RC非 線形解析に用いる鉄筋の繰 り返 し履歴モデル

土 木 学 会 論 文 集No.
RC非
564/V-35,
291-295,
1997. 5
線 形 解 析 に用 いる 鉄 筋 の 繰 り返 し履 歴 モ デル
福 浦 尚 之1・ 前 川 宏 一2
1正会 員
工修
大 成建 設株 式 会 社
技 術 研 究 所(〒245
神 奈 川 県横 浜市 戸塚 区名 瀬 町344-1)
現, 東 京 大 学 大学 院社 会 基 盤工 学 専 攻 受 託研 究 員(〒113
2正会 員
RC部
工博
東 京都 文 京 区本 郷7-3-1)
東 京大 学 大 学 院社 会 基 盤工 学 専 攻 教授(〒113
東京 都 文 京 区本 郷7-3-1)
材 の動 的 解析 と復元 力 特 性 の合 理 的 な計 算 方 法 に は, 精 度 の高 い 鉄 筋 の交 番 繰 り返 し構成 モ デ ルが
不 可 欠 で あ る. 加 藤 モ デ ル は その 要 件 を満 た す 優 れ た履 歴 モ デ ル で あ る反 面, プ ロ グ ラ ム化 の 難 易 度 が 高
い. 本研 究 は, 加 藤 モ デル と同等 の精 度 と適 用 範 囲 を有 し, か つ プ ロ グ ラム化 が容 易 で あ り, 構造 的 なモ ジ
ュー ル の構 成 が採 用 で き る よ うな数 値材 料 モ デ ル を提 案 し, あ わせ て 動 的RC非 線 形解 析 の今 後, 一 層 の 普
及 の 一助 とす る こ とに あ る. 提 案 したモ デル は, 単 純 な履 歴 則 に従 う構 成 要 素 の応 力 の重 ね合 わ せ で表 され
る もの で あ り, 任 意履 歴 に対 して も妥 当 な応 答 を示 して い る. また, そ の プ ロ グ ラ ムの 実 行 行 数 は, 筆 者
等 の 経験 で は, 加 藤 モ デル に比 較 してお よそ3分 の1に な る.
Key Words:
1.
reinforcement,
bauschinger effect, reversed cyclic loading,
は じめ に
RC部 材 の動 的解 析 には, 精度 の高 い 鉄筋 の交番
繰 り返 し構 成 モ デ ルが不 可 欠 で あ り, 加藤 モ デル は
そ の要 件 を満 た す 優 れ た履 歴 モ デ ル であ る1).2).
このモ デ ル はバ ウシ ン ガー効 果や 引張 ・圧縮 両 方 の
塑性 硬化 を精 度 良 く記 述す る反面, プ ロ グラム 化 の
難易 度 が高 い. これ は, 加 藤 モデ ル は履 歴 を代 表 す
る変 数 と して, 反 転 位置 の応 力 ・ひず み を採 用 して
お り, 図一1に 示 す よ うに鉄筋 履 歴 を正確 に表 す に
は全 て の 応 力 反 転 位 置 デ ー タ を保 持 す る必 要 が あ
る. したが って, 地 震応 答 解析 に応 用 す る場 合 は相
当数 の履 歴 変数 を用 意 しなけ れば な らな い. そ の た
め, 精度 を多少 は犠 牲 に して も, プ ロ グラ ム化 の単
純 な2直 線 タイ プ の鉄筋 モ デ ルが多 く使 われ て い る
のが現 状 で あ る.
dynamic analysis
本研 究 の 目的 は, 加藤 モデ ル と同等 の精 度 を有 し
かつ プ ログ ラム化 が 容易 であ り, 構 造 的 なモ ジ ュー
ル の構 成 が採 用 で きる よ うな数 値 モ デ ル を提案 し,
あ わせ て動 的RC非 線形 解析 の今 後, 一層 の普 及 に
貢 献 す る こ とに あ る. この時, 引 張 か ら圧 縮(或 い
は圧 縮 か ら引 張)に 転ず る際 に現 れ るバ ウ シン ガー
(非線 形)効 果 を精 度 良 く合 理 的 にか つ, 簡単 に表
現 す る方 法 が ポ イ ン トとなる.
2.
