Y。Z。 SHー。TA, Akira TAKABASHー and chiaki TANAKA 子供の跳び

島根大農研報(Bu11Fac Agr Sh1mane Un1v)1874−79,ユ984
木質パネノレ床の床衝撃音
*
* *
塩田 洋三,高橋
徹夕田中 千秋
Yozo S亘I0TA,Ak1ra TAKA亘AsHI and Ch1ak1TANAKA
Impact Sound工nsu1ath1on of Wooden Pane1F1oor
した900×1,きOOmmの床パネルをはめ込み,6点でL
で.緒 .言
型金具によって根太上に取付け固定した.
子供の跳びはねや家具の移動などによって,二階床が
床パネルの枠および桟木には,米松の角材30×70mm
衝撃加振されるとき発生する騒音は,非常に大きく,や
を用いた.桟木はFig.1に示した3種類の構造に組ん
かましい.この騒音が社会問題とならないのは,木造住
だ.
宅の大部分が戸建であり,騒音の発生者が主に家族であ
この橦構造の上面または下面に構造用合板・P(厚さ
るという心理的な効果によるものであろう.
ユ2mm,面密度6.3kg/m2),インシュレーションボード
しかし,最近戸建住宅においても,工業化住宅では住
・工(厚さ12mm面密度39kg/m2),および合板フロ
宅性能評価の1因子として遮音等級が用いられているこ
ーリンク・F(厚さ12㎜m)などの板材料を張った.ま
とを考えると,木造住宅においても遮音性能の系統だっ
た,石コウポード(厚さ9mm面密度9kg/m2)やクラ
スウールボードを組み合わせて各種のパネルを製作し
た研究が必要である.
本報告では木造軸組工法の改良と合理化のテーマのも
ユ)
とで,提案されているパネル床を参考に実寸の試験体を
た.
なお,中空部に入れたグラスウール・G。のかさ比重
作り,床衝撃音に対する遮音性能の面から検討した.そ
は32kg/m3,パネル下部に敷いたグラスウールボード・
して,パネルの遮音性を向上させるために床構造と材質
G2のそれは96kg/m3である.これら,パネルの構成を
を変えたパネル系についても検討を加えた.
Fig.1に示した.
実験結果は一部実用面を考慮し,JIS−1419の床衝撃
2.2測定方法
床衝撃音発生器としてJIS規格(JISA1418)に規定
音レベルに関する遮音等級の基準曲線と関連つけて論じ
た.
されているタッピングマシン(B&K2304型)とタイヤ
研究を行うにあたり御助言を頂きました京都大学木材
を用いて,パネル中央部を衝撃した。床衝撃音は床下面
研究所佐々木光教授に感謝の意を表します.
より45cmの位置に設置したコンデンサー型マイクロホ
ン(B&K 4145型)によって受音された.床の振動は
2。実 験
パネル床の上面および下面の所定の位置に瞬間接着剤で
2.ユ試験床
取付けた振動加速型ピックアップ(B&K 4346型)に
床面の広さは,3,600×2,700mm,その周囲に550(高
よって検出された.
さ)×ユ50mm(幅)の布基礎をつくり,布基礎上に120x
床衝撃音および振動加速度レベルは周波数分析器(B
300mmの床梁を置き,その上に60×ユ2mmの根太を
&K2120型)を用いて1/3オクターブ分析した.分析
450mm問隔で渡し掛けた.これは在来工法の二階床組
した周波数域はタッピングマシンで20∼5,000Hz,タイ
を想定したものである.この根太上に合板(厚さ 12
ヤではユ5∼4,000Hzである.なお,振動加遠度レベル
mm)を床下地として張りつけ,畳を敷いた.ただし,
床面のほぼ中央部近くに,900シ1,800mm(一畳分)の
のユOG.を77dBとした.
大きさは床下地の合板を張りつけずにおき,ここに試作
3.緒果と考察
3.1パネルの穣構造
Fユg1に示した3種類の淺構造を有する枠の上,下面
*木材加工学研究室
口74一
塩宙・高橋・田中:本質パネル床の床衝撃音
一75一
に合板を張ったトP構造のパネル床をタッピソグマシ
タイヤで衝撃したときの,床の床衝撃音レベルを
ンおよびタイヤで衝撃し,床衝撃音特性を調べた(Fig.
