O 情報提供資料 アジア投資環境レポート 2015年1月19日号 Focus アジア投資環境レポート (%) 政策金利と銀行間金利 (日次) 12 11 10 限界貸出制度 (MSF)金利 12 銀行間 翌日物金利 11 (%) 5 4 3 2 (%) 消費者物価の前年比 (月次) 6 注) 直近値は 2015年1月16日 (年) 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 60 その他 野菜・果物 穀物・豆 牛乳・卵・ 肉・魚 0 5 -2 -4 4 2012 2013 2014 (年) 出所) インド準備銀行(RBI)、インド統計局、CEIC、Bloomberg 175 150 8 2 コア物価 2014年 2013年 4 7 225 200 80 6 レポ金利 (2010年=100) 物価指数(線:右軸) 10 総合物価 消費者物価指数(野菜)と前年比 食品物価 14 8 リバース・レポ (RRP)金利 (%) 100 12 9 (政策金利) 食品物価の前年比 (月次) 16 注) コア物価は食品と燃料を除く 直近値は2014年12月 8 6 http://www.kokusai-am.co.jp 経 済 調 査 部 【図2】 野菜物価の前月比は低下し、前年比の伸びも低位(右) 10 9 7 20 15年 1月1 9日号 インド:予想外の緊急利下げを歓迎して上昇するルピー相場 【図1】 インフレ率が鈍化する中、緊急利下げを実施(左) 13 国際投信投資顧問/経済調査部 2012年 40 物価前年比 100 (棒:左軸) 2014年 20 125 2013年 75 50 0 注) 食品消費者物価の前年比と主要項目別寄与度、 直近値は2014年12月 2012 2013 2014 (年) 注) 直近値は 2014年12月 -20 25 0 1月 4月 7月 10月 出所)インド統計局、CEIC 先週15日、インド準備銀行は緊急利下げを実施。政策金利を8%から7.75%に引下げ コア消費者物価の前年比は+5.2%と前月の+5.5%より鈍化(図1右)。景気回復が勢い ました(図1左)。市場は予想外に早期の利下げを歓迎、株価は寄付きより大きく上昇、 を欠く中で、需要側からのインフレ圧力は限定的な模様です。先週14日公表の12月の 株式投資資本の流入などに伴ってルピーも対米ドルで前日比0.2%上昇しました。 総合卸売物価の前年比は+0.1%と前月の0.0%に続き極めて低位。燃料や食品が鈍化を 市場の予想外の利下げは、インフレ圧力の鈍化などに促されたとみられます。先週 12日に公表された12月の総合消費者物価は前年比+5.0%と前月の+4.4%より反発しつつ 低位でした(図1右)。食品が同+5.1%と前月の+3.6%より上昇しつつ低位に留まり(図2左 続ける中で、川上からのインフレ圧力も極めて弱い模様です。前年高ベース効果のは く落は2月まで続き(図2右)、総合消費者物価の前年比は上昇するであろうものの、食 品と燃料の価格が落着いている中、当面+5.5%前後で推移する可能性が高いでしょう。 )、総合物価の伸びを抑制。作付期の雨不足の影響から上昇が懸念された穀物が同 RBIの声明は、予想以上のインフレ圧力の鈍化が政策スタンスの変更(利下げ)の余地 +4.0%と前月の+5.2%より鈍化し、野菜が同+0.6%と前月の▲11.0%より反発しつつ低 を生んだと説明。インフレ圧力鈍化の背景として、野菜・果物価格の下落、穀物価格 位に留まった影響です。野菜の前月比(季節調整前)は低下を続けており、一昨年の天 上昇圧力の鈍化、原油など一次産品価格の急落、弱い需要圧力、政府による財政赤字 候不順に伴う同物価高騰からの反動(前年高ベース効果)が昨年12月よりはく落する中 目標達成(財政健全化)に向けた姿勢などを列挙しました。前政権下では拡張的な財政 でも、同物価の前年比を抑えました(図2右)。また、燃料も前年比+3.4%と前月と変わ 支出が需要を過度に刺激しインフレ圧力を高めたという反省から、現政権は財政赤字 らず。国際燃料価格下落の影響の多くは、燃料税の引上げによって吸収されました。 の縮小に取組んでおり、RBIはこうした政府の姿勢を前向きに評価している模様です。 巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」を必ずご覧ください。 KOKUSAI Asset Management Co., Ltd. 1 O 国際投信投資顧問/経済調査部 アジア投資環境レポート 2015年1月19日号 低下するインフレ圧力と改善する貿易収支 RBIは、今後の追加利下げの要件として、(1)インフレ圧力鈍化の継続、(2)財政再建 の継続、(3)供給制約の解消と主要な投入財(電力、土地、鉱物、インフラ等)の確保に 向けた措置などを列挙。上記(3)は、今後景気拡大が加速した際にインフレ圧力を抑 えるためには、潜在成長力の引上げが不可欠との考えによります。RBIは、2月下旬 公表の来年度予算案に盛込まれるであろう政府の財政再建策や、物価動向をにらみつ つ、年内に累計0.75%ポイント程度の追加利下げを行う可能性が高いと考えられます。 足元では、貿易収支も改善しています。先週15日公表の通関統計では、12月の貿易 赤字が94億米ドル(以下「ドル」)と、前月の169億ドル、前年同月の102億ドルを下回り ました(図3左)。