特別レポート|足元の原油価格急落をどうみるか

特別レポート
情報提供資料
原油価格急落が世界経済の不安材料として嫌気されています(図1左)。特に、
国家予算を石油収入に依存する産油国では、同収入減が財政赤字拡大または社会
保障などの歳出減を招き、国内経済が不安定化するリスクに要注意です(図1右)。
80
60
40
20
0
1990 1995 2000 2005 2010 2015
注)凡例はすべてザラバベース。
▲47 ▲47 ▲45
1,800
2014年10月10日
1,609
1,600
▲39
2015年
1月2日
1,482
1,000
▲48
▲48
サウジアラビア
ロシア
ナイジェリア
カナダ
ベネズエラ
オーストラリア
シンガポール
中国
インド
日本
原油
の純輸入国・地域
▲43 ▲43
注)米ドルの各通貨に対する変化率×原油価格の変化率
で算出。原油価格はWTI先物価格(期近物)。
巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」を必ずご覧ください。
出所)IMF、各種情報より当社経済調査部作成
出所)Bloombergより当社経済調査部作成
世界 原油需給
(万バレル/日)
1,200
▲40 ▲41
注)2015年ベース。
出所)Bloombergより当社経済調査部作成
1,400
▲48
U
A
E
(年)
米国 石油掘削装置の稼動数
▲1
米国
注)原油・石油製品純輸出額×▲50米ドル÷名目GDP。
同純輸出額は2013年、名目GDPは2014年値を利用。
オセアニアはオーストラリアとニュージーランド。
出所)BP、IMFより当社経済調査部作成
2015年1月7日
46.83
2008年12月19日
32.4
(基)
(直近1年間、2015年1月7日時点)
ユーロ圏
旧ソ連
中東・
北アフリカ
西・
東南アフリカ
カナダ
純輸出額の減少 ▲11.2
中南米
オセアニア
その他アジア
インド
日本
中国
欧州
米国
原油・石油製品
の純輸入国・地域
100
イラン
‐10
120
サウジアラビア
▲0.7
▲2.5
▲5.9 ▲5.7
‐5
2008年7月11日
147.27
140
イラク
0.8
0
0
‐10
‐20
‐30
‐40
‐50
‐60
(米ドル/バレル)
140
120
100
80
60
40
20
0
ロシア
2.5
0.7 1.0 1.6 1.1
4.6
(%)
主要産油国 財政均衡に必要な原油価格
160
現地通貨建て原油価格の変化率
(%) (原油・石油製品価格が50米ドル/バレル下落した場合)
純輸入額の減少
原油先物価格(WTI期近物)
(米ドル/バレル)
UAE
所得移転効果(対名目GDP比)
【図1】 原油価格急落で、財政悪化リスクが高まる産油国経済
【図3】 米国に生産調整の兆し、2015年の原油需給は徐々に安定へ
【図2】 原油安はエネルギーコスト抑制を通じ、主要国経済にプラスも
‐15
国際投信投資顧問/投資情報部
カタール
ただし、原油価格は今年末に向け徐々に持ち直すと予想します。原油安要因に
はシェール革命による米国の生産増もありますが、足元生産調整の兆しがみられ
ます(図3左)。他方、世界的な景気回復色が強まるに従い原油需要も拡大、供給
過剰が是正に向かうことも価格下支えに寄与すると考えます(図3右)。(瀧澤)
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経済調査部
クウェート
一方で原油安は、原油純輸出国から純輸入国への所得移転を促します(図2左)。
またガソリン・電気代などのエネルギーコスト抑制を通じ(図2右)、家計・企業
の消費・投資を刺激する期待も高まります。特に、純輸入国である日米欧中など
の主要国中心に恩恵が大きいと考えます。IMF(国際通貨基金)は昨年12月、原油
安の効果で2015年の世界GDPが+0.3~0.7%押し上げられるとの見方を示しました。
10
2015年1月9日号
足元の原油価格急落をどうみるか
Focus
S
800
600
400
200
0
1990 1995 2000 2005 2010 2015
(年)
注)データは週次。
出所)Bloombergより当社経済調査部作成
9,500
9,400
9,300
9,200
9,100
9,000
8,900
8,800
8,700
8,600
8,500
(万バレル/日)
供給量(左軸)
需要量(左軸)
見通し
2014年10‐12月期
~2015年10‐12月期
供給量(うち米国、右軸)
2011
2012
2013
2014
2015
(年)
1,800
1,700
1,600
1,500
1,400
1,300
1,200
1,100
1,000
900
800
注)データは四半期。見通しはOPEC(石油輸出国機構)
(世界全体の供給量のみOPEC加盟国が日量3,000万
バレルで一定と仮定し、当社経済調査部が算出)。
出所)OPECより当社経済調査部作成
KOKUSAI Asset Management Co., Ltd.
1
S
特別レポート 2015年1月9日号
国際投信投資顧問/経済調査部
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KOKUSAI Asset Management Co., Ltd.
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