2014 年度生命保険論 II(レジュメ) 2014/10/22 第5回 保険の定義 【ポイント】 保険の定義について、日本とアメリカの状況を見る 1 わが国における保険の定義 1-1 保険の定義についての議論 ⑴ 議論の焦点 i. 保険契約者にとって、保険契約締結の目的をどのようなものであると考えるか(日 本における入用充足説と経済生活確保説など) ii. 塡補すべき損失をどのように表現するのか。たとえば、 「偶然もしくは未知の事故によって生じた滅失、損壊または負債を補償すること」 (カ ルフォルニア州保険法第 22 条) 「偶然の事故を補償すること、または一定の金額を支払うこと」(ウェスト・バー ジニア州保険法第 33 条 1-1) iii. 保険の本質を保険の技術に求めると、収支相等の原則になるのか、給付反対給付均 等の原則になるのか(日本における近藤文二博士と庭田範秋博士など) 収支相等の原則 nP=rZ n:加入者数 P:保険料 r:死亡者数 Z:死亡保険金額 給付反対給付均等の原則 P=wZ w:死亡率 iv. リスクについての基本的な考え方として、リスクの移転とリスクの分散のいずれ かまたは両者を採用するのか(アメリカ、カナダ) All Rights Reserved. © 2014, Temmei Uno, Chuo University 1 2014 年度生命保険論 II(レジュメ) 2014/10/22 ⑵ 保険を構成する 5 つの要素(山下友信) 要素①:一方当事者の金銭の拠出(保険料) 要素②:他方当事者の偶然の事実の発生による経済的損失を補てんする給付(保険給付) 要素③:要素①と②が対立関係に立つ 要素④:収支相等原則 要素⑤:給付反対給付均等原則のもとに要素①と②の対価関係を形成すること 保険契約を構成する要素 保険の引受けを構成する要素 ⑶ かつての保険の定義 ⑷ 保険の定義と危険団体 ⑸ 最近の保険の定義 1-2 法律における保険の定義 わが国の 1995 年保険業法、保険法には、保険の定義は存在しない。 1-3 保険と保険類似のものとの区別 自家保険・キャプティブ、貯蓄、保証、共済、賭博、富くじ、保険デリバティブなど 引受け会社とその商品 All Rights Reserved. © 2014, Temmei Uno, Chuo University 2 2014 年度生命保険論 II(レジュメ) 2014/10/22 2 アメリカにおける保険の定義 2-1 リスクのプーリングとしての保険の定義 2-2 リスクの移転としての保険の定義 2-3 リスクの移転およびプーリングとしての保険の定義 2-4 法律における保険の定義 2-5 保険と類似のものの区別 年金、変額年金、保証、サービス契約、ブルー・クロス、ブルー・シールドなど 以上 All Rights Reserved. © 2014, Temmei Uno, Chuo University 3
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