多 重 塑性 要 素 に よ る バ ウ シ ン ガ ー 効 果 の 表
現 方法
バ ウ シ ンガ ー効 果 は, 図一2に 示 す よ うに, 鉄 筋
降 伏後 除 荷 し, 応 力 の符号 が 反 転 す る場合, 反対 側
の 降伏 が よ り小 さな応 力 レベ ルか ら生 じる現象 を言
●: 応力 反 転位 置
図 一1
図 一2
鉄 筋履 歴 模式 図
291
バ ウ シ ンガ ー効果
σA=0
A.
aB
図 一3
σC=σyc
C.
B.
単位 面積 内に σycc以 下の降
伏強度 を持 つ割合
模式 図
う. 金属 組織 学 的 観 点 か らみ る と, 金属 結 晶格 子 内
で の局所 的 な転 位 や すべ り線 の発 生 が不 均等 に起 こ
る こ とが, バ ウ シ ン ガー効 果 の一 因 と考 え られ てい
る3). こ こで, 鉄 筋 を微 小 要 素 の集合 体 と し, そ の
要素 毎 の塑性 挙 動 に不 均 一 さの構 造 を導 入 す るこ と
で, バ ウ シ ンガ ー効 果 を表 現 す る. 図一3の 模式 図
に示 す よ うに, 単位 鉄 筋 を, 同 じ剛性 を有 す る弾 性
バ ネ と異 なる塑 性 限 界値(降 伏 強 度)を 有 す る塑 性
図一4
降伏 強度分布関数
り小 さい 応力 レベ ルで 降伏 してい る. 図同4に 示す
よう に, 単位 面 積 内 に σycc(kl)以上 の 降伏 強度 を も
つ微 小 要 素群 は弾性 状 態 にあ り, σycc(kl)以下 の 降
伏 強度 を もつ微小 要 素群 は既 に降 伏 してお り, そ の
微小 要 素 の応力 は σycc(kl)であ る.
したが っ て, 曲線A-B-C内 の あ る ひ ず み にお け る
鉄 筋応 力 は, 降伏 して い る部分 の応 力 と弾性挙 動 し
てい る部分 の応 力 の和 で 表 せ, 式(2)はk1と
σycc
ス ライ ダー を持 つ 要 素 の集 合体 と仮 定 す る. す なわ
ち, 同 じひず み履 歴 を受 けて も個 々 の要 素 の分担 応
力及 び塑性 すべ りは そ れぞ れ異 な った もの に なる.
こ の時, 塑性 限 界値(降 伏 強度)の 不 均 一 さは, 応
を用い て式(3)に 書 き換 え る こ とが で きる.
力 反転 に先 だつ 鉄筋 全 体 と しての 引張 降 伏 に よ り導
入 され る と仮 定 す る.
図一2の 引張 降伏 後 の応 力反 転過 程 にお いて, ス
ラ イ ダーの 降伏 強度 が不均 一で あ る こ とか ら, 荷 重
σ=fσycc(k)dk+fσycc(kl)dk
(降伏 して い る部 分)
(3)
反 転後A点 にお い て, 初 め てバ ネの ス ライ ダーが す
べ り始 め る. す なわ ち, 応力 同 ひず み曲線 の接 線 剛
性 は, 弾性 時 の剛性 か ら連続 的 に小 さ く変 化.し始 め
る. B点 で は, ス ラ イ ダー がすべ っ てい る要 素(降
伏 した要素)が さ らに増 え, 鉄筋 全 体 の挙 動 は よ り
小 さな接線 剛 性 を呈 しなが ら進行 す る. そ して, C
点 で全 て の ス ライ ダ ーが すべ り, 鉄 筋 全体 の挙 動 と
して は全 降伏 に達 す るので あ る.
また, ひず み ε0によ る弾 性応 力 が, 降 伏 してい
る微小 要素 の最 大降伏 応 力 康 σycc(kl)に一致 す る こ
とか ら.
σycc(kl)=Es・ε0
(4)
こ こ に,
ε0: バ ウ シ ン ガ ー効 果 開 始 点 か らの ひ ず み
-εA-ε
が 成 り 立 つ.
し た が っ で, 式(1)は
に 書 き 換 え ら れ,
単位 面積 内 の 鉄筋 応 力 σは, 微 小 要 素 の 面積dA
で の応 力 をsと して式(1)で 表 す こ とがで きる.
(弾性 部 分)
最 終 的 に 式(5)
単位 断面 内 の降伏 強 度の分 布
σyccが 与 え ら れ る と, 曲 線A-B-Cの
形 状 が一 意 的 に
定 まる の で あ る.