Fig.4に示した.低い周波数では音圧レベルが高く,
2,3,4).Fig.2に示すようにタッピソグマシンで衝撃
63Hz以上の周波数でレペルは漸次低下する.低い周波
すると,3種類の床パネルともに40∼50Hzと200∼
数でのレペルが高いのは,衝撃源(タイヤ)の固有振動
400Hzにピークを有する床衝撃音特性を示した.このう
数が約25Hzであることによる.またタッピングマシソ
ち,高い方の周波数域(200∼400Hz)では穣構造の違い
と同様に,.床衝撃音レベルは,Nα2が他のパネルより
によって,床衝撃音レベルと,そのピーク周波数に差が
も概して低いので,遮音等級はすくれている.すなわ
みられた.すなわち,パネルの桟木の組み方が,160∼
ち,オクターブバソドに換算して求めた遼音等級は,
400Hzの周波数域の音圧レベルに影響することがわか
No.1がL−95,No.2がL−85,No.3がL−90であ
った、
った.これは前述のタッピングマシンのそれぞれの遮音
つぎに,これらパネルについて,JIS規格の床衝撃音
等級よりもよく,この構造の遮音等級を決定する衝撃源
レペルに関する遮音等級との関係を調ぺるために,これ
は,タッピングマシンであることがわかった.
らパネルの床衝撃音レベルを1オクターブ帯域のレベル
32合板両面張りのパネノレ(P−P構造)
に換算し,それらの周波数特性をFig3に示した。測
定値の各周波数のレベルがJISの遮音等級曲線(点線)
P−P構造のパネルは,ストレスドスキソパネルとして
通常,耐カ壁用に使われている このP−p構造のパネ
を越えない限界のL曲線の等級で遮音評価基準が決定さ
ルと合板をパネル片面に張ったP一構造のパネル(Fig.
2)
れる(ただし,2dB以下の越えは詳容される).この図か
1,B)とをタッピングマシンで衝撃した時の床衝撃音レ
らNo.ユ,No.2,No.3における桟構造のパネル床の
ベルをFig.5に示した.P一構造の音圧レベルのピーク
床衝撃音レペルの遮音等級は,それぞれL一ユ05,L−100,
は125Hzで,p−P構造のそれは40∼50Hz,200Hzお
L一ユOOとランク付けされる.No.2とNα3は同じ等級
よび500Hzにみられた.合板床板の曲げ固有振動数は
(L一ユOO)であるが,その遮音等級を決定しているのは
次式に示される.即ち式五=O.368ρ0ゐ2(ただし,ρ:
3)
密度,6:材料の縦波の伝搬遠度,h:材料の厚さ).こ
500Hzのピークであり,No.2はNo.3よりも4dB
低く,あとユdB低いと遮音等級は1ランク改良され,
の式に合板の実測値ρ=600kg/m3,6=3,800m/s,ト
L−95となる.したがって,3種類の橦構造のパネル床
O.012mを代入すると五=ユ2ユHzとなる.したがって,
のなかで,Nα2が床衝撃音に対して遮音性のよい構造
P一構造におけるユ25Hzのピークは,床板の曲げ固有周
といえる.
波数であることが判る.一方,パネル床下面にも合板を
800 457.5 442.5・ 4425 4575
1 800
Lf)
O
co
CP)
[]lll [lllll[l
Gr
U)
N◎.3
O
A.Rib c◎ns帥ucti◎n◎f同◎◎ガpanels(30by70mm si鵬f◎r rib)
'N
N◎.1 N◎.2
I=I◎Oring
r一一薗plyw◎◎d
P1γwood
甘 “ 1 }.榊
Glassflber
PGP
P一
P1γwo◎d
P1γw◎◎d
InSu1a.tIOn■
F.P.1 b…d
I=I◎0ring
Plywood
Plywood
P−P
Plγwood
刷γwood
lnSu1at10n一
1nsula伽on b◎ard
P−1
bo鮒d
GIa.ss flber bo帥d
Gypsum b◎ard
F−pG■G−99
B.PaneI structure
F1g 1.R1b construct1on and.struc地ra1deta1ユs of f1oor Pane1s
76
l8 =
110
o
110
8e-
l0-0
_ 100
r
1
o
a
¥
¥
¥
¥
,
¥
:
¥
¥
¥¥ A
,¥ 'b.
l .
