数理科学・物理・地球科学

(代数、幾何、解析、確率・統計)
【No.
1】
n庵n 行列 M∈C n庵n に対して亜M の転置行列を M T亜M の複素共役行列を 
M で表し亜
 T と定義する。また亜I n を n 次単位行列亜i を虚数単位とする。以下の設問に答え
さらに亜M H暗M
よ。
A∈C n庵n を n 次エルミート行列亜つまり A H暗A とする。このとき亜次の〜を示せ。
⑴
行列 I n安 i A 及び I n袷 i A は正則である。
U暗I n安 i AI n袷 i A は n 次ユニタリ行列亜つまり U HU暗UU H暗I n である。
で定めた U は 安1 を固有値にもたない。
で定めた U について A暗 i U袷I n U安I n が成り立つ。
⑵
安1
安1
安1
逆に亜安1 を固有値にもたない n 次ユニタリ行列 U に対して亜A暗 i U袷I n U安I n により行
列 A を定めたとき亜A は n 次エルミート行列であることを示せ。
(なお亜⑴亜⑵で示された A とU の間の変換をケーリー変換という。)
⑶
n 次実反対称行列 B∈R n庵n と 安1 を固有値にもたない n 次直交行列 Q∈R n庵n は亜
安1
Q暗I n安BI n袷B
安1
B暗I n袷Q I n安Q
により亜一対一に対応することを示せ。
ただし亜Q∈R n庵n が直交行列であるとは亜Q TQ暗QQ T暗I n であることをいう。また亜B∈R n庵n
が反対称行列であるとは亜B T暗安B であることをいう。
(古典物理学、現代物理学(物性物理学を含む。))
【No.
9】 量子力学に関する以下の設問に答えよ。ただし
は虚数単位とする。
Ⅰ.質量  の粒子の1次元ポテンシャル  
による束縛状態を
える。粒子の波動関数 

は時間を含まないシュレーディンガー方程式

 워 워


=

− 
+ 


2 워
を満たし
…①
エネルギー固有値  は負の実数である。
쑛
−
= 
を満たすとき
1 ポテンシャルが  
あるエネルギー固有値に対応する束縛状態
の波動関数は偶関数か奇関数のどちらかでなければならないことを示せ。なお
1次元の束縛
状態ではエネルギー固有値に縮退がないことを用いてよい。
以下では
波動関数が偶関数の場合
奇関数の場合
それぞれの状態を偶パリティ状態
奇
パリティ状態と呼ぶことにする。

>0 深さ 
>0
の1次元井戸型ポテンシャル
쑛
2 幅 2
2
 0 


>

욀

= 
−  

≦

 2

による式①の解を
∼ を定数として次のように書く。


욜

<−



=s
i
n+cos 
−≦≦


욹
욜

>
ただし



2 
2
+ 

 =
γ=
である。
 워2
 워
任意の に対して 
及びその一次微分 ′

が連続であることから
偶パリティ状態
奇パリティ状態のそれぞれについて γと の関係式を求めよ。
쑛
3 쑛
2において
ポテンシャル 욀
による束縛状態の偶パリティ状態に対して
→ 0の極限
におけるエネルギー固有値を求めよ。
쑛
は → 0の極限においては
4 쑛
2のポテンシャル 욀
次のように書くことができる。
웅


=−δ

ここで
δ
はディラックの δ関数で
次の性質をもつ。
δ

=0 
≠0
웤δ
=1
욪웜 
ポテンシャル 웅

による式①の解の一次微分 ′

について
l
i
m
′

ε
−′

−ε


웨월
を求めよ。ただし

0
=
≠0
とする。
쑛
5 쑛
4において
ポテンシャル 웅

に対するエネルギー固有値を求めよ。
쑛
による束縛状態の偶パリティ状態
6 以下のポテンシャル 
奇パリティ状態のそれぞれ


2
について γ=

を決定する式を求めよ。
 워
ただし
λは正の実数であるとする。



=−λ
δ
+
+δ
−

.時刻 において



=
c
osω,si
nω,웅

1
スピン  の粒子のスピン状態について
2
で与えられる磁場中における
える。ここで
 웅
,
ωは実定数である。
磁場と粒子の相互作用ハミルトニアン  
は
γ 



=− 
σ


2
で表され
粒子のスピン波動関数 Ψ 

は
時間に依存するシュレーディンガー方程式
Ψ 



= 

Ψ


を満たす。
ここで
γは実定数 
σ=
σ욍
,σ욎
,σ욨
はパウリ行列であり




0 1
0 −
1
0
, σ
, σ

σ욍
=
욎
=
욨
=





1 0
 0
0 −1
と定義される。
なお
必要であれば
パウリ行列に関する以下の性質쑛
a 쑛
bを用いてよい。
쑛
,
,
が 
,
,
 
,
,
 
,
,
のいずれかであるとき次の関係式を満たす。
a 添え字 
σ욣
σ욤
−σ욤
σ욣
=2
σ욥
σ욣
σ욤
+σ욤
σ욣
=0
쑛
 実数 θに対して次の関係式を満たす。
b 任意の単位ベクトル 



