科目名 : 数理科学特別講義 IX 講義題目 : p(x)

科目名 : 数理科学特別講義 IX
講義題目 : p(x)-エネルギーを最小化する写像の正則性について
講師 : 立川 篤(東京理科大学・理工学部・数学科)
講義の目標 : 変分問題の解の正則性について,特に p(x)-energy と呼ばれ
るタイプの汎関数を最小化する写像の正則性に関する最近の結果につ
いて概説する.
講義概要 : 写像 u : Ω → Rn (Ω b Rm ) に対して,
∫
f (x, u, Du)dx
F(u) :=
Ω
により定義される汎関数 F を考える.ただし,f (x, u, ξ) : Ω × Rn ×
Rmn → R は各変数に関する連続性等について適当な条件を満たす関数
で,特に ξ に関する増大度について次の条件を満たすものとする.
q ≥ p ≥ 1 と,ある定数 Λ ≥ λ > 0 に対して
λ|ξ|p ≤ f (x, u, ξ) ≤ Λ(1+|ξ|2 )q/2 ∀(x, u, ξ) ∈ Ω×Rn ×Rmn
が成り立つ.
p = q = 定数 のとき,standard growth,それ以外の場合は non-standard
growth と呼ばれている.この non-standard growth の特別な場合として,
ある関数 p(x) に対して,p = q = p(x) となっている場合を p(x)-growth
と呼ぶ.
本講義では,p(x)-growth の汎関数の典型的な例として,p(x)-energy
E(u; Ω) :=
∫ (∑
n
m
∑
Ω
g αβ (x)hij (u)Dα ui (x)Dβ uj (x)
)p(x)/2
dx,
i,j=1 α,β=1
((g αβ (x)),(hij (u)) は対称な正定値行列)を考え,E を最小化する写像
の正則性に関する最近の結果について解説する.
本講義で正則性を得るために用いる手法は,Morrey の Dirichlet growth
theorem を用いて H¨older 連続性を得るという古典的なものである.従っ
て,特に目新しい概念の導入等は無いが,多くの非線形の問題同様,計
算の煩雑さは避けて通れない.p(x)-growth の場合は,standard growth
の場合に対する手法を微調整しながら,言わば「モグラたたき」の様に
評価を繰り返していくことになり,計算は相当煩雑である.
評価方法 :レポートによる