第9回 生命保険会社の破綻 - C-faculty

2014 年度生命保険論 II(レジュメ) 2014/11/26
第9回 生命保険会社の破綻
【ポイント】
生 命 保 険 会 社 の 破 綻 の 原 因 、遠 因 、き っ か け 、影 響 、
健全性についての指標とマスコミの報道について学ぶ
Ⅰ.平成におけるわが国の生命保険会社の破綻
1.不倒神話の崩壊
2.破綻の原因、遠因、きっかけ
(1) 破綻の原因
① 逆ざや
出典:2004 年 8 月 28 日「破綻生保、5 社に兆候」『朝日新聞』
② 株式含み益の減少
③ 不良債権の増加
④ 取締役による不正融資、詐欺
⑤ リスクの高い資産運用の失敗
(2) 破綻の遠因
① 保険業法のソルベンシー維持にかかる規制
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② 機能しなくなってきた実体的監督主義
中川昭一財務・金融担当相は滞在先のワシントンで、同社の経営破綻に関し「リ
スクのあるビジネスを長くやっていて、債務超過になる事態が予想されていたと
聞いている」と発言。金融庁は九月、大和生命に対し五年ぶりに立ち入り検査を
実施。支払い能力指標が基準を下回るとの結果を九日に通知したが、長期間検査
を実施しなかった同庁の姿勢を疑問視する声もある(2008/10/10『日本経済新
聞』夕刊)。
③ リスク管理の問題点
(3) 破綻の直接的なきっかけ
① 資金的に逼迫したこと
2000 年 10 月:千代田生命破綻
1 週間後:協栄生命破綻
半年後:東京生命破綻
② 決算で債務超過が確定したこと
東邦生命:会計監査人が不良債権の処理額の不足を指摘
第百生命:会計監査人が繰延税金資産の資産計上を認めなかった
大和生命:中間報告の時点で、債務超過が確定
③ 支援を見送られたこと
千代田生命:東海銀行
協栄生命:プルデンシャル社
東京生命:大和銀行
3.破綻の影響
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Ⅱ.アメリカにおける生命保険会社の破綻
1.アメリカにおける破綻生命保険会社数の推移
(出典) http://www.nolhga.com/factsandfigures/main.cfm/location/insolvencies から
宇野典明が作成
2.破綻生命保険会社の事例―エグゼクティブ・ライフ社
(1) 概要
1961 年設立の全米規模の生命保険会社
総資産 132 億ドル(2 兆 1000 億円、1989 年末)
(2) 破綻に至る経緯
一時払い即時年金、税制非適格年金
増加した資産の大半をジャンクボンドに投資
新契約の減少
ジャンクボンド市場の悪化、クラッシュ
(3) 破綻の主たる原因、遠因、きっかけ
① 原因
Ø 高利回り商品の拡販
Ø ジャンクボンド
② 遠因
Ø 高利回りの商品の販売、引受を許容した規制
Ø 認容資産の 60%にも及ぶジャンクボンドの保有を許容した規制
Ø ジャンクボンドの価格下落をてん補する準備金についての不十分な規制
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③ きっかけ
Ø 債務超過となったこと
(4) 日本へ示唆するもの
Ⅲ.健全性についての指標の意義
(1) 格付
(2) ソルベンシー・マージン基準
(3) 実質純資産
①から②を控除
① 保険会社の貸借対照表の資産の部に計上されるべき金額の合計額。ただし、有価証
券と動産不動産については時価評価とする等の修正を加える。
② 貸借対照表の負債の部に計上されるべき金額の合計額から価格変動準備金の額、危
険準備金の額、責任準備金のうち解約返戻金相当額を超える部分、配当準備金のた
まりの額を控除した金額
Ⅳ.破綻から学ぶもの
以上
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