σ=fsdA
(1)
σ=fσycc(k)dk+(1-k1)Es
こ こ で, 降 伏 強 度 が σycc以 下 で あ る 微 小 要 素 群
の 面 積 の, 単 位 面 積 に対 す る 割 合 をk(0≦k≦1)と
す る. dkを 区 間0→1の
微 小 区 間,
応 力 と再 定 義 し, 式(1)を 式(2)に
σ=flsdk
sをdkに
3.
おける
(5)
鉄 筋 履 歴 を効 率 的 に表 現 す る数 値 モ デ ル
の提案
書 き換 え る.
前 項 で, 鉄 筋 のバ ウ シ ンガー効 果 は, 単 位 断面 内
の 降伏強 度 に不均 一 さの構 造 を導入 す る事 に よ り表
せ る事 を示 した. 次 に, 前 項 の応 力 負担 機構 に基 づ
(2)
あ る ひず み におい て, 降伏 域 にあ る面 積 の割 合 を
k1と す る と, ひず み の進 行 に伴 い, 応 力 は曲線AB-C上 を移 動 す る こ とに対応 して, k1は0→1に
増
く, プロ グラ ム化 が容 易 で あ り, モ ジュ ー ルの構造
的 プ ログ ラム化 の可 能 な数 値 モ デ ル を提 案 す る. ま
た, 精 度 の検証 は加 藤 モ デ ル を基 準 に して行 う.
大 してい く. す な わ ち, あ る ひず み に おい て微小 要
素 の 最 大 応 力 は, そ の ひず み に よ る弾 性 応 力 で あ
り, 降伏 応 力 が それ よ り小 さい微小 要素 はすで に よ
(1)降 伏強 度関 数
加 藤 モ デ ル は 図 一5に
292
示 す よ う に, バ ウ シ ン
曲線部
σycf=ycc(kf)
(6)
kf: i番 目の要 素
の 降伏 強 度 を
下 回 る割 合
E=E1111X-Ey-ES
a=ESIEs-EB
EB=-(β16)・1091b(10)
図一5
加藤 モ デル
図一7
鉄 筋履 歴 数値 モ デル
これ は, 金属 組織 学 的観 点 か ら見 る と, 不均 等 な
金 属 結 晶格 子 内で の転 位, す べ り線 の発 生 に よる強
度 増 加 を表 す と考 え られ, 物 理 モデ ル と しては妥 当
な範 囲 に入 っ てい る もの と判 断 され る.
(2)数 値 モ デル
圧 縮 降伏 強 度分 布 関数 を用 いて, 鉄 筋 の繰 り返 し
挙 動 を表 現 す る数値 モデ ル を提 案 す る.
図同7に 示 す よ うに鉄 筋全 体 の挙 動 は, 圧 縮硬 化
部(P1-P2),
引 張硬 化部(P3-P4),
バ ウシ
ン ガー部(P2-P3内)に
分 け られ る. そ こで, あ
る鉄筋 全 体 と しての挙 動(0)を,
個 々の構 成 要素
の 弾 塑性 挙 動 モ デ ル(c1∼cN)の
集 合体 と して モ
デ ル化 す る. これ は, 積 分形 で表 さ れ る式(2)の 鉄
単 位 面積 内 に びycc以下 の 降伏 強度 を持 つ割 合k
図一6
圧縮降伏強度分布
ガー効 果 の 部分 の 曲線 を, 塑性 ひず みの 関数 で あ る
島 をパ ラ メー ター とす る双 曲線 で表 わ して い る.
筋 応 力 を離 散化 し, 数値積 分 す るこ とに対 応 す る.
す な わ ち, 無 次 元数kを0か
ら1の 間で有 限 の区
間 に分 割 す る と, 式(8)で 表す こ とが で きる.
式(5)と 加 藤 モ デル の 曲線部 の応 力 ひずみ 関係 式
(6)よ り, 逆 同定 され る 降伏 強 度分 布 関数 は式(7)
で 示す こ とが で きる.
σ=Σ(si・
△ki)(i=,
こ こに, △ki:
Sf:
N)
(8)
f番 目の区 間長
f番 目の区 間 中央 での応 力
(7)
た だ し,
σycc≦
こ こで, f番 目の構 成 要素 とはf番 目の区 間 の こ
とで あ り, そ の構 成 要 素 の 分 担 面 積 は区 間長 △ki
とな る. Sfはf番 目の 区間 中央位 置(kDで
の応
σycc
図一6に 微 小 要 素 の 圧 縮 降 伏 強 度 分 布 を示 す.
