【バーチャル口述:パターンB】 Q1:それでは,土地家屋調査士口述試験

【バーチャル口述:パターンB】
Q1:それでは,土地家屋調査士口述試験を行います。そんなに緊張しないで,リラックスして受けてく
ださい。では,まず確認のため,口述試験の受験番号,氏名及び生年月日をお願いします。
A1:はい。受験番号は 10 番,日建次郎です。生年月日は昭和●●年●月●日です。
Q2:土地地積更正登記について伺います。土地地積更正登記とは,どのような登記ですか?
A2:登記記録上の地積と現況の地積との間について,原始的な不一致が存在する場合に,それを是正す
るときに申請することができる登記です。
Q3:では,土地分筆登記を申請する前提として,地積更正登記が必要となる場合とは,どのような場合
でしょうか?
A3:分筆前の地積と分筆後の地積の差が,分筆前の地積を基準にして,規則第 77 条第5項の規定による
地積測量図の誤差の限度を超える場合です。
Q4:地積更正登記の法定添付情報をお答えください。
A4:地積測量図と,土地家屋調査士が代理申請をする場合には代理権限証書を提供します。
Q5:次に,図面について伺います。登記所に備え付けられている土地に関する図面を全てお答えくださ
い。
A5:地図,地図に準ずる図面,土地所在図,地積測量図及び地役権図面です。
Q6:地図については,法務局が作成するもの以外にも,地図として備え付けることができる図面があり
ますが,具体的にはどのような図面でしょうか?
A6:国土調査法の規定により登記所に送付された地籍図や,土地改良事業又は土地区画整理事業におい
て作成された土地所在図があります。
Q7:では,地図と地図に準ずる図面との機能の違いをお答えください。
A7:地図の機能には,登記されている土地を現地において特定することができる「現地特定性」に加え
て,現地における土地の形質が変更されている場合に,地図に基づいて筆界を復元することができる「現
地復元性」があります。一方,地図に準ずる図面には,
「現地復元性」がありません。
Q8:次に,建物に関する質問に移ります。表題登記がある建物に関して,これと効用上一体として利用
する建物を新たに建築した場合には,どのような登記を申請することになりますか?
A8:建物表題部変更登記を申請します。
Q9:その登記に申請義務はありますか?
A9:建物表題部変更登記は報告的登記ですので,申請義務が課されています。
Q10:その登記の申請人は,どのような人でしょうか?
A10:建物の表題部所有者又は所有権登記名義人です。
Q11:その登記の申請において,添付情報としては,どのようなものを提供しますか?
A11:建物図面,各階平面図,所有権証明書,土地家屋調査士の代理申請による場合には代理権限証書を
提供します。
Q12:その登記が完了した後に,所有権登記名義人が一方の建物のみを売却した場合には,どのような表
示に関する登記を申請すべきですか?
A12:そのままでは買受人が所有権登記を受けることができないので,所有権移転登記の前提として,建
物分割登記を申請することになります。
Q13:ここからは,土地家屋調査士法について質問していきます。土地家屋調査士法第1条を原文のまま
お答えください。
A13:はい。この法律は,土地家屋調査士の制度を定め,その業務の適正を図ることにより,不動産の表
示に関する登記手続の円滑な実施に資し,もって不動産に係る国民の権利の明確化に寄与することを目的
とする。以上です。
Q14:次に,土地家屋調査士の業務を,ADR以外で,3つお答えください。
A14:先ず,
「不動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査又は測量」です。次に,
「不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続についての代理」があります。
それから,
「筆界特定の手続についての代理」が挙げられます。
Q15:では,土地家屋調査士の業務を,調査士会に入会していない個人や法人が行った場合には,どのよ
うな罰則がありますか?
A15:1年以下の懲役又は 100 万円以下の罰金に処されます。
Q16:また,土地家屋調査士に対する懲戒処分については3種類ありますが,それら3つをお答えくださ
い。
A16:戒告,2年以内の業務の停止,業務の禁止となります。
Q17:土地家屋調査士には依頼に応じる義務がありますが,拒むことは許されませんか?
A17:正当な事由があれば,拒むことができます。
Q18:では,正当な事由がなければ断れないのはなぜでしょうか?
A18:土地家屋調査士は国家から独占業務を保障されている者であり,そもそも国民のために尽力しなけ
ればならないという前提の下に成り立っている士業であるからです。たとえば,建物表題登記など,不動
産の所有者に申請義務が課されている登記の代理申請の依頼を,調査士が正当な事由なく断った場合,国
民の義務の履行に支障が生ずることにつながります。したがって,土地家屋調査士は,正当な事由なくし
て依頼を断ることができないものと考えます。
Q19:正当な事由なく,依頼を拒んだ場合はどのような罰則がありますか?
A19:100 万円以下の罰金に処されます。
Q20:懲役の可能性はありませんか?
A20:依頼に応ずる義務違反の場合ですから,懲役はありません。
~パターンB:各解答における参照条文等~
解答番号
参照条文等
A1
-
A2
不動産登記法第 38 条
A3
不動産登記事務取扱手続準則第 72 条第1項
A4
不動産登記令別表第6項添付情報欄,不動産登記令第 18 条
A5
不動産登記法第 14 条,不動産登記令第2条第2号・第3号・第4号
A6
不動産登記規則第 10 条第5項・第6項
A7
不動産登記規則第 10 条第3項,不動産登記法第 14 条第4項
A8
不動産登記法第 51 条第1項
A9
不動産登記法第 51 条第1項
A10
不動産登記法第 51 条第1項
A11
不動産登記令別表第 14 項添付情報欄,不動産登記令第 18 条
A12
不動産登記法第 54 条第1項第1号
A13
土地家屋調査士法第1条
A14
土地家屋調査士法第3条
A15
土地家屋調査士法第 68 条第1項・第 69 条
A16
土地家屋調査士法第 42 条
A17
土地家屋調査士法第 22 条
A18
土地家屋調査士法第 22 条
A19
土地家屋調査士法第 70 条第1項
A20
土地家屋調査士法第 70 条第1項