【バーチャル口述試験:パターン E】 Q1:では,これから土地家屋調査士口述試験をはじめます。氏名,生年月日と受験番号をお願いします。 A1:日建よいこです。生年月日は,昭和〇〇年〇月〇日,受験番号は 20 番です。 Q2:それでは,不動産登記法について質問します。まず,地目の変更登記について,共有地の地目の変 更の登記は,その共有者のうち一人から申請することができますか? A2:できます。 Q3:それはなぜですか? A3:土地の地目変更登記は報告的登記であり,民法上,共有物の保存行為に該当するからです。 Q4:では,農地を宅地に変更し,これに伴う地目の変更の登記を依頼された場合,どのようなことに気 をつけますか? A4:その土地について,農地法に基づく転用許可を受けているかどうかを確認します。 Q5:それだけですか? A5:実際に現地が宅地として認定できる状態にあるかどうかを確認します。 Q6:では,具体的にどのような状態にあれば,宅地と認定することができるのでしょうか? A6:たとえば,宅地造成工事をしたうえ,建物の基礎工事がされているような状態であれば宅地として 認定できます。 Q7:仮に,その土地が農地法に基づく転用許可を受けていなかった場合,どうなりますか? A7:都道府県知事から原状回復命令が出されることがあり,その場合には,地目の変更があったものと は取り扱われないため,宅地として認定することはできません。 Q8:建物についての質問に移ります。不動産登記法上,建物と認定するための要件をお答えください。 A8:屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し,土地に定着した建造物であって,その目的とする用 途に供し得る状態にあり,また,取引の対象となるものでなければなりません。 Q9:では,建物の床面積の算出方法の原則をお答ください。 A9:建物の床面積は,各階ごとに壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積により,平方 メートルを単位として定め,1平方メートルの 100 分の1未満の端数は,切り捨てるものとします。また, 区分建物にあっては,壁その他の区画の内測線で囲まれた部分の水平投影面積により算定することになり ます。 Q10:エレベーター室や階段室は各階の床面積に算入されますか? A10:はい。各階の床面積に算入されます。 Q11:単に屋上に出るためだけの階段室も同様ですか? A11:いいえ,単に屋上に出るためだけの階段室は床面積に算入しません。 Q12:では,数個の区分建物からなる一棟の建物におけるエレベーター室や階段室の床面積の算入につい てはいかがでしょう? A12:一棟の建物の床面積には算入しますが,当該部分は法定共用部分として取り扱いますので,各専有 部分の床面積には算入しません。 Q13:ここからは,筆界特定について質問していきます。まず,筆界特定の定義をお答えください。 A13:一筆の土地及びこれに隣接する他の土地について,筆界特定登記官が,筆界の現地における位置を 特定することです。 Q14:筆界調査委員についてお伺いします。筆界調査委員は,どのような目的で設置されるのでしょうか? A14:筆界特定について必要な事実の調査を行い,筆界特定登記官に意見を提出させるために設置されま す。 Q15:なるほど。では,筆界調査委員に任命されるのはどのような者でしょう? A15:先ほど解答した職務を行うのに必要な専門的知識及び経験を有する者です。 Q16:具体的には? A16:土地家屋調査士や筆界確定訴訟の経験がある弁護士等が該当するものと考えます。 Q17:筆界調査委員の任命権者は? A17:法務局又は地方法務局の長です。 Q18:ところで,筆界特定を申請できる土地は登記されていなければなりませんか。 A18:最低限,対象土地の一方の土地は登記されている必要があります。 Q19:ということは,未登記の土地の所有者であっても筆界特定の申請をすることができるということで しょうか? A19:そういうことになります。筆界特定の申請適格者は所有権登記名義人等とされており,その所有権 登記名義人等には「表題登記がない土地にあっては所有者」が含まれるとされておりますので,未登記の 土地の所有者から筆界特定の申請をすることは可能と考えます。 Q20:先ほど,「筆界特定とは,筆界特定登記官が現地において筆界を特定すること」と解答されました が,もし,現存の資料からは現地において筆界を特定することができないときは,その位置の範囲を特定 することも可能でしょうか? A20:可能です。 Q21:それでは,土地家屋調査士法に関する質問に移ります。土地家屋調査士として業務を始めるときは, どのような手続が必要になりますか? A21:事務所を設けようとする地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された調査士会を 経由して調査士会連合会に登録申請書を提出すると同時に,その経由すべき調査士会に入会する手続をと らなければなりません。 Q22:なぜ,調査士会への入会が義務付けられているのでしょうか? A22:調査士会の指導,監督のもとに,会員相互が自主的かつ団体的に切磋琢磨し,品位保持と業務の改 善進歩を図り,調査士法の所期の目的に従って適正な業務を行うためであると考えます。 Q23:土地家屋調査士は懲戒処分を受けることがありますが,土地家屋調査士法第 42 条に規定されている 懲戒処分の全てをお答えください。 A23:戒告,2年以内の業務の停止,業務の禁止です。 Q24:では,調査士法人に対する懲戒処分は? A24:戒告,2年以内の業務の全部又は1部の停止,解散です。 Q25:土地家屋調査士法第 56 条に注意勧告に関する規定がありますが,その内容を教えてください。 A25:調査士会は,所属の会員が調査士法又は調査士法に基づく命令に違反するおそれがあると認めると きは,会則の定めるところにより,会員に対して,注意を促し,又は必要な措置を講ずべきことを勧告す ることができる,というものです。 Q26:懲戒処分も注意勧告も法務局又は地方法務局の長が行うのでしょうか? A26:いいえ。注意勧告は調査士会が行います。 ~パターンE:各解答における参照条文等~ 解答番号 参照条文等 A1 - A2 不動産登記法第 37 条 A3 民法第 252 条 A4 財団法人民事法務協会刊「地目認定改訂版」296 頁~297 頁参照 A5 不動産登記事務取扱手続準則第 68 条 A6 財団法人民事法務協会刊「地目認定改訂版」284 頁参照 A7 財団法人民事法務協会刊「地目認定改訂版」296 頁~297 頁参照 A8 不動産登記規則第 111 条 A9 不動産登記規則第 115 条 A10 不動産登記事務取扱手続準則第 82 条第6号 A11 財団法人民事法務協会刊「建物認定3訂版」325 頁 A12 建物の区分所有等に関する法律第4条第1項 A13 不動産登記法第 123 条第2号 A14 不動産登記法第 127 条第1項 A15 不動産登記法第 127 条第2項 A16 不動産登記法第 128 条 A17 不動産登記法第 127 条第2項 A18 不動産登記法第 123 条第1号・第2号 A19 不動産登記法第 131 条第1項・第 123 条第5号 A20 不動産登記法第 123 条第2号 A21 土地家屋調査士法第8条第1項・第9条第1項・第 52 条第1項 A22 土地家屋調査士法第 47 条第2項 A23 土地家屋調査士法第 42 条 A24 土地家屋調査士法第 43 条 A25 土地家屋調査士法第 56 条 A26 土地家屋調査士法第 56 条・第 42 条・第 43 条
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