【バーチャル口述試験:パターンF】 Q1:では,これから土地家屋調査士口述試験を行います。氏名,生年月日と受験番号をお願いします。 A1:日建三郎です。生年月日は,平成〇年〇月〇日,受験番号は 33 番です。 Q2:土地家屋調査士法の問題です。土地家屋調査士法の目的とは,どのようなものでしょうか? A2:土地家屋調査士の制度を定め,その業務の適正を図ることにより,不動産の表示に関する登記手続 の円滑な実施に資し,もって不動産に係る国民の権利の明確化に寄与することを目的としています。 Q3:土地家屋調査士の職責について,土地家屋調査士法第2条において,どのように規定されています か? A3:土地家屋調査士は,常に品位を保持し,業務に関する法令及び実務に精通して,公正かつ誠実にそ の業務を行わなければならないと規定されています。 Q4:土地家屋調査士に,このような職責が求められているのはなぜですか? A4:土地家屋調査士は,不動産に関する国民の権利を保全する不動産登記制度の一翼を担う専門家とし て広く国民から信用されるべき者であり,特に,筆界調査においては高度な公平性を要求される者である ことから,そのような職責が規定されているものと考えます。 Q5:土地家屋調査士に対する懲戒処分について3種類ありますが,それらすべてを挙げてください。 A5:戒告,2年以内の業務の停止,それから業務の禁止の処分です。 Q6:懲戒処分を行うのは誰ですか? A6:懲戒処分の対象となる土地家屋調査士の事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長です。 Q7:土地家屋調査士に業務を依頼した者以外の者であっても,当該土地家屋調査士について,懲戒処分 を求めることが可能でしょうか? A7:可能です。 Q8:それはなぜですか? A8:土地家屋調査士法第 44 条第1項において, 「何人も,調査士又は調査士法人にこの法律又はこの法 律に基づく命令に違反する事実があると思料するときは,当該調査士又は調査士法人の事務所の所在地を 管轄する法務局又は地方法務局の長に対し,当該事実を通知し,適当な措置をとることを求めることがで きる。 」と規定されているからです。 Q9:土地家屋調査士が業務の禁止処分を受けた場合には,どのような効果が発生しますか? A9:土地家屋調査士法第5条の欠格事由に該当し,登録が取り消されます。 Q10:土地家屋調査士法第 56 条に注意勧告に関する規定がありますが,この注意勧告について説明してく ださい。 A10:調査士会は,所属の会員がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反するおそれがあると認めると きは,会則の定めるところにより,当該会員に対して,注意を促し,又は必要な措置を講ずべきことを勧 告することができます。 Q11:では,この注意勧告と懲戒処分との関係について説明してください。 A11:この注意勧告がなされることにより,懲戒処分を予防することができます。 Q12:ここからは,不動産登記法について質問します。表示に関する登記は,大きく分類すると報告的登 記と創設的登記に分類されますが,それぞれの登記について代表的な登記の目的を挙げて,その違いを説 明してください。 A12:報告的登記の代表例としては,土地及び建物の表題登記が挙げられます。これらの登記には申請義 務が課せられております。一方,創設的登記の代表例としては,土地の分筆の登記や合筆の登記が挙げら れます。これらの登記には申請義務が課せられておりません。 Q13:登記官の職権主義について説明してください。 A13: 「表示に関する登記は,登記官が,職権ですることができる。 」と規定する不動産登記法第 28 条を根 拠とするものでありますが,表示に関する登記であっても分筆の登記や合筆の登記といった所有者の意思 に基づいて申請がなされる創設的登記については,職権主義の適用はありません。 Q14:なるほど。では,なぜ不動産登記法第 28 条が設けられているのでしょうか? A14:表示に関する登記は,不動産の物理的状況を正確に公示し,もって取引の安全と円滑に資すること を目的としています。この目的は,所有者等の申請を待つだけではなく,登記官が自らの権限により表示 に関する登記を実行することで,より確実に達成することができます。不動産登記法第 28 条は,この登記 官の権限を条文上明確にするため設けられているものと考えます。 Q15:不動産登記法第 14 条に規定する地図と地図に準ずる図面との違いについて説明してください。 A15:地図には現地復元能力がありますが,地図に準ずる図面には現地復元能力がありません。 Q16:なぜ,地図には現地復元能力があるのでしょうか? A16:地図は,基本三角点等を基礎として行われた測量に基づき作成されているからです。 Q17:区分建物の表題登記について質問します。区分建物の表題登記は,当該区分建物の一棟に属する一 部の専有部分について登記申請ができますか? A17:できません。 Q18:では,専有部分の表題登記はどのように申請すべきでしょうか? A18:一棟の建物に属する全ての区分建物について一括して表題登記を申請しなければなりません。 Q19:区分建物の専有部分のひとつを共用部分と定めた場合,その旨を登記するために必要となる登記申 請手続についてお答えください。 A19:まず,当該専有部分につき表題登記の申請をした上,当該専有部分の表題部所有者から共用部分で ある旨の登記を申請することになります。 Q20:その専有部分に抵当権の登記がされている場合には,どのような添付情報が必要となりますか? A20:当該抵当権の登記名義人の承諾を証する当該登記名義人が作成した情報又は当該登記名義人に対抗 することができる裁判があったことを証する情報の提供が必要となります。 Q21:そのような添付情報が必要になるのはなぜですか? A21:共用部分である旨の登記をするときは,権利に関する登記が抹消されると規定されているからです。 Q22:数個の区分建物が属する1棟の建物を取り壊した場合,当該区分建物の滅失登記は,区分建物の所 有者のひとりからでも申請することはできますか? A22:はい。できます。 Q23:それでは,地目変更登記についてお尋ねします。農地から非農地への地目変更にあたり,最も注意 すべき点は何ですか? A23:農地法に基づく転用許可を得ているかどうかです。 Q24:地目変更登記の申請人となるべき人はだれですか? A24:表題部所有者又は所有権の登記名義人です。 Q25:地目変更登記を申請する場合において,登記の原因の日付が不明のときは,申請情報の登記原因と その日付をどのように記載することになりますか? A25:年月日不詳地目変更と記載します。 ~パターンF:各解答における参照条文等~ 解答番号 参照条文等 A1 - A2 土地家屋調査士法第1条 A3 土地家屋調査士法第2条 A4 土地家屋調査士法第2条 A5 土地家屋調査士法第 42 条 A6 土地家屋調査士法第 42 条 A7 土地家屋調査士法第 44 条第1項 A8 土地家屋調査士法第 44 条第1項 A9 土地家屋調査士法第5条第5号 A10 土地家屋調査士法第 56 条 A11 土地家屋調査士法第 55 条・第 56 条 A12 不動産登記法第 36 条・第 47 条第1項・第 39 条第1項 A13 不動産登記法第 28 条 A14 不動産登記法第1条・第 28 条 A15 不動産登記法第 14 条 A16 不動産登記規則第 10 条第3項 A17 不動産登記法第 48 条 A18 不動産登記法第 48 条 A19 不動産登記法第 58 条 A20 不動産登記令別表第 18 項添付情報欄ロ A21 不動産登記規則第 141 条 A22 不動産登記法第 57 条 A23 財団法人民事法務協会刊「地目認定改訂版」296 頁~297 頁 参照 A24 不動産登記法第 37 条第1項 A25 昭和 34 年 12 月 18 日民甲 2842 号民事局長回答, 「登記研究」397 号参照
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