2014年11月 4日

(今週の見通し 11 月 4 日)
今週は、先週末の日銀の追加緩和のインパクトがいつまで持続するのかが最大の注目点で
すが、外人投資家が、①日本人が買ってくれるなら、高値のうちに利食いしよう。と考えるの
か、②GPIF や日銀が買ってくるならもっと上がるだろうから、更に買い増ししよう。と考えるのか
を見極めるには未だしばらく時間が必要だと思います。また、11 月末は海外の HF の本決算
ですので、彼らのポジションの巻き戻しで相場がどうなるのかを見る必要もあると思われます。
先週末の欧米株式市場は日銀の追加策を受けて上昇しましたが、昨夜はすでに反落して
いますので、欧米株式市場では、日銀の追加策や GPIF の買いはすでに織り込んだ可能性
もあるのではないかと思われます。実際、ファンダメンタルズ面では「アベノミクスは消費税増税
で失敗した」という証拠が増えていましたので(消費者物価低下、実質所得 12 カ月マイナス、
実質消費 6 カ月マイナスなど)、ここでの追加緩和は黒田総裁が「2 年で消費者物価を 2%
にする」という自己目的を守るために無茶をしたという感じもあります。
今日の日本株は大幅上昇しそうですが、売り場を探していた外人投資家の中には GPIF や
日銀が高値で買ってくれるなら売るという投資家もいるでしょうし、一方で、追随して買う投
資家もいるのではないかと思いますので、どこまで上がるか不明ですし、突然急落する可能
性もあるのではないかと思われます。
こうした状況下では、無理して動かず、相場が落ち着いてから投資行動を決める方が良い
のではないかと思います。
昨日発表された経済指標は、
①中国 10 月の非製造業 PMI:53.8 に低下し(9 月は 54.0)、9 カ月ぶりの低水準、不動産
販売の悪化で
②米国 10 月の ISM 製造業景気指数:59.0(9 月は 56.0)に上昇し、8 月以来の高水準、
新規受注は 65.8 に上昇(添付資料参照)
③米国 10 月のマークイット製造業 PMI・改定値:55.9 に低下(速報値は 56.2)し、7 月以
来の低水準、新規受注が低下
となり、中国では不動産市場の悪化が継続しているようです。
米国の 10 月の製造業については、ISM とマークイットでまったく逆の数字が出ていますが、
ISM の輸出指数が大幅に低下したことをマークイットの数字が示唆しているのかもしれません。
(=米国以外の国の景気低迷と「ドル高」で輸出契約が減少し始めた模様)
今回の日銀の追加策や GPIF の買いは、
①米国株が「QE」の終了で下げる可能性があったが、下支えに使われる。
②米国国債が「QE」の終了で売られる可能性があったが、下支えに使われる。
③GPIF の国債の売りは日銀が全部買い受け出来る。
などが背景にあったのではないかと思いますが、こうした投資でもしも GPIF や日銀に損が出
れば、それは日本国民の負担になるだけです(年金支給減額、日銀の資産悪化など)。そ
の頃には、黒田総裁はいませんし、安倍首相も政権にはいないでしょうが・・・
筆者の今週の見通しは、
①日経平均 15,500 円~18,000 円
正直に言って、GPIF や日銀の買い方が不明ですので(下げたら買うのか、消費税再増税の
決定まで買い上げるのか不明)、上値も下値も今は予想出来ないというのが実情です。こう
いう場面では、冷静になるためにポジションを減らして様子見する方が良いのではないかと考
えております。
②NY ダウ
16,500 ドル~17,500 ドル
GPIF の買いが継続しているうちは、下がれば GPIF の買いで支えるのではないかと思いますが、
GPIF の資金量は NY 市場の売買代金に比べれば微々たるものですので、11 月 4 日の中
間選挙や雇用統計で投資家が売りに回れば、ひとたまりもないのではないかと思います。
一方で、すでに「QE」は終了しましたし、11 月末には HF などの決算がありますので、今後は
買い手の手仕舞い売りが出やすいのではないかと予想されます。
③ドル・円 110 円~115 円
日銀の追加緩和で円安が進んでいますが、これが「日本売り」に繋がることになれば、ドル建
てで運用する海外投資家には「為替損」が出ますので、損失回避で日本株や国債を売って
くる可能性もあるのではないかと思われます。このため、将来的には、国民生活を考慮し、
「円の暴落」を防ぐための逆介入(財務省の外貨準備で円買いする)の必要性も出てくるの
ではないかと思われます。
日本経済の現状から言えば、筆者は 105 円~110 円で安定している方がよかったのではな
いかと思います。
④ユーロ・ドル 1.22 ドル~1.30 ドル
日銀の追加緩和で、市場では ECB も国債買い入れなどの量的緩和を始めるのではないか
との思惑が出ています。しかし、これは財政規律を破綻させることになりますので、ドイツ次第
だと思われます。
一方で、これ以上の「ドル高」を米国政府や FRB が許容するかという疑問もありますので、
米国から何かの発言があれば、急に円やユーロが反発する可能性はあると思われます。