1,
L -1 05
. .1-
. ... o '
'b
L-100
'
L- 95
'
90
u
cl
Ea 60'
50
a
E::: 70
ot"
◎:『=「団
cocsaL 60
No .1 Rib pane N0.2 ・-N0.3 ・. ・,
-
A-A 0
70
ob
su'
ch 80
*
G,
へ⑳
o
3ou'
5
a
o aO
◎
帖へ
80
a
lg
100
’眺\1\ ◎ム \d⑳
L-L-L-
I
0
@
!L
=1
u'
,h
ob
¥
¥
¥
剥淋瑞◎唱\ぽ 淑 ◎
¥
o
>a'
110
¥
¥
¥
¥
¥
¥
¥
e- '
tire.
¥
¥
¥
Impact sound pressure levels of three
ribbed floor panels
Panel structure: P-P type foor, Impactor
tapping machine. , .
100
¥
Frequency (Hz)
Fig. 4.
ribbed floors
¥
1
16 31 .5 53 125 250 500 1000 2000 4000
Panel structure: P-P type. Impactor:
110
¥'A
o :3
40
Fig. 2. Impact sound pressure levels of three
¥
¥io.
a
- 50
Frequency (Hz)
¥
a
1
A :2 Il
o,
2031.5 63 125 250 500 IK 2K 4K
-
40
e,
50
l
o:1
E
S
o
o:3
o
*a
70
5
s
:I
och 60
o
A:2 [llll
,=
:
::f
u
¥
=
o
th
' 6O
o
,g
c o¥
¥
o:1 :
s 80
,h
e
tL
o
¥¥
¥l
e/e!¥
o
¥ ¥
a 70
1:
:o,¥
¥
o.o
?1i
¥
¥
o.
/ ¥f
¥
8 h
¥
h:3 on
ou
tb
co
o
0> 90
:
f¥f
Q,
¥
A
;o'V
'
LP+
g!
0 90
o
c
r
/
_ 100
'A/A l " Q -o I 'A' _¥
CQ
△:目
\
50
40
'31 .5 63 125 250 500 1000 2000 4000 8000
Frequency (Hz)
Fig. 5. Impact sound pressure levels of single
63 125 250 500 1000 2000 4000
and double floor panels
Frequency ( Hz )
Impactor: tapping machine
Fig. 3. Impact sound pressure levels of three ribed
floor in octave band center frequency
Panel structure: P-P type, Impactor: tapp-
ing machine. Broken-1ine: noise rating
_it.
curves specified by JIS.
, P-P
i
:iC C
:
i , l T )
;
J
'
,i
IC ;
iICJ
) i. C )
)
1 =
J :
;. - :
=
P P j
, :T 1 A= :
t - 7 I
,
c
UC *
; ,B
f
C (D
l
C
:=
ll'i
400 ><
f2= I Ifl.4xl05+K
277 v pho
ho : F
=Jj ) {
P
)
=f CD
*Cc ,
cJ .C, 125Hz a) i E1/
)ve 4_ , { tL
, ? El/ :)vcD - 7
b ,
200HZ
J C 500HZ Ic 1 - ; : t*-. t !* ,
40-50Hz
:<-. T**
: iC
O 07m K
: Ap
j
)
塩田・高橋・田中:本質パネル床の床衝撃音
一77一
た.そのため遮音等級はP−P構造と同じであった.
P3 P2
2)P一構造はこの合板の上面に合板フローリング(F)
を張ったF−P構造に仕上げられるのが一般的である.
しかし,フローリングを張っても床衝撃音の遮音等級は
(60
匝
℃
o u e.e:¥A' e e e:8 tz -1 ;' . .
P一構造のそれと変わらなかった.これはフローリングに
雲
¥.¥,.
P2
⋮⋮
一40
入力されたパワーがほぼそのまま下地合板に伝搬し,下
P3
50
τ
地合板から音が放射されるためである.
