2014年度後期 応用数学4 レポート問題1 1 ベクトルの演算

2014 年度後期 応用数学4 レポート問題1
2014 年 11 月 7 日 配布
作成者:若杉 勇太
レポート作成上の注意
• 学籍番号と名前を各ページに書くこと.また全体をホッチキス等で止め,ばらばらにならな
いようにすること(紛失を防ぐため).各ページにページ番号と,全体で何ページあるかも
書くこと.
(例:学籍番号:123456 氏名:若杉勇太 ページ:2/3 等を各ページの上に書く)
• 以下の問題から5問選んで解答すること(5問以下でもよい).1問につき 3 点満点で採点
し,15 点満点でレポート点を付ける.(注:小問1つを1問と数えないように)
• 提出期限は 12 月 12 日(金)17 時 とする.
• 提出は講義の時間(講義終了時)に直接提出するかまたは,指定のレポート BOX へ提出す
ること.
• レポートの用紙は基本的には何でもよい.また両面ともに解答を書いてよい(資源の節約の
ため).
• 提出期限を過ぎた場合も提出を受け付けるが,その場合は講義の時間に直接提出すること.
ただし超過日数に応じて減点されるので注意.
• もちろん6問以上解いてもよい.基本は 15 点満点だが,より多くの問題を解答したり,良
い解答を作成するとそれに応じてさらに加点される.
• 解答は丁寧に書くこと.あまりにも雑で判読できないような場合は,大幅に減点されること
がある.
• 全く同じレポートが複数あったり,明らかに不正が見受けられる場合は,大幅に減点される
ことがある.友人と相談して解くのはもちろん構わないが,解答は自分の言葉で書くこと.
1 ベクトルの演算
問 1.1 空間上の3点 A, B, C の位置ベクトルをそれぞれ A, B, C とする.
(i) 三角形 ABC の重心 G の位置ベクトル G は
G=
1
(A + B + C)
3
で与えられることを示せ.
−→ −−→ −−→
(ii) GA + GB + GC = 0 を示せ.
問 1.2 四角形 OABC において,対辺 OA, CB の交点を D,対辺 OC, AB の交点を F とする.ま
た,OB, AC, DE の中点をそれぞれ P, Q, R とする.このとき,点 P, Q, R は同一直線上にあるこ
と(ニュートンの定理)を次の手順で示せ.
1
E
R
C
Q
B
P
O
A
D
(i) 点 O を原点とし,点 A, B, C, D, E の位置ベクトルをそれぞれ A, B, C, D, E とおく.いま
D, E は A, C の定数倍なので,適当な定数 a, c が存在して D = aA, E = cC と表される.この
とき,
B=
a(1 − c)
c(1 − a)
A+
C
1 − ac
1 − ac
と表されることを示せ.
(ii) 3点 P, Q, R の位置ベクトルをそれぞれ P , Q, R とおく.このとき,
(1 − ac)(P − Q) + (Q − R) = 0,
すなわち,P − Q と Q − R は平行(P, Q, R は同一直線上にある)であることを示せ.
問 1.3 力 F の作用で質点が s だけ変位するとき,力 F のなす仕事は F · s で表される.いま質点
に F = i + 2j − k の力が働き,質点が点 P = (1, 1, 2) から点 Q = (4, 3, 3) まで変位したとする.
このときの F のした仕事を求めよ.
問 1.4 平面上の領域 S に対して,S に垂直な向きで,大きさが S の面積に等しいベクトルを S の
面積ベクトルという.いま,原点を O とし,点 A, B の位置ベクトルを A, B とする.このとき,
三角形 OAB の面積ベクトルは
1
A×B
2
で与えられることを示せ.
問 1.5 ベクトル A, B, C に対し,A × (B × C) をベクトル3重積という.このとき
A × (B × C) = (A · C)B − (A · B)C
が成立することを示せ.
問 1.6 (i) ベクトル A, B に対し,
(
)
(A · B)
(A · B)
B+ A−
B =: C + D
A=
|B|2
|B|2
2
は,B に平行なベクトルと B に垂直なベクトルへの分解であること(つまり D · B = 0)を示せ.
