第7章 財政・金融政策とマクロ経済 11月20日(木) 1 限目 7.7-4. IS-LM モデルのエッセンス IS-LM 分析のエッセンス ⇒ 財市場と資産市場を均衡させる、“GDP(Y)”と “利子率(r)” の水準について考えること。 財市場と資産市場の“均衡式” Y [C0 cY ] I (r ) G (財市場) M L(Y , r ) (資産市場) C0: 独立消費、 c: 限界消費性向 I(r): 投資、 G: 政府支出 M: 貨幣供給量、 L: 貨幣需要量、 Y: GDP(所得) 2 7.7-4. IS-LM モデルのエッセンス <IS 曲線> 財市場の均衡式を整理すると、次のようになる。 C0 I ( r ) G Y 1 c GDPの水準は、(独立消費と投資と政府支出の和)に乗数(1/(1-c)) をかけたもの。 ⇒ 利子率(r)が低くなるほど、投資 I(r)の増加を通じて、 GDPである Y が大きくなることが分かる。 ⇒ この利子率(r)とGDP(Y)の関係を表したのが “IS曲線“ 3 7.7-4. IS-LM モデルのエッセンス 利子率(r) IS 曲線: (消費や政府支出などを一定とした時の) 財市場を均衡させる利子率(r)とGDP(Y) との組み合わせ A r1 B r2 IS 曲線 0 Y1 Y2 GDP(Y) 4 7.7-4. IS-LM モデルのエッセンス 利子率(r) 消費(C)や政府支出(G)の増加 C0 I ( r ) G Y 1 c ⇒ IS 曲線の右方向へのシフト r IS’ IS 0 Y Y’ GDP(Y) 5 7.7-4. IS-LM モデルのエッセンス <LM 曲線> M L(Y , r ) (資産市場) 左辺のMは“貨幣供給量” ⇒ 日銀によって決まる 右辺のLは“貨幣需要関数” ⇒ Yの増加関数、 r の減少関数 貨幣供給量(M)は一定(日銀が決めるので、動かせない)なので、 貨幣需要(L)もそれに等しく一定でないといけない。 ⇒ もし Y が増加すると、それによって貨幣需要(L)が増加しようとする。 ⇒ これを打ち消すために、利子率(r)が上昇しなければならない。 6 7.7-4. IS-LM モデルのエッセンス つまり、資産市場の均衡式が成り立つためには、 ⇒ Y の増加による貨幣需要の増大と、 r の上昇による貨幣需要の 減少が、ちょうど打ち消しあう必要がある。 ⇒ この利子率(r)とGDP(Y)の関係を表したのが “LM曲線“ ⇒ LM曲線は 右上がり 7 7.7-4. IS-LM モデルのエッセンス 利子率(r) LM 曲線 r2 LM 曲線: (貨幣供給量Mが一定の時の) 貨幣市場を均衡させる r と Y の組み合わせ r1 0 Y1 Y2 GDP(Y) 8 7.7-4. IS-LM モデルのエッセンス 利子率(r) 貨幣供給量(M)が増加 ⇒ LM 曲線は右にシフト 0 LM LM‘ GDP(Y) 9 7.7-4. IS-LM モデルのエッセンス 利子率(r) LM IS曲線とLM曲線の交点: 財市場と資産市場の両方を 均衡させる “r” と “Y” の組み 合わせ E r* IS 0 Y* GDP(Y) 10 7.7-5. IS-LM モデルによる財政金融政策の効果 利子率(r) 政府支出(G)の増加 LM GDPの増加(Y1* ⇒ Y1) 資産市場で貨幣需要増加し、 利子率が上昇(r1* ⇒ r2*) E’ r2* GDPの減少(Y1 ⇒ Y2*) E’’ E r1* IS’ IS 0 Y1* Y2* 拡張的な財政政策の効果 Y1 GDP(Y) 11 7.7-5. IS-LM モデルによる財政金融政策の効果 利子率(r) LM LM’ 貨幣供給量(M)の増加 利子率(r)が減少 (r1* ⇒ r2*) E r1* E’ r2* IS 0 Y1* Y2 * 金融緩和政策の効果 GDP(Y)の増加 (Y1* ⇒ Y2*) GDP(Y) 12 7.7-5. IS-LM モデルによる財政金融政策の効果 <財政政策> 拡張政策 ⇒ IS 曲線の右方シフト ⇒ “利子率 上昇“、”GDP 上昇” 引き締め政策 ⇒ IS 曲線の左方シフト ⇒ “利子率 減少“、”GDP 減少” <金融政策> 緩和政策 ⇒ LM 曲線の右方シフト ⇒ “利子率 減少“、”GDP 上昇” 引き締め政策 ⇒ LM 曲線の左方シフト ⇒ “利子率 上昇“、”GDP 減少” 13
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