これらの事実から,パネル中空部にグラスウールを挿
入したり,合板下地の上に合板フローリングを重ね張り
型30
しても床衝撃音の遮音等級は改善されないことが確認さ
3
聖20
e
3
o
詰
匡10
れた.
3.3合板一イソシュレーションボード構造(P−I構
造)
P−P構造のパネルは,下面合板の共振により,音が放
0
31.5 63 125 250 500 1C竈0 2α〕◎ 4C00 8000
射されるために遮音性がよくない.そこで,合板の代わ
Fr明u帥cy(Hz)
りに,放射音が少ないと考えられるインシュレーション
Fig.6.Re1a七ive acce1ation1eve1of a d−oub1e f1oor
ボードを下面に張ったトI構造のパネルを作り,実験
Pane1.
I 工npact1ocat1on of taPP1ng mach1ne P1,
110
P2,P3sensor1ocat1on
P1 It
1o4kg/m2sec2からカニ230Hzをえる.ユ/3オクターブ1
p - D-D / Ii::1 '
'o¥
t / LI
1
q P-D$ I c D
I ,
l O "b
100
分析では200Hzを中心にピークを示している.また2
番目のピークは2九=460Hzに最も近い分析値500Hz
90
国
にピークがみられる.
o
次にP−P構造において,打撃面の位置による床板や
⑩
>
⑭
下面合板の振動加速度レペルの応答を測定した(Fig.
6)。
にピークがみられ,それよりも大きい周波数においてレ
ベルは著しく低下する.一方,桟木上を衝撃すると,桟
木間の上,下面合板の振動加遠度レヘル(P・とP・)は
ほぽ等しい挙動を示した.}P構造の床構造の床衝撃音
と振動加速度レベルを比較すると,床衝撃音レベルが
200∼250Hzと500Hzにピークを有する周波数特性を示
すので,桟間よりも淺上衝撃の振動加遠度のそれに近
い。このパネルの床衝撃音は穣木間の合板の曲げ振動に
よる放射音よりも,ノざネ〃全体が一本となった曲げ振動
による放射音がより支配的であると考えられる。
なお,データは示さないが次の2つの現象もあきらか
になった.
3
70
吻
吻
⑩
匡
08
.-b
穣木問を衝撃すると150Hzの振動加遠度レベル(P・)
④
80
60
3
◎
50
○
飼
旦
ε
40
30
16 31.5 63 125 250 500 1000 2000 4000
Frequency(H乏)
F1g 7.ImPact sound Pressure1eve1of P−I type
f1oor Pane1
0:P−I type f1oor impacted.by tapping
lmach1ne,
㊧:P−I type f1oor imPacted by tire,
口:P−typef1oorimpactedbytapping
=mach1ne
ユ)一般にパネルに断熱性をもたせるために,P−P構
造の中空部にグラスウールを挿入した構造(PGP構造)
に供した.タッピングマシンで上面を打撃すると,F三g;
が用いられる場合があるが,このグラスウールは800Hz
7のように床衝撃音レベルは,全体としてP一構造より
以上の比較的高い周波数では効果があるが,それよりも
も低い.ユ60Hzに音圧レベルのピークがあるのは,P一工
低い周波数では効果はなく,音圧レベルは変化しなかっ
構造のパネル曲げたわみによる固有振動数がこの付近に
島根大学農学部研究報告 第18号
一78一
¥
¥
¥¥
HO
¥
Dl
¥
100
¥
D
¥
¥
¥
¥
柵O
¥
¥¥
/ _L: 1_ O-0-0
¥,
0'OtO ¥ I
O l' er
'l
匝
o90
¥
¥
¥
280
¥
¥
¥
3
d
¥
¥
¥
¥
¥
¥
¥
N
¥¥
D
¥
¥
,.
¥
,
C9 1
_ o
) --
- C ---
'
o __- -
-
=0
¥
¥
O(
¥¥
¥
¥
¥
¥¥
¥
¥¥
¥¥
l-l--
B
50
,
¥
¥
¥
ytl'
¥
¥
¥
¥
l>:O
¥
nr¥¥
¥
¥
¥
¥
3一・5631252505◎O lαP20◎0㈹
F閑qu帥cy(服1
_._,
O
¥ ¥ ¥ ¥ ¥
20
: ¥R I
'b
J
b-
60
¥
O
30
¥ ¥ ¥ ¥L
"II',.