(ii) A を,B に平行なベクトルと B に垂直なベクトルに分解する仕方は上のものしかないこと,
つまり,もし他に「A = C ′ + D ′ かつ C ′ は B と平行,D ′ は B と垂直」を満たす C ′ , D ′ があ
れば,C ′ = C, D ′ = D でなければならないことを示せ.
−−→
問 1.7 O, P を定点とし,r = OP とする.また A をベクトルをする.このとき,
M =r×A
を A の点 O に関するモーメントという.点 P を通り A に平行な直線 ℓ を A の作用線とよぶ.O
から ℓ への垂線の足を N ,ON の長さを d とおく.
r×A
ℓ
O
r
A
θ
d
P
N
(i) |M | = d|A| を示せ.
(ii) ℓ 上に別の点 P ′ をとり,P ′ の位置ベクトルを r ′ とする.M ′ = r ′ × A とおくと,M ′ = M
が成立すること,すなわち,A の O に関するモーメントは ℓ 上の点 P の取り方には独立に決まる
ことを示せ.
(iii) 点 O, P の位置ベクトルがそれぞれ i + j + k, 2i − 3j − k で与えられるとき,ベクトル
A = −i + j − k の点 O に関するモーメントを求めよ.
2 ベクトル値関数の微積分
問 2.1 (
ベクトル値関数
A = A(u) に対し,次を示せ.
)
d
A
1 dA d|A| A
=
−
.
du (|A|
|A|
du |A|2
) du
d
dA
d2 A
(ii)
A×
=A×
.
du
du
du2)
(
d
dA
dA
(iii)
(A · A) A = 2A ·
A + |A|2
.
du [
du
du
]
[
]
dA d2 A
dA d3 A
d
A,
,
=
A,
,
.
(iv)
du
du du2
du du3
(i)
3
問 2.2 スカラー値関数 f (u) とベクトル値関数 B(u) に対し,
A(u) = e
−
∫
{∫
f (u)du
∫
B(u)e
}
f (u)du
du + C
(C は任意の定ベクトル)は微分方程式
dA
+ f (u)A(u) = B(u)
du
∫
∫
を満たすことを確かめよ.ここで, f (u)du, B(u)du 等はそれぞれ f (u), B(u) の不定積分を
表す.
問 2.3 次の定積分を求めよ.
∫
π/2
(i)
(sin ui + 2 cos uk) du.
∫0
( 3
)
(3u − 1)i + 2uj + eu k du.
)
∫0 1 (
1
(iii)
ui + ueu j + 2
k du.
u +1
−1
1
(ii)
問 2.4 空間曲線
r(t) = a cos ti + a sin tj + ctk
(t ∈ R)
を考える.a, c > 0 は定数とする.
(i) この曲線の概形を描け(だいたいでよい).
(ii) パラメータが 0 から t まで動くときの曲線の長さ s = s(t) を求めよ.
(iii) r の接線単位ベクトル t を計算し,曲率 κ を求めよ.
(iv) r の主法線単位ベクトル n と従法線単位ベクトル b を計算し,捩率 τ を求めよ.
問 2.5 弧長パラメータで表された曲線 r = r(s) に対し,主法線ベクトル n(s) は
dn
= −κt + τ b
ds
を満たすことを示せ.ここで,t, b, κ, τ はそれぞれ,接線単位ベクトル,従法線単位ベクトル,曲
率,捩率を表す.これにより得られる式
dt
= κn,
ds
dn
= −κt + τ b,
ds
db
= −τ n
ds

  
t
0
κ
 d n = −κ 0
ds
b
0 −τ
をフレネ・セレの公式という.
4
 

0
t
τ  n とも書く.
0
b
問 2.6 原点を中心とする半径 a (> 0) の上半球面 S は
r = r(u, v) = ui + vj +
√
a2 − (u2 + v 2 )k
(u2 + v 2 ≤ a2 )
と表される.