輸入は前年比▲4.8%と前月の+26.8%より反落。石油の輸入額が99億 ドルと前月の117億ドル、前年同月の139億ドルより減少、国際燃料価格の急落の恩恵 【図3】 12月の貿易赤字は石油と金の輸入額の減少に伴って縮小(左) (億米ドル) 物価と通関統計は、同国を悩ませた低成長、高インフレ、貿易・経常赤字の拡大とい う経済の不均衡が、原油安の恩恵も受けつつ改善しつつあることを印象付けました。 300 石油と金を除く 貿易収支(a) 50 経常収支 (四半期) 400 注1) 輸入額は マイナス表示 100 経常移転 200 サービス 100 0 0 石油 (b) -50 金 (c) -100 -150 -200 貿易 所得 -500 -200 -250 2012 注) 直近値は 2014年7-9月期 -600 注2) 直近値は2014年12月 2010 経常収支 -400 (a+b+c) 2008 -100 -300 貿易収支 です。金の輸入額も13億ドルと、前月の56億ドルより減少。10-11月の金輸入の急増 は、ヒンドゥー教祝祭日(Diwali)などに伴う一時的なものであった模様です。12月の (億米ドル) 石油・金輸入額と貿易収支(月次) 150 2014 (年) -700 2004 2006 2008 2010 2012 2014 (年) 出所) インド商工省、インド準備銀行(RBI)、CEIC 今後も堅調な推移が予想されるルピー相場 インド・ルピーは年初より先週16日までに対ドルで1.9%上昇するなど(図4左)、他の 新興国通貨に比べ堅調でした(図4右)。燃料輸入依存度の高さゆえに国際原油価格急 落の恩恵を受けやすい貿易構造、インフレ率低下に伴って高まる利下げの期待などが、 同国への資本流入を促しルピー相場を支えたとみられます。通常、利下げは通貨を押 【図4】 年初より、他の主要新興国通貨に比べ堅調なルピー相場(右) (億米ドル) 3,600 為替相場と外貨準備 ルピー相場(右軸) 直近値: 2015年 1月16日 3,400 下げる場合が多いものの、同国の場合、景気減速ではなくインフレ率の低下という好 3,200 ましい変化に伴う(実質金利は上昇している)点が好感されている模様です。また、同 3,000 (ルピー/米ドル) ルピー高 ルピー安 国は債券に比べ株式投資資本の流入額の比重が高く、利下げによる景気回復への期待 から株式投資資本の流入が促されたため、通貨が押上げられた面も強いとみられます。 2,800 緩やかに回復する景気、鈍化するインフレと改善する経常収支、現政権による経済 2,600 構造改革や投資環境改善に向けた取組みに伴って期待される潜在成長力の改善などが、 2,400 外貨準備(左軸) 今後もルピー相場を支えると予想されます。2月下旬に公表される新年度予算案に盛 り込まれるであろう財政再建策や経済構造の改善策も、市場心理の改善に寄与する可 2,200 能性が高いでしょう。ルピー相場は今後も底堅く推移し、相対的に高金利のルピー建 2,000 て債券投資の総合収益率を下支えると予想されます。(入村) 巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」を必ずご覧ください。 直近値: 2015年1月9日 2009 2011 2013 2015 (年) 42 44 46 48 50 52 54 56 58 60 62 64 66 68 70 主要新興国通貨の対米ドル相場騰落率 (2014年12月31日~2015年1月16日) アジア NIEs 韓国 台湾 シンガポール マレーシア 東南 アジア 南アジア タイ フィリピン インドネシア インド ブラジル 中南米 メキシコ コロンビア 欧州 中東 アフリカ ロシア トルコ 南アフリカ (%) -8 -6 -4 -2 0 2 出所) インド準備銀行(RBI)、Bloomberg KOKUSAI Asset Management Co., Ltd. 2 O アジア投資環境レポート 2015年1月19日号 国際投信投資顧問/経済調査部 本資料に関してご留意頂きたい事項 本資料は投資環境等に関する情報提供を目的として、国際投信投資顧問が作成したものです。本資料は投資勧誘を目的とするものではありません。 なお、以下の点にもご留意ください。 ○ 本資料中のグラフ・数値等はあくまでも過去のデータであり、将来の経済、市況、その他の投資環境に係る動向等を保証するものではありません。 ○ 本資料の内容は作成基準日のものであり、将来予告なく変更されることがあります。 ○ 本資料は信頼できると判断した情報等をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性等を保証するものではありません。 ○ 本資料に示す意見等は、特に断りのない限り本資料作成日現在の国際投信投資顧問経済調査部の見解です。 また、国際投信投資顧問が設定・運用する各ファンドにおける投資判断がこれらの見解に基づくものとは限りません。 巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」を必ずご覧ください。 KOKUSAI Asset Management Co., Ltd. 3
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