自律協調ロボット「群龍」の機構と制御の研究(その2)

自律協調ロボット「群龍」の機構と制御の研究(その2)
東京工業大学 ○白須 隆也 広瀬 茂男
StudyofAutonomous
andCooperativeRobotHGun−Ryu’’
TokyoInstituteofTechnology OTakayaSHIRASU ShigeoHIROSE
Abstract:Tbeauthorsproposedl・Gunryu・T,themobilerobotwithpoweramandwiththefunctionofactiveJunCtionby
meansoftheinstalledarm・ThepaperdiscussesthecontrolmethodtodecreaseenergyconsumptlOnOnuneVenterrainand
steerlngCOntrO10ftheGunryu・
ぷ町Wbr血:Gunけu(GR)
1.はじめに
筆者らは連結型作業移動ロボット「群龍」の概念を提案し,
試作実験を行なっている【11.「群寵姫血yq以降GRと略す)」
は晦1に示すように,走行装置に履帯を用いた車両にマニピュ
レータを装備した移動体群で構成され,搭載されるマニピュレ
ータが作業装置として機能するだけでなく,Rg.Zのように他の
ロボットを掴むことで連結装置として機能することを特徴とし
ている.このようなGRは
1)単体としての機能性鞄1)を有するだけでなく,連結す
ることで高度な対地適芯性を示す瞬g.か.
2)起伏の激しい地表面を進む晩連結している車両が多い
ほど,全体としての重心の上下動が軽減され,移動に必
要なエネルギの消費を低減できる晦3).
3)群ロボットとして機能性を持つ田g.句.
などの特長を有する.本研究ではこのうち2)の特性を生か
す制御法と連結時の操舵制御法について検討する.なお,▼GR
の第一次的な応用分野は,惑星探査ロボットである.そのよう
なロボットは,惑星での岩石の収集のような作業では,個々分
散して手分けして進めた方が効率がよく,また移動においては,
クレバスのような環境では連結した状態の方が有効であるから
である.
Fig.3
2.駆動方法について
晦3のような凹凸地表面上で直鎖状に連結されたGRを駆動
する際,クローラをいかに駆動するべきかを評価するため,ト
ルク制御と速度制御について検討した.
GRでは,左右のクローラが別々のモータによって駆動され
Fig.4
ているため,速度制御の場合負荷に関係なく左右の速皮がコン
トロールされ操縦性は高い.しかし,前後の節間に内部力が生
じるとモータが括抗し合うという問題点がある.この間題は節
脳血岱シミュレーションをした.参考に単体時のGRについて
間にバネ要素を設け,保存力であるバネカの貯蓄と消費を利用
事率を用いた(l池kl).
ク制御の二方法に従って等速運動した場合について,それぞれ
もシミュレーションを行なった.評価には以下の定義の移動仕
することで対処できる.ただし,保存力を有効に利用するため
には実時間で最適速まを導出する計算が必要である・それに対
移動に要したエネルギ
移動仕事率=
移動体重量・移動体距離
し,トルク制御の場合は操縦性が負荷の影響を受けやすい欠点
はあるが,特別な計算なしに各出力トルクが有効に加算される
効果が期待できる.
G R 単 体 時 :速 度 制 御
10 .
0 ×10 −
3
このような制御方法の効果を比較するため,サイン関数波状
バ ネ 有 り独 立 速 度 制 御
1.1×10 −
3
(振幅300匝鳴一波畏2800,GRの長さ賞は))の凹凸のある地表
バ ネ 無 し トル ク 制 御
0.
2 ×10 −
3
移動仕事率
面を,6節のGRがバネ有りの独立速度制御とバネ無しのトル
第12回ロボット学会学術講演会(平成6年11月20日、21日、22日)
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このシミュレーションからトルク制御では特別な計算もなく
効率良くトルクが加算される事がわかる.将来的にはGRは先
頭節だけ速度制御を行ない,後続節はトルク制峨はし,そのト
ルク指令をアームとの相対角度等をモニターし与える制御が適
するものと考えられる.
GRがn節分直鎖状に連結されたときの制御僚ブロック線図に
表すとそれぞれ鞄5,6のようになる.
雫竺竺「>一山l
p=(px,p,):目標位置
q=(qx,恥)‥ 実位置
α β
Rg.5:バネ有り独立速度制御
目標姿勢
実姿勢
Bg.7
姿勢
α+叫敬一p∂
Rg.6:バネ無しトルク制御
3.操舵アルゴリズム
ORの対地適応走行のためには,GRの先頭節が操縦者から操
舵指令を受けた時,後続節が無理なく追従する運動性を必要と
する.この運動制御について基本的考察を行なった.
提案するアルゴリズムは,先頭節の軌跡を先頭節の物体座標
系に描き,アームと節との相対角度から分かる後続節の位置と
姿勢が,その軌跡にのるように後続節を操縦しようとするもの
である(巧g.7).軌跡は,先頭節のクローラの左右に取帥ナられ
てたキャスクを用いてデッドレコニング掛こより描かれている.
目標値は位置と姿勢に存在する.位置目標はy軸方向のみであ
る,姿勢目標は,X軸方向の偏差によって変わり,係数kは適当
に定めておき,その偏差が大きい程,目標位置に向く方向に旋
回指令を渡している.ブロック線図で表記するとR88の様にな
る.
4.おわりに
連結することにより凹凸地表面を平滑化するGR特有の効果
を利用し得る制御法について検討した.ついで,平坦面におけ
る操舵アルゴリズムを提案し,それによるGRの操舵実験の結
果を報告した.
この制御による二節の試作機GR−Ⅰによる旋回実験の結果を
参考文献
加.1に示す.
口広瀬,白須’’自律協調ロボット「鮮龍」の提宥’
日本ロボット学会誌予稿集 N).1,1212(1関3)
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