慣性の法則、運動の法則 本 時 の 目 標 ・中学校でも学習している、慣性の法則の理解を確認する。 ・運動の法則(質量、力、加速度の関係)を理解する。 ・力の単位「ニュートン」がどのように決められたかを理解する。 段 学 学 習 内 習 動 時間 (分) 5分 「この法則を知っている人は 運度している物体には速 手を挙げて」と質問すると、 度の向きに力がはたらい 多くの生徒は挙手するはず。 ていると思っている生徒 は意外に多い。 5分 既習事項であるv-tグラフが直 線となることから、等速直線 運動であることを確認 v-tグラフの傾きが加速度の大 きさであることも確認 力の大きさと加速度の大き 質量が一定の場合、力の大きさを1 v-tグラフの傾きからそれぞれ 教科書ごとにv-tグラフの さは比例する。 倍,2倍,3倍,4倍としていくと、加 の加速度を計算する。 目盛は異なるので、教師 速度の大きさがどうなるか、教科 が適切に読み取る。 書のデータから考える。 5分 慣性について 導 入 教 師 の 指 導 中学校時代の学習内容を質問 急発進、急ブレーキのときのバス の乗客の動きを確認 慣性の法則の確認 物体に力がはたらかないとき(あ るいは合力が0のとき)、静止し ている物体は静止しつづけ、運動 している物体は等速直線運動をす る。 一定の力がはたらくと、等 それでは、物体に力がはたらくと 加速度運動をする。 どうなるのか。教科書の実験デー タより、v-tグラフが直線となるこ とを示す。 展 活 指 導 上 の 留 意 点 生 徒 の 活 動 急発進では後ろに、急ブレー 「慣性」とは、運動の状 キでは前に倒れそうになるこ 態を保とうとする性質 とを答える。 階 容 5分 a-Fグラフが原点を通る直線となる 教科書のa-Fグラフの意味を ことを示す。 確認する。 教科書のa-Fグラフの4点 の意味するところを理解 させる。 質量の大きさと加速度の大 力の大きさが一定の場合、質量の v-tグラフの傾きからそれぞれ 時間がない場合は、生徒 5分 きさは反比例する。 大きさを1倍,2倍,3倍,4倍としてい の加速度を計算する。 が加速度の大きさを計算 くと、加速度の大きさがどうなる することは省略して、a-m か、教科書のデータから考える。 グラフの描き方のみ説明 する。 a-mグラフが反比例らしいことを 教科書のa-mグラフならびに a m1 グラフの意味を確認 示し、それを確認するために a m1 グラフが原点を通る直線と する。 なることを示す。 力、質量、加速度の関係を 以上のことを式にすると次のよう 式で示す。(運動の法則) になる。 開 ak F m 力と加速度は比例し、質量と 加速度は反比例することを理 解する。 力の単位「ニュートン」と 比例定数 k=1 とするために、1kg 単位に注意する。 運動方程式 の物体に1m/s2の加速度を与える力 mが質量(kg)、aが加速度 を1とするような力の単位N(ニュー (m/s2)、Fが力(N) トン)を導入する。 10 分 単位は基準になるものを 自由に決めることができ る。運動方程式に用いる 力の単位を、ニュートン は自分の名前にした。 10 分 ma=F 運動方程式のすごいところ はやぶさが60億㎞の航海を経て地 球に帰還できたのも、何月何日何 時何分から日食が始まるとわかる のも、運動方程式を解いた結果で ある。 ・慣性の法則を具体的な事例にもとづき理解しているか。 ・運動の法則を具体的な事例にもとづき理解しているか。 評 価 の 観 点 ・力の単位「ニュートン」がどのように決められたかを理解しているか。 ま と め 5分 板書案 実験デモ 反発バネがついた力学台車 2 台を接触させておき、反発バネの留め金をはずす。2 台が同じ質量の場 合は、同じ速さになるが、質量を1:3くらいにすると、見た目にも質量の大きい方が加速しにくいこ とがわかる。ビースピを用いて、速さを測定してもよい。この実験デモは運動量保存の法則でよく用い られるが、作用・反作用の法則によって同じ力を受けた 2 物体が、質量の違いによって加速度が異なる ことを示すことにも用いることができる。重力がない宇宙空間で質量をいかに測定するかなど、慣性質 量を初めて紹介する場合には、手軽な実験デモである。 サプライズ 人間にはたらく重力とは、「地球が人間を下に引く力」である。それでは、人間にはたらく重力の反 作用とは、どのような力か。「人間が地球を上に引く力」ということになる。人が3階の窓から飛び出 したことを想像してみよう。人が地球(地面)を引き上げて無事着地とはならない。地球が人を引く力 も、人が地球を引く力も同じ大きさなのに、なぜ地球は動かず、人は加速して地面に激突するのだろう か。作用・反作用の法則が間違っているのだろうか。(もちろん、そんなことはない) 同じ力を受けても、質量が大きいものは加速しにくい。それも運動方程式が示している結論の一つで ある。 ちょっとした工夫 ニュートンは力の単位に自分の名前をつけた。単位は自由に決めることができる。例えば、私(教師) の体重は 80kg であるので、それを1△△(「△△」は教師の名前)と呼ぶことにする。2△△は 160kg、 0.5△△は 40kg、0.1△△は8kg ということになる。世界中の人がこの単位を用いるかどうかは別として、 基準になるものを自由に決めて単位とすることができる。
© Copyright 2024 ExpyDoc