(調和振動子における不確定性関係)harmonic-uncertainty-qa140611A.tex 調和振動子系において,質量 m の粒子の位置の不確定さを ∆x,運動量の不確定さを ∆px をもつエネルギーの最小値を以下の手順で求めよ.プランク定数 h から定義される ディラック定数を h ¯ (≡ h/2π),角振動数を ω とする. 1. この粒子の座標を ∆x,運動量を ∆px として, 運動エネルギーと弾性によるポテン シャルの和 E をこれらで表せ. 2. 位置と運動量の不確定性関係を記せ. 3. 前問の結果を用いて,エネルギー E を ∆x(または ∆px ) の関数として表し,その最 小値を与える ∆x(または ∆px ) を求めよ。 4. 前問の結果を用いてエネルギーの最小値を求め,1 次元の調和振動子系のエネルギー 固有値と比較せよ。 (解答例) 1. 運動エネルギーと弾性によるポテンシャルの和であると考えて E= (∆px )2 1 + mω 2 (∆x)2 . 2m 2 (1) 2. 題意より ∆x · ∆px ≥ h ¯ . 2 (2) 3. 位置と運動量の最小の不確定性より ∆px = h ¯ /(2∆x) をエネルギーの式に代入すると 1 E = 2m ( h ¯ 2∆x )2 1 + mω 2 (∆x)2 = 2 ( h ¯2 8m ) 1 1 + mω 2 (∆x)2 . 2 (∆x) 2 (3) となる。ここで,極(小)値となる ∆x を求める。 dE d(∆x) [ ] ( 2 ) mω 2 h ¯2 −2 h ¯ 2 4 + mω (∆x) = (∆x) − = 8m (∆x)3 (∆x)3 4m2 ω 2 0 = ] [ mω 2 h ¯ ∆x + = (∆x)2 + 3 (∆x) 2mω √ → ∆x = √ h ¯ ∆x − 2mω h ¯ . 2mω √ h ¯ 2mω (4) 4. エネルギーの式に前問題の解を代入すると ( E = h ¯2 8m ) h ¯ h ¯ω 2mω 1 + mω 2 = . h ¯ 2 2mω 2 1 (5) これは 1 次元の調和振動子系のエネルギー固有値 h ¯ ω(n + 1/2), n = 0, 1, 2, · · · の最 小値と同じである。すなわち、1 次元の調和振動子系の基底状態は位置と運動量の最 小不確定の状態である。 5. (別解-3)位置と運動量の最小の不確定性より ∆x = h ¯ /(2∆px ) をエネルギーの式に代 入すると [ ] 1 (∆px )2 m¯ h2 ω 2 E= + (6) 2 m 4(∆px )2 となる。ここで、極(小)値となる ∆px を求める。 dE d(∆px ) [ ] [ ] 1 2∆px 1 (m¯hω)2 m¯ h2 ω 2 4 = = (∆px ) − + (−2) 2 m 4(∆px )3 m(∆px )3 4 ][ ] [ m¯ hω m¯hω 1 = (∆px )2 + (∆px )2 − 3 m(∆px ) 2 2 0 = √ → ∆px = m¯hω (∆px )2 h ¯ω , ( = ) 2 2m 4 (7) 6. (別解-4)エネルギーの式に前問題の解を代入すると 1 E= 2 [ m¯hω ] h ¯ω m¯ h2 ω 2 + m¯hω = . m 2 4 2 2 (8) これは 1 次元の調和振動子系のエネルギー固有値 h ¯ ω(n + 1/2), n = 0, 1, 2, · · · の最 小値と同じである。すなわち、1 次元の調和振動子系の基底状態は位置と運動量の最 小不確定の状態である。 2
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