事務組合 エンジェル会だより 会 長 特定社会保険労務士 森戸 北野 常雅 栄喜 〒730-0017 広島市中区鉄砲町 7 番 8 号 ホームページ: http: //www.m-cg.co.jp 3月の事務カレンダー 10 日 ○源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付【郵便局または銀行】 ○雇用保険被保険者資格取得届の提出【公共職業安定所】 ○労働保険一括有期事業開始届の提出【労働基準監督署】 15 日 ○所得税、個人住民税、個人事業税、贈与税の確定申告・納税【税務署】 31 日 ○法人税の申告と納税(1 月決算法人及び 7 月決算法人の中間申告)【税務署】 ○個人消費税の申告と納税【税務署】 ○健保・厚生保険料の納付【郵便局または銀行】 グレーゾーンの社会保険料削減方法について 毎月納めなくてはならない社会保険料については、会社によっては毎月高額な支出と なり、削減できることなら削減したい経費であり、インターネット上でもいろいろな社 会保険料削減方法が紹介されていますが、中には合法とも違法ともとれるいわばグレー ゾーンと思われる社会保険料削減方法があります。 今回は、グレーゾーンと思われる社会保険料削減方法をいくつかご紹介いたします。 ●4月から6月の残業を減らす 社会保険料は、原則として毎年4月、5月、6月に支給された給与額で決定されます。 したがって、この期間の残業代を抑えることができれば、必然的に社会保険料を低減す ることができます。 しかし、本来期日どおりに支払わなければならない残業代を、4月、5月、6月に支 払うべき残業代を7月以降に支給している場合は違法となります。 労働基準法24条では「毎月1回以上、一定期日での支払い」が規定されており、残 業代は発生した月に支払うことが原則とされています。 本当にその期間の残業代が減っているのであれば問題ありませんが、支給日を操作 することはできません。 ●雇用契約を請負契約へ変更する 請負契約とは、請負人が労働の結果としての成果物を提供し、注文者はその成果物 に対して報酬を支払う契約です。 この場合、請負人は個人事業主となるため、注文者が社会保険に加入する必要はな くなりますが、それが本当に請負契約なのかという点です。 形式的に請負契約を取り交わしていたとしても、その実態が「労働者」であれば、 注文者は、その「労働者」に対する社会保険料を違法に免れている、ということにな ります。 労働者性の判断は、以下の要件を満たす場合には、請負人は「労働者」、注文者は その「事業主」と判断され、社会保険への加入の義務が発生します。 「労働者」としての判断基準は、以下のとおりです。 ① 具体的な仕事の依頼、業務従事の指示等に対して諾否の自由がない ②業務の内容や遂行方法について、具体的な指揮命令を受けている ③「使用者」の命令、依頼等により通常予定されている業務以外の業務に従事するこ とがある ④勤務場所や勤務時間が指定され管理されている等、拘束性がある ⑤本人に代わって他者が労務提供をすることが認められていない、 また、本人自らの判断で補助者を使うことが認められていない ⑥労働の対償として賃金が支払われている ⑦業務に使用する機械、器具、消耗品等を「使用者」が提供している ●通勤費を給与に含めず、別途支払う 通勤手当は「経費であり労働の対償ではない」との考え方から、社会保険料の算定 の基礎に含める「報酬」として扱うことについては疑義も多くあり、過去に国会でも 質問されています。 しかし、現状では、「通勤手当は社会保険料の算定の基礎に含める報酬である」こ とが改めて確認されています。
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