逆 同定 され た微 小 要 素 の圧 縮 降 伏 強 度(σycc)に
は, 例 え面積 と して は僅 か で も, 塑 性 ひず み レベ ル
に応 じて, 平 均 降伏 強度(σyc)を 数 倍 上 回 る強 度
を有す る部 分 が 存在 す る こ とを, この物 理 モ デ ル は
力 で あ るが, これ は降伏 強度 を σycc(ki)としたf番
目の構 成 要素 の履 歴(cf)か
ら求 め られ る.
個 々 の構 成 要 素 の 繰 り返 し弾 塑 性 挙 動 に つ い て
は, 最 も大 きな降 伏 強 度 を持 つ要 素(c1)は,
塑
性 硬 化 を呈 す る, バ イ リニ アー 的 な挙 動 を示 し, そ
の弾 性 域 は鉄 筋 全体 の挙動 にお け る, バ ウシ ンガー
示 してい る.
293
図一8
図一9
計 算 フ ロー
比較図
図一10
任 意 履 歴 応力 ∼ひ ず み関 係
図 一11
EBと 塑 性 ひ ず み の 関 係2)
(3)計算例
図一9に 加藤 モデ ル との比 較 を行 う. また, 任 意
の ひず み履 歴 に対 す る応 答 を図一10に 示 す. この と
き, 数値計 算 は 断面 を11要 素 に分 割 して行 った.
部 に一 致す る. それ 以外 の要 素 はバ ウシ ンガ ー部 内
で は塑性 硬 化 を伴 わ ない 完 全弾 塑 性挙 動 を呈 し, そ
れ以 外 で は硬化 を伴 う挙 動 をす る と仮 定 した. この
よ うにモ デル化 す る こ とに よ り, バ ウ シ ンガ ー部 内
で いか な る応力 反 転 が生 じて も再 載荷 の過程 にお い
これ よ り, 本 数値 モデ ル は加藤 モ デ ル と良好 な一
致 を示 し, 任 意履 歴 に対 して も妥 当 な応 答 を示 して
い るこ とがわ か る. なお, 本 モ デ ルは比 較 的単純 な
て過 去 の応 力 反転 位置 を通 過 す る挙動 を示 す こ とに
な る.
加 藤 モ デ ルは履 歴 を代 表 す る変 数 と して, 反 転位
履 歴則 に従 う構 成 要素 の 応力 の重 ね合 わせ で表 され
る ので, 容 易 に プロ グ ラム化 が可 能 で あ り, 筆者 等
の経験 で は, そ のプ ロ グ ラム の実 行 行数 は加 藤 モデ
ル に比 較 して お よそ3分 の1に な る4).
置 の応 力 ・ひずみ を採 用 して い る. したが って, 無
限 に反 転位 置 を増 や してい けば, 記憶 して おか な け
れ ば な らない履 歴 変 数 はい くらあ って も足 りない.
本数 値 モ デ ルは, 履歴 を代 表 させ る変 数 と して, 要
素 ご との塑 性 ひず み(εpi)及び鉄 筋 全 体 挙 動 と して
の バ ウ シ ンガ ー 部 の 大 き さを表 す ひず み範 囲
4.
(εmax, εmin)及び応 力 範 囲(σyt, -σyc)を
採用するこ
とに な る. した が っ て, 履 歴 変 数 の 数 は不 変 で あ
加藤 モデ ルで は, バ ウ シ ン ガー部 の 曲線 を特性 づ
け るEsは塑性 ひず み の 関数 とな って い る. この関数
は図一11に 示 す よ うに塑 性 ひず み が0.01∼0.05の 間
の実験 デ ー タに基づ き定 め られ てい る.
塑 性 ひ ず み の 適 用 範 囲 を考 慮 す る 事 に よ る
加藤 モデルの修 正
り, 構造 プロ グ ラム化 が容 易 になる ので あ る.
図一8に 計 算 フロー を示 す.
294
形 の小 さい所 で のRC履 歴特 性 で あ り, 高塑 性域 を
対 象 とす る解 析 で は, 特段 の 問題 には な らない. し
か し, 材料 モ デ ルの適 用 範 囲 の拡 張 の観 点 か ら, 今
後, この領 域 のモ デ ル化 の精 度 を高 め る努 力 も必 要
と考 える.
5.
