を活用した新規機能性食品の開発(PDF:435KB)

肝臓重量、各周囲の脂肪重量の減少が寄与していた。血
変化を抑制した。これらの結果により、チーズホエータ
清成分では、グルコース濃度がホエー給与により有意に
ンパク質由来のペプチドが、腸管バリア機能を保護する
減少し、血清中インスリン濃度が減少していた(Fig.1)。
可能性が示唆された(Fig.2)。
乳糖からのガラクトオリゴ糖の産生は酵素の種類によ
り糖の転移する部分が違い、異なるガラクトオリゴ糖が
生成される。ゲルろ過、薄層クロマトグラフィーにより、
ラクトースが分解され、グルコースとガラクトースに分
解され、転移等であるガラクトオリゴ糖が生成されてい
ることが確認することができ、ガラクトオリゴ糖の分析
方法が確立できた。

今後の課題・方向性
チーズホエーの機能性が明らかになり、機能性成分の
有効利用に関する知見が蓄積され、機能性が付加された
新規食品開発の基盤が整えられた。これからは、特定成
分をさらに明らかにすることが重要になってくる。
現在は高齢化社会などの背景を踏まえ、老化時に起こ
る筋肉低下を抑制する作用や運動時摂取による効率的な
Fig.1 肥満モデルマウスへのチーズホエーもしくは乳
酸菌投与が血清成分に及ぼす影響
脂肪燃焼と筋肉増強効果などを謳った商品開発の可能性
が考えられる。
本事業成果の一つであるチーズホエーの有効利用技術
これらより、チーズホエー給与により体重変化は認め
により、中小の乳加工業者等の売上が向上し、買い入れ
られなかったが、糖代謝の改善効果が考えられた。さら
原乳の価格に反映すること等が期待でき、それにより生
に、筋肉中の代謝に関わる GLUT4 および UCP3 の遺伝子発
乳を提供する畜産酪農家の所得向上にも寄与できると考
現量が高まったことにより、筋肉中の代謝の活性化の可
えられる。
能性が示唆された。

チーズホエーの商品開発の検討では、生ホエーの状態
での使用を前提に開発した。今回は、ホエー寒天、ホエ
ージャム、ホエーキャラメルを作成した。どれも、ホエ
ーの加工処理なしで作成することが可能であった。
チーズホエータンパク質の腸管バリア機能に対する検
討では、様々なプロテアーゼで処理したチーズホエーを
腸上皮細胞である Caco-2 細胞に作用させ、経上皮電気抵
抗(TER)測定、タイトジャンクション(TJ)関連タン
パク質の免疫染色およびウェスタンブロッティングによ
って評価した。
キモトリプシンで処理したチーズホエーでは、炎症性
サイトカイン TNF-α による TER 値の低下を抑制した。
まとめ
チーズホエーの体質改善効果として、肥満誘導時への
投与により、血清のグルコース濃度の低下、およびイン
スリン濃度の低下が認められ、特に、糖質代謝改善への
効果が考えられた。また、ホエー中のタンパク質により、
様々な条件下での腸管バリア機能がみられた。
本事業では、様々な機能性を探ることを目的としてき
たが、本事業で認められた機能性を市場に見合うものと
して、どのように商品化していくかが課題となる。
今回は、生ホエーでの商品具現化を実証したが、さら
なる研究により詳細な機能性成分が明らかにされること
で、商品開発がより具体化すると考えられる。
【お問い合わせ】
タカナシ乳業株式会社
企画統括部 商品研究所
細田
正孝・宮澤
TEL 045-367-6645
e-mail:[email protected]
e-mail:[email protected]
Fig. 2 ホエーペプチドが腸管バリア機能に及ぼす影響
また、市販の食品用プロテアーゼで分解したチーズホ
エーでは、過酸化水素に誘導される TJ タンパク質の局在
賢司