図チャレ 第 156 回 (2014 年 9 月) 線分 PQ を直径とする半円周上に 2 点 A, B があり, A, B から線分 PQ におろした 垂線の足をそれぞれ D, E とする。PQ の中点を O, AB の中点を M とし,直線 OM と 半円との交点を N とするとき,MN < DE であることを証明せよ。 解答 必要ならば対称移動することにより AD BE であるとしてよい。 ( i ) ∠PON 45◦ のとき 直線 MN と直線 AD の交点を F とし , M から直線 AD におろした垂線の足を G とすると ∠FMG = ∠PON 45◦ であるから, √ √ 2 DE < DE MN < MF 2 MG = 2 B F N G M A PD E O 45◦ のとき (ii) ∠PON MN = ON − OM = OA − OM < AM A から線分 BE におろした垂線の足を H とし, H から弦 AB におろした垂線の足を K とすると, 0◦ ∠BAH 45◦ A であるから AM AK < AH = DE PD ただし ,AD = BE のときは H = K = B とみなす ことにより,やはり成り立つ。 N M K B H O E Q (証明おわり) (注 ) 明らかに成り立つように見えて,意外と論じにくい。 本問の背景は,三角関数を厳密に定義する際に,円弧の長さを評価するために現 われる不等式である。証明に三角関数を敢えて用いなかったのもそのためであり, これから数学を学ぶ人がその先で循環論法に陥らないようにと考えてのことである。
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