第 20 号 平成 27 年 7 月 7 日 テーマ「食物繊維

第 20 号 平成 27 年 7 月 7 日
テーマ「食物繊維」
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①食物繊維とは…
ヒトの消化酵素で消化されない食物中の成分。食
物繊維は特有の生理機能をもち、人間の健康維
持増進に深く関与。
②食物繊維の種類
水溶性食物繊維:昆布、わかめ、こんにゃく、
果物、里芋などに多く含まれる
不溶性食物繊維:穀類、野菜、豆類、エビカニ
表皮に多く含まれる
生理作用
水溶性
不溶性
発酵性
腸内pH 変化
胃内滞留時間
胆汁酸結合
糞便重量
血清 Chol
食後血糖値上昇
広範囲で高い
低下する
長くなる
結合する
寄与しない
低下させる
抑制する
限定的で低い
変化なし
長くなる傾向
結合しない
増加させる
不明
不明
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③食物繊維の量
「日本人食事摂取基準 2015 年版」では以下のよ
うな目標量が記載されている。
食物繊維(g/日)
年齢(歳)
男性
女性
18~
20 以上
18 以上
70~
19 以上
17 以上
毎日の健康な排便のためには 1 日 20g、また心筋
梗塞による死亡率の低下が観察された研究では 1
日 24g以上との報告もある。食物繊維の摂り過ぎ
による健康障害はほとんどなく、逆に努力しないと
不足しがちである。
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●経腸栄養では…
当院採用経腸栄養剤の主な食物繊維含有量
製品名
GFO
15g
E-7Ⅱ
400ml
MA-R2.0
200ml
リカバリーニュートリート 267g
インスロー
400ml
エンシュアリキッド
250ml
エレンタール
80g
1 製品当たりの含有量
5.0g
4.0g
4.0g
6.0g
6.0g
0g
0g
経腸栄養施行時に多くみられる合
併症は下痢・便秘などの便通異常
である。下痢の原因として投与速度、
栄養剤の浸透圧、脂肪の消化吸収
障害、低栄養、栄養剤の温度、汚
染等が考えられる。便秘の原因とし
ては、脱水、宿便、閉塞などが考えられるが、これ
らに共通することは腸内環境の悪化、食物繊維の
入っていない栄養剤などがある。
食物繊維を投与することにより、腸内が弱酸性に
保たれ腸内細菌叢が改善され、酪酸などの短鎖
脂肪酸が腸内でつくられ腸粘膜状態を改善するな
どの作用から、下痢及び便秘を改善すると言われ
ている。
便性を整えることは、褥瘡の予防及
び悪化防止にもつながるので非常
に大切!!
●輸液管理では…
中心静脈栄養管理などで絶食期間が
長期になると小腸微絨毛が萎縮しバク
当院の常食
テリアルトランスロケーションのリスクが高
食物繊維量
くなるが、食物繊維を摂取することにより
約 18g/日
発酵し産生された短鎖脂肪酸は大腸から吸収され、
エンテログルカゴンの分泌を促進し、大腸粘膜や
小腸微絨毛を増殖させ、バクテリアル
腸管内細菌が粘膜バリアーを
トランスロケーション発生を抑制する。
通過して体内に移行する状態