¥
D
70
OI
'
l
o
F-PG,1-G :- gg -J;
口40
¥
N
'¥
b
耐
¥
,.
I¥
:]
幻50
u
¥ ¥
¥
80
.
¥
l ol :1'DIJ,
o¥
;;
J o :
¥
mj
,.
¥
¥
F・PGbr
a
君60
ε
¥¥ ¥¥ ¥ ¥
¥
㎝70
¥
90
易
F工g8.ImPact sound,pressure1e−veヱof f1oat1ng
o
f1oor
O f1oat1ng f1oor1=mpacted.by tapp1ng
40
血achme
㊥:f1oatingf1oori皿pactedbytire,
口F−PG工typef1oor1mPactedbytapP−
1ng lmach1ne
存在するためである.しかし,P一構造の遮音等級を
決定している500Hzのレベル(Fig3)は,P−I構
造で低減しているために,遮音奪級はP一構造のレ95
63峨250500脈2K4κ
砕eq鵬ncy(版)
Fig.9.I=mpact sound pressure1eye1s of f1oating f1oor
1n octave band center frequency
F1oatmg f1oor エlm.pacted by tapp1ng lm.ach1ne
(○)and tire(㊧),F−PGI type f1oor im.pacted.
からL−90に改善される.勿論,P−P構造のL−100
by tapPmg machme(口)and耐e(鰯),Broken−
よりもはるかによい.
1ine:noise re1ation curves sPecified by JIS.
タイヤによる衝撃についても,同様の理由からp一構
造のL−90からL−85に改善された.
以上の結果から,p−I構造にすることによってP一や
P−P構造に比べて床衝撃音の遮音性能が改善されるこ
とが判った.
ネルの振動がセッコウボードに伝搬し,このボードから
二次的に音が放射される.そのため,本実験ではパネル
とセッコウボードの問にかさ比重の大きいグラスウール
ボードを挿入し,乾式浮床とした(Fig.ユ).この浮床構
造の床衝撃音特性をFig.8に示した.グラスウールボ
3.4パネルの乾式浮床構造
ードとセッコウボードの効果を調ぺるために,これらを
}工構造の遮音等級は,ユ60∼500Hzの床衝撃音レベ
敷いていないF7PGI構造のパネル床の音圧レペルを比
ルによって決定されていた.この周波数域の音圧レベル
較のために同図に併せ示した.タッピングマシンで衝撃
が大きい原因の1つには,インシュレーションボードの
すると,F−PGI構造に比べ乾式浮床構造では163Hz以
面密度が小さく,透過損失が小さいため,上面の合板か
上の全ての周波数で床衝撃音レベルが低下しているぺま
ら放射された音が十分減衰せずに下部空間に伝搬するた
た,PGI構造で指摘した160∼500Hzのレベルも約8.5
めである.そこで,面密度を大きくし,遮音性を増加さ
dB低下しており,この構造のパネルは遮音性能が優れ
せるためにパネル床の下面にセソコウポードを2枚重ね
ていることが判る.
敷きした、このとき,パネル下面に直接セッコウボード
一方,タイヤで衝撃したときも63Hz以上の全測定周
を敷くと,P−P構造の結果からも推測できるように,パ
波数域でレベルの低減がみられる.Fig.9に中心周波数
塩田・高橋・田中:一本質パネル床の床衝撃音
一79一
。が1オクターブ帯坤g床衝撃音ヒベルを季←た.ヂッド
よび材料の面から検討した.なお,これらの床衝撃音レ
ソクマシンによる衝撃では,乾式浮床構造の遮音等級は
ヘノレをJISの遮音等級(L値)によってランク付けし
L−75となり,F−PGI構造のL−85と比べて2ランク改
た.以下,実験結果を列記する.