ま とめ
(1)鉄筋 を微 小 要 素 の集 合体 と し, そ の要 素毎 の 塑性
挙 動 に不 均 一 さの構 造 を導 入 す る こ とで, 自然 にバ
ウ シ ンガ ー効 果 が表 現 で きる こ とを示 した.
(2)前述 の応 力 負 担機構 に基 づ い て, 容 易 に プ ログ ラ
ム 化 で き, プ ログ ラム の構 造 が 簡単 か つ履 歴 変数 の
図一12
少 ない, 構造 的 なモ ジュ ール の構 成 を持 つ鉄 筋 の数
値材 料 モ デ ル を提案 した.
引張 降 伏 と圧 縮 載荷 を受 けた後 の
残 留 ひず み
(3)加藤 モ デ ル を基 準 と して検 証 した結果, 本数 値 モ
デ ル は, 複 雑 な繰 り返 し時 の挙 動 を, 高 い近似 度 で
表 す事 が 示 され た. また, 加 藤 モデ ル の塑 性 ひず み
の 適 用 範 囲 に関 して, 改 良 の 余 地 が あ る事 を示 し
た.
しか し, 図一12に 示 す よう に, 引 張 降伏 後 に 除荷
し圧 縮 降伏 直 前 まで逆 載荷 した の ち再 除荷 し, 応 力
が0に な っ た 時 の残 留 ひず み(ε0)と, 塑 性 ひ ず み
(εP)と の関 係 が, εpの小 さい領 域 で は大 き く圧 縮
側 へ も ど りす ぎる傾 向 が あ る. RC非 線 形 解 析 に お
い て, 降伏 直 後 の鉄 筋 の交 番挙 動 に不 連 続 な変 化 が
生 じる こ とは実挙 動 と異 な るの み な らず, 非線 形 解
3)本 数 値 モ デ ル は, RC非 線 形 解 析 に お い て地 震 作
用 時 な どの複 雑 な繰 り返 しが 生 じる 問題 を対 象 とす
る場 合 に, 有 効 となる と期待 され る.
析 の 収 束 性 等 に 問題 を生 じる可 能 性 も高 い の で あ
る.
参考文献
1)岡 村
甫, 前 川 宏一: 鉄 筋 コ ンク リー トの非 線 形 解 析
と構 成 則, 技 報 堂 出版, 1991.
そ こで, 塑 性 ひず み が, 0.01∼0.05の 間 の精 度 を
保 持 した ま ま初期 降伏 後 の 曲線 を改 善す るた め に,
島 を以 下 の式 で 表す こ とを提 案 す る.
2) Kato,
B.:
Cycles
Mechanical Properties
Idealizing
D'Information,
of Steel
Seismic Action,
NO. 131, pp. 7-27,
under Load
CEB
Bulletin
1979.
3)大 南 正 瑛 塩 沢和 章: 多 結 晶体 の 強度 と破 壊, 培風 館,
(9)
1976.
4)三 島徹 也, 山 田一 宇, 前 川 宏 一: 交 番 載 荷 及 び 温 度 荷
重 を受 け るRC構 造 の 離 散 ひ び わ れ 有 限 要素 解 析, 土 木
これ よ り, εpの増 加 に伴 い ε0が徐 々 に増 加 し,
初期 降伏 直 後 の交 番 挙 動が 滑 らか に変 化 してい く.
式(9)の 影 響 の 及 ぶ範 囲 は鉄筋 降伏 以 後 の 比較 的変
COMPUTATIONAL
MODEL
LOADING
Naoyuki
学 会 論 文報 告 集, No. 442/V-16, pp.201∼210, 1992.
(1996. 6. 6受 付)
OF REINFORCING
FOR RC NONLINEAR
FUKUURA
and Koichi
BAR UNDER
REVERSED
CYCLIC
ANALYSIS
MAEKAWA
It is necessary for the dynamic analysis and estimation of hysteritic characteristics on RC members to establish
more accurate constitutive equation of reinforcing bar under reversed cyclic loading. Kato's model gives rational
and accurate estimation, but it is not easy to be coded for computatinal calculation. The objective of this study is
to propose a numerical constitutive equation of reinforcing bar, which has the same accuracy as Kato's model,
and simplicity with applying in a structual programing and to make a contribution to RC nonlinear analysis.
This proposed model is expressed in the integration form of elements, each of which has a simple hysteritic
These results show that the proposed model responds correctly to the arbitrary strain-path.
295
rule.