우

웖
욗

웗
=c
osθ+

σs
i
nθ

ここで
は2行2列の単位行列である。
쑛
1 任意の実数 θに対して
次式を証明せよ。
우


σ욍
욹우


=σ욍cos2θ−σ욎si
n2θ


우


σ욎
욹
우


=σ욎cos2θ+σ욍s
i
n2θ


쑛
2 次式を満たすような実数
を求めよ。
γ
우


욶


욹우


욶
=− 
σ욍
+σ욨
웅



2
쑛
3 時刻 =0において粒子のスピンの向きは 軸の正の方向であった。すなわち
1
Ψ
=0

= 
0
とする。
쑛
ⅰ
쑛
2の
を用いて χ
を
χ

=우


욶
Ψ


で定義したとき
쑛
ⅱ
χ
が満たす微分方程式を求めよ。
χ
を





χ

=




とおき

が満たす2階微分方程式を求めよ。
0
時刻 
>0にこの粒子のスピンが 軸の負の方向を向いている状態  にある確率を
1
求めよ。
1
쑛
の粒子の振る舞いを 以下の 쑛
4 磁場中におけるスピン 
ⅰ 쑛
ⅱ の場合についてそれぞれ論ぜ
2
よ。
쑛
ⅲ
쑛
ⅰ
=0 웅
≠0 すなわち
쑛
≠0
ただし
ⅱ ≠0 웅
一定磁場のみの場合。


≪1 すなわち


웅
一定磁場とそれに垂直な振動磁場があり,
振動磁場の大きさが一定磁場の大きさに比べて十分小さい場合。
(地質学)
【No. 14】 地質学に関する以下の設問に答えよ。ただし
いては
使用する語句が指定されている問いにお
用いた語句に下線を引くこと。
Ⅰ.地球の歴史を通じて地球環境の様々な変化が生物の進化に影響を及ぼし
化も環境に影響を与えてきた。例えば
その一方で生物の進
海水準や気温の変化は生物の分布域に影響し
光合成生
物の登場は大気組成を変化させた。
図Ⅰは顕生代の地球表層部の環境や生物に関する様々な指標の変動を示している。各グラフの
横軸は時間軸であるが
縦軸の単位やスケールはグラフによって異なる。
쑛
1 グラフA∼Dは쓕大気中の酸素濃度」 쓕大気中の二酸化炭素濃度」 쓕海生動物の科の数」
쓕海水準変動」のうち
が
いずれかの変動パターンの概要を示したものである。それぞれのグラフ
このうちいずれに対応しているかを示せ。
쑛
2쑛
ⅰ グラフA中の五つの矢印に共通する出来事を示せ。
쑛
ⅱ グラフA中の矢印のうち①と②に示される出来事について
次の語句を全て用いて5行程
度で説明せよ。
語句:


床板サンゴ
爬虫類
フズリナ
イノセラムス
イリジウム
쑛
3쑛
ⅰ グラフB中の矢印③に示される減少傾向について
顕生代で最大規模,


次の語句を全て用いて3行程度で説明
せよ。
語句:
寒冷化
パンゲア超大陸
大陸棚 
쑛
ⅱ グラフB中の矢印④に示されるグラフの極大について
次の語句を全て用いて3行程度で
説明せよ。
語句:
温暖化
海洋プレート
中央海嶺 
쑛
4 グラフC中の極大⑤とグラフD中の極小⑥は同じ要因によって説明できる。その要因とは何
か
次の語句を全て用いて3行程度で説明せよ。
語句:
炭素の固定
光合成
埋没 
A
①
②
500
400
300
20
0
100
0
〔百万年前〕
B
④
③
50
0
400
3
00
20
0
100
0
〔百万年前〕
20
0
100
0
〔百万年前〕
20
0
100
0
〔百万年前〕
C
⑤
50
0
400
3
00
D
⑥
50
0
400
3
00
図Ⅰ
.地質図を作成する際は
ある地点の露頭において測定した堆積岩の走向・傾斜を用いて
的な計算と作図によって一定の範囲内で地層面を延長し
く。この手法を地質図学と呼ぶ。通常
地表や地下に分布する地層境界線を描
地表は土壌や植生で覆われているために
査において地質情報が得られる露頭は孤立・散在している。地質図学は
得られた地層分布と走向・傾斜のデータから
描き出し
図学
実際の地質調
散在する露頭において
地層境界線が地形に対してどのように現れるかを
地質構造を把握するための手法である。
쑛
1 地質図学が適用できる根拠と
地質図学を適用する際の留意点及び留意すべき理由を次の語
句を全て用いて 1
0行程度で説明せよ。
語句:
쑛
2 図
は
水平
平面
堆積岩
ある地域の地質調査を行い
深成岩 
露頭において見られる地層の観察結果をまとめたもの
である。
쑛
ⅰ
図中の情報をもとにして
地質図を完成せよ。また
X−X′における地質断面図を完成
せよ。
ただし
地層境界線及び断層が通る地点に쓕・」
を記し
線及び断層を描くとともに
案用紙には
例として
の一部を描き
ある岩種が分布する領域毎にその略号を一つずつ記入せよ。答
片麻岩と礫岩の境界線が通る地点のいくつかに쓕・」
を記して境界線
岩種の略号を記入してある。また
쑛
ⅱ
この地域の地史について
쑛
ⅲ
この地域に分布する礫岩の厚さは
で求めよ。ただし
10m 間隔の格子線が描かれている。
箇条書きにして説明せよ。
およそ何 m か。導出の根拠と計算式を示し
垂直方向に
ア
⃝
イ に当てはまる数値を求めよ。
⃝
走向が N90
°E 南に 4
5°傾斜する断層面をもち
ア
⃝
整数値

2=1
.
4とする。
쑛
ⅳ この地域に認められる断層に関する次の記述について
쓕
この断層は
これらを滑らかに結んで地層境界
m 水平方向に
イ
⃝
m である。」
断層に沿う地層のずれは
凡例
略号
火山噴出物
泥岩
砂岩
礫岩
片麻岩
走向・傾斜を
測定した場所
走向・傾斜
及び傾斜角 
°
水平層
断層と断層面の
走向・傾斜
及び傾斜角 
°
高度の単位は m
格子線は 1
0m 間隔
図