高3数 γ No. 6 数列と極限(2) (理系問題演習/柳生

高3数 γ
No. 6
数列と極限(2)
(理系問題演習/柳生)
2014/6/2
(平成15年東北大)
問 12
n を自然数とする.関数 f (x) = 4x − x2 に対し,数列 {an } を a1 = c, an+1 =
f (an ) で与え
る.ただし,c は 0 < c < 2 を満たす定数である.
(1) an < 2, an < an+1 を示せ.
2−c
(2) 2 − an+1 <
(2 − an ) を示せ.
2
(3) lim an を求めよ.
n→∞
(解)
(1) f (x) = −(x − 2)2 + 4 より,0 < x < 2 のとき 0 < f (x) < 4 ⇐⇒ 0 <
f (x) < 2 が成り立つ.
よって,0 < an < 2 ならば 0 < an+1 < 2 が成り立ち,0 < a1 = c < 2 なのですべての n について
0 < an < 2 が成り立つ.
√
また,an+1 = f (an ) = 4an − an 2 = an
(2) 2 − an+1 = 2 −
f (an ) =
(2 −
4
4
− 1 > an
− 1 = an (∵ 0 < an < 2) よって an+1 > an
an
2
f (an ))(2 +
f (an ))
2 + f (an )
4 − f (an )
4 − (4an − an )
(2 − an )2
2 − an
=
=
=
=
(2 − an )
2 + f (an )
2 + f (an )
2 + f (an ) 2 + f (an )
(2 − an )2
2 − an
<
(∵ 0 < f (an )) =
(2 − an )
2
2
2 − a1
(2 − an ) (∵ an+1 > an より an a1 )
2
2−c
=
(2 − an )
2
2
(3) (1),(2) より,任意の n に対して
0 < 2 − an
2−c
2
n−1
(2 − a1 )
2−c
< 1 だから,この式の最右辺は n → ∞ のとき 0 に収束する.
2
よって,はさみうちの原理より lim (2 − an ) = 0 よって lim an = 2
が成り立ち,0 < c < 2 より 0 <
n→∞
n→∞
備考:ケースバイケースだが,不等式を示す際,最初から不等式の形を作ろうとするとうまくいかない
ことがある.不等号を出した時点でもとの式との間に誤差が生じることになるので,もしその評価が
誤っていると以降はどのように式変形しても示したい不等式にたどり着けないことになるのだ.
解答のように,最初はできる限り等式の形で変形し,示したい不等式の形に近づけることを考える.((2)
2 − an
では 2 − an+1 = · · · =
(2 − an ) として右辺に 2 − an の形を作った.) このようにすれば,あ
2 + f (an )
2 − an
2−c
とは
が
よりも小さいことを証明すればよいことになる.これは (1) を考えればほとん
2
2 + f (an )
ど自明だろう.
(平成17年東大)
1
関数 f (x) を f (x) = x {1 + e−2(x−1) } とする.
2
1
1
(1) x > ならば 0 f (x) < であることを示せ.
2
2
1
(2) x0 を正の数とするとき,数列 {xn } (n = 0, 1, 2, · · · ) を,xn+1 = f (xn ) によって定める.x0 > で
2
あれば, lim xn = 1 であることを示せ.
問 13
(解)
n→∞
1
1
1
1
(1) f (x) = {1 + e−2(x−1) } + x · (−2) e−2(x−1) = − x − e−2(x−1)
2
2
2
2
1
1
1
なので x > ならば f (x) < − 0 · e−2(x−1) =
2
2
2
1
また f (x) = −e−2(x−1) − x −
(−2)e−2(x−1) = 2(x − 1)e−2(x−1)
2
1
なので f (x) は x = 1 で極小かつ最小値 f (1) = 0 をとる.ゆえに,x > ならば 0
2
1
f (x) < である.
2
(2) f (1) = 1 より |xn+1 − 1| = |f (xn ) − f (1)|
f (x) は R で連続かつ微分可能なので,平均値の定理より,1 と xn の間の実数 cn が存在して
|f (xn ) − f (1)| = |f (cn )(xn − 1)| と表せる.よって |xn+1 − 1| = |f (cn )||xn − 1| · · · 1
1
1
1+e 1
1
1
ここで,(1) より x > のとき f (x) は単調増加かつ f
=
> なので,x > ならば f (x) > で
2
2
4
2
2
2
1
1
1
1
ある.よって,xn > ならば xn+1 > であり,x0 > よりすべての n について xn > である.
2
2
2
2
1
1
よって,cn > となるから,(1) より 0 f (cn ) < · · · 2 が成り立つ.
2
2
1 , 2 より,すべての n について |xn+1 − 1|
0
1
|xn − 1| が成り立つ.したがって
2
|xn − 1|
1
2
n
|x0 − 1|
が成り立ち,最右辺は n → ∞ のとき 0 に収束するから,はさみうちの原理より lim |xn − 1| = 0 した
がって lim xn = 1 である.
(証明終)
n→∞
n→∞
備考:平均値の定理 a < b とする.f (x) が [a, b] で連続かつ (a, b) で微分可能のとき
f (b) − f (a)
= f (c) を満たす c ∈ (a, b) が存在する.
b−a
受験上は次の形でも覚えておくとよい.
平均値の定理* a, b は任意の実数とする.f (x) が a, b を含む閉区間で連続かつ a, b を両端とする開
区間で微分可能のとき,
(※この仮定は明らかに満たされている場合が多い)
f (b) − f (a) = f (c)(b − a) を満たす c が a と b の間に存在する.
(ただし a = b のときは c = a とする.
)