第2回

物理学 B1 演習
2014.5. 1
1.座標系
a)自然座標系
一般に座標系は空間の一点を三種類の平面群の交点
として指定するものであり、各平面群が直交している必
要はない。この様な座標系を曲面座標系と呼び、その
面群が q1 = 定数、q2 = 定数、q3 = 定数で表わせる
とき、その点の座標を (q1 , q2, q3) で指定する。こうし
て、x, y, z が x = x (q1 , q2, q3) の様に指定できている
なら、各面群の法線方向、qi の増加する向きに単位ベ
クトル、qi をとれば、十分近傍な二点間の距離の平方
は次式で与えられる。
ds2 = dx2 + dy2 + dz2 = Σ hij2dqidqj
この係数 hij が座標系 (q1 , q2, q3) の特徴を決めている訳で、これを距離(計量)という。
簡単の為に2次元で考え、曲線B上で点Aからの弧に沿って動く点Pの位置は時間 t の関数であり、点Aから計った
距離を
( ), B上の点Pでの接線と x 軸がなす角度を φ=φ(t) とする。この様な(s, φ)で表された座標系を曲
線 B の自然座標という。点Pでの速度は v = ds/dt (接線:tangent 方向成分)であり、垂直(法線:normal n )方向の
速度成分は0である。3次元の場合には運動は曲面内限られ、運動方向への接線と曲面の法線から作られる外積方
向を陪法線(binormal)という。これら接線、法線、陪法線方向の単位ベクトルを各々 et, en, etb と表せば、
etb = et× en で、v = v ey である。
b)曲率半径
接線ベクトルの向きの時間変化は法線方向であるから、det /ds = 1/ ρen であり、曲率半径 ρ = dφ /ds と
なる。曲率半径は点 P における曲線 B を局所的に円弧であると二次近似(二次式で表される近似)したとき
の円の半径の事で、その逆数を曲率と言い、曲線(曲面)の曲がり具合を示す指標です。
2.運動の法則、運動方程式
a)ニュートンの運動の三法則
ⅰ.慣性の法則:外力がなければ運動は定常
ⅱ.運動の法則:運動量の変化は力(ベクトル)に比例
ⅲ.作用・反作用の法則:作用には、反作用が付随
第一法則は、座標系を指定している。この様に外力が力を及ぼさない座標系を慣性系と呼ぶ。慣性系には等速
度運動する多くの慣性系が存在するが、速度が0の静止系はただ一つ存在する。これらの慣性系間ではガリレ
イの相対性原理「どのような慣性系においても、物理(力学)法則は同様に成り立つ。」が満たされる。
慣性(inertia)
、運動量(momentum)、力(Force)等のベクトル量での表記、スカラー量としての質量(mass)
運動の法則を数式で表した dp /dt = F を運動方程式と言う。
作用・反作用の法則は「力(F)で作用を及ぼした物体は、反作用(reaction)で力(-F)をうける」こと
で、力自身をどの系で見るかによる。
「外力」とは、系を限定したもので、自然界には純粋な外力(つまり孤
立系)は存在しない。運動量保存則に通じる。
問題:
ⅰ.自然座標 s = at +α、φ = bt + βで表される点の運動の軌跡を、デカルト座標系で表わせ。
解)(𝑥 − 𝐴)2 + (𝑦 − 𝐵)2
𝑎 2
(𝑏 )
ⅱ.流速が v (一定)で、川幅 l (一定)の川を横切る船が、常に出発点の対岸である点Oに船首を向けな
がら流速と同じ早さ v で進むとき、船の接岸点は点Oからどれだけ川下になるか求めよ。
解)l /2
ⅲ.質点が半径 l の半円上を運動する際に、そ
の速度の直径に対する射影(直径方向を x 軸と
した際の x 成分)が常に v= 一定であったとい
う。半円の中心を原点とする極座標系での加速
度 (αr, αθ)を求めよ。
解)αr
𝑣2
− 𝑙 sin2 𝜃
αθ
𝑣 2 cos 𝜃
− 𝑙 sin3 𝜃
ⅳ.デカルト座標と球座標の変換を考え、
a)球座標の計量因子 hr, hθ, hφ を求めよ。
b)dsi = hi dqi の関係を用いてa)の結果を証明せよ。
解)a: hr=1, hθ= r, hφ= r sinθ b: ds2 の関係を用いて計算し、hij を利用して2乗を求める。
ⅴ.静止した電荷 q 、質量 m の粒子が x 軸方向の一定の電場 E 中の原点Oに置かれている。粒子の運動
方程式を書き下せ。また、粒子が y 軸方向に初速 v0 で運動していた場合はどうなるか?
解)𝑚𝑥̈
𝑞𝐸, 𝑚𝑦̈
0, 𝑦̇
𝑣0
ⅵ.曲率半径 300m の高速道路を、自動車が時速80km/h で通過できる様にしたい。路面をどれだけ傾け
れば自動車は車線同りに走行できるか?但し角度を求めるには sin x = x, cos x = 1 – x2 の近似を用いよ。
解)9.5度