善されている タイヤによる衝撃でも遮音等級はL−75
1)パネル床の橦構造を変えた場合,床衝撃音に対す
る遮音性がよいのは横桟構造(Fig.1のNo.2)であっ
とタッピングマシンのそれと同じであった.しかし,63
HzのレベルはトPGI構造のそれと比較して約3dBし
た.
か低下せず,これ以上多層の複合パネルにしても遮音性
2)P−P構造のパネルは上,下面合板が一体となって
を改善することは困難であると考えられる.それは,本
曲げ振動し,下面から音が放射されるために遮音性が悪
研究では,パネル床を設置した部分以外の周囲が合板下
いと考えられる.そこで,床下面に音を放射し難いイン
地に畳を敷いた床構造になっているため,周辺部の遮音
シュ!一ショ!ボードを張り付けた.このP−I構造に
性を向上させない限り実験の意味がなくなるからであ
すると,トP構造より床衝撃音レベルは低減される.し
る.
かし,低い周波数ではその効果は小さい.
3)低い周波数の床衝撃音を遮音する目的で乾式浮床
本実験で検討したパネル床の遮音等級は,実際の住宅
工法のパネル床を施工した.この構造のパネルは試作し
に施工した場合よりも悪い.その原因は,次の2つの理
たパネノレ中,最牟良い遮音性を示した.本実騨のパネル
由による.(1)受音した床下の空間は布基礎内であり,周
床の周辺の条件のために,これ以上の複合パネルの実験
囲はコンクリートで地面には砂が敷かれているので拡散
は行わなかった.しかし,床衝撃音の遮音等級の面から
音場的で音が蓄積されるため.(2)一般の住宅では少くと
検討して,現場施工ではこの系のパネルで十分な遮音性
も受音点は2階床から約1.5m以上は離れており,かつ
能を持たしうると判断した.
一階に天井がある.しかし,本実験では,床下45cmの
4)本実験のパネル床の床衝摩音レベルに関する遮音
点で受音している.
等級は,全てタッピングマシンによる床衝撃音レベルに
ちなみに,本学にある6畳大の2階床に合板を張った
よって決まり,タイヤによる衝撃の遮音等級はタッピン
とき・界衝撃音の遮音等級ばタッピングマシンによ戸衝
グマシンのそれと同等か,それ以上であった.つまり,
撃でL−80と測定されたが,本実験のP一構造ではレ
衝撃面が木質材料のときは,パネル床の遮音等級を決定
ユOOとなっている.両者に構造的には差がないので,遮
する衝撃源はタッピングマシンである.
音等級は同じになるはずである。エネルギー的にみて単
純計算は必ずしも成り立たないが、両者を比較すれば,
引 用 文 献
。本実験のL値から20を差し引いた値が現場施工時の遮音
1)目本住宅木材技術センター編 木造軸組工法の改良
等級とするならば,乾式浮床で得られたL−75は現場施
工すればレ55となるととになり,非常に遮音性の良い
と合理化,オーム社,東京,1979,p.ユ0.
床になっていることが判る.
針,技報堂出版,東京,ユ979,p.11.
2)目本建築学会編:建築物の遼音性能基準と設計指
3)安岡正人:音響技術,6,267−293.1976.
4。摘 一 要
床衝撃音に対するパネル床の遮音性をパネルの構造お
4)前川純一:建築音響,共立出版,東京,1972,正.
64.
S醐醐ry
The resu1ts of an1mest1gat1on of1mpact sound.1nsu1at1on provl1ded by wood pane1
f1oors are descr1bed. The effects of changes1n fヱoor pane1des1gn are d1scussed.
’ The sound pressure1eve1decreased1n se1ected pane1s when they were1mpacted by
tappmgエnach1ne.F1oating−f1oor construct1on was espec1a11y good for sound1nsu1at1on when
1mpacted−by a tapp1ng Inachme s1nce sound pressure1eYe1decreases eYen at1ow fre−
quenc1es HoweYer th1s f工oor d1d not1mpr0Ye m rank w1th respect to sound.msu1at1on
when the f工oor1s1mpacted by a t1re,because of n01工npr0Ye:ment at63Hz
It shou1d be further myest1gated.wether the use of a t1re as mpactor perm1ts correct
eYa1uat1on of sound1nsu1at1on of f1oor of wood.frame houses