∂r
∂r (i) ×
を求めよ.
∂u ∂v (ii) S の面積を求めよ.またこれより,半径 a の球面の面積が 4πa となることを確認せよ.
(iii) 半径 a の球面のうち,2つの平面 z = z1 と z = z2 の間に挟まれた部分の表面積を求めよ.た
だし −a ≤ z1 < z2 ≤ a とする.
問 2.7 (i) 曲面 r = r(u, v) 上の点 r 0 = r(u0 , v0 ) における接平面の方程式は
(
∂r ∂r
×
∂u ∂v
)
· (R − r 0 ) = 0
で与えられることを示せ.ただし,R は接平面上の任意の点 R の位置ベクトルを表す.
(ii) 曲面 r = r(u, v) = ui + vj + (u2 + v 2 )k 上の点 (1, 1, 2) における接平面の方程式を求めよ.
問 2.8 曲面 r = r(u, v) = x(u, v)i + y(u, v)j + z(u, v)k に対し,
E=
∂r ∂r
·
,
∂u ∂u
F =
∂r ∂r
·
,
∂u ∂v
G=
∂r ∂r
·
∂v ∂v
を第1基本量という.このとき,
∂r ∂r √
2
∂u × ∂v = EG − F
が成立することを示せ.
問 2.9 曲面 r = r(u, v) = ui + vj +
√
a2 − (u2 + v 2 )k (u2 + v 2 ≤ a2 ) に対し,
∂2r ∂2r ∂2r
,
,
を求めよ.
∂u2 ∂u∂v ∂v 2
(ii) この曲面の法単位ベクトル n = n(u, v) を求めよ.
(iii)
∂2r
∂2r
L=
·
n,
M
=
· n,
∂u2
∂u∂v
(i)
N=
∂2r
·n
∂v 2
を求めよ.また,
L=−
∂r ∂n
·
,
∂u ∂u
M =−
∂r ∂n
∂r ∂n
·
=−
·
,
∂u ∂v
∂v ∂u
N =−
を示せ.この L, M, N を第2基本量という.
(iv)
K=
LN − M 2
,
EG − F 2
H=
5
EN − 2F M + GL
2(EG − F 2 )
∂r ∂n
·
∂v ∂v
を求めよ.ただし E, F, G は第1基本量(問 2.8 参照)である.K をガウス曲率,H を平均曲率
という.
問 2.10 質量 m を持つ質点の位置ベクトルが r(t) で与えられているとする.r(t) の速度ベクトル
は v(t) =
dr
(t) で表される.この質点に働く力を F = F (t) とすると,この質点の運動はニュー
dt
トンの運動方程式
m
d2 r
=F
dt2
で記述される.
(i) この質点の運動量を p(t) = mv(t) とするとき,
∫
t2
p(t2 ) − p(t1 ) =
F (t)dt
t1
が成立することを示せ.上式の右辺を t1 から t2 の間における力積という.
(ii) 質点の速度 v(t) のモーメントの 1/2 倍
1
(r × v)
2
を面積速度という.いま,原点を O とし,r(t), r(t + △t) の表す点を A, A′ とおく.また △r =
r(t + △t) − r(t) とする.
A′
A
△r
r(t + △t)
r(t)
O
さらに OA, OA′ と曲線 r(t) で囲まれた領域の面積ベクトルを △S とする(面積ベクトルについ
ては問 1.4 を参照).△t → 0 の極限では
. 1 (r × △r)
△S =
.
2
であることを用いて,
等しいことを示せ.
dS
1
= (r × v) であること,つまり,面積速度は面積ベクトルの変化率に
dt
2
(iii) 質点に働く力 F がつねに原点の方向を向くとき,その力を中心力といい,このとき F = f r
と書ける.ここで f は r = |r| にのみ依存するスカラー値関数である.F が中心力であるとき,
d
dt
(
)
1
(r × v) = 0
2
が成立すること,すなわち,中心力のもとで運動している質点の面積速度は一定であること(ケプ
ラーの第2法則)を示せ.
6