セラミックス - 学術情報センター

セラミックス
第4回目
5月 11日(火)
担当教員:永山 勝久
『単結晶体の代表材料』
半導体Si [ 図1 参照 ]
Si・・・精製による高純度化→電気抵抗の増加
99.999%:100kΩ ( 絶縁体 )
半導体Si : 0.01% ( 1万分の1,100ppm ) の不純物ドープにより,
電気抵抗が1Ω以下 ( 10万分の1以下に低下 )
・・・不純物ドープ:p型:3価元素添加 ( Bなど ) 電子が1個 不足
n型:5価元素添加 ( Pなど ) 電子が1個 過剰
国際宇宙ステーション
きぼう利用 日本実施テーマ
「Containerless Crystallization of
Silicon in Microgravity の新推進体制」
テーマ提案者:永山勝久、栗林 一彦 (日本、芝浦工大)
共同研究者:Dieter M.Herlach (ドイツ航空宇宙局:DLR)
本学初の国際特許:PCT
自由落下部3mのショートドロップチューブを用いた
次世代高効率太陽電池用球状単結晶Si生成
国際特許出願番号:PUT/JP2008/073948
国際特許出願日:2008年12月25日
(a) アクセプタとホール
(b) ドナーと電子
図1 不純物半導体のホールと電子
単結晶Si の作製 ( m.p. = 1412℃ )
通常冷却・・・融点以上からの徐冷→多結晶Si
単結晶Si・・・単結晶を溶融部に接触させ,融体から徐々に引下げる [ CZ法 ]
(工業的には直径300mmの単結晶が生産可能)
多結晶体・・・
結晶粒 ( grain ) : 粒内の原子配列は一定 ( 整合 )
結晶粒界 ( grain boundary ) : 原子の配列が不整合 ( エネルギーの高い状態 )
粒界・・・電子の運動を妨害する ( 易動度,mobilityが低下 )
半導体・・・ドープした微量元素が粒界に集中し,粒内での効果が発生しないため単結晶化する
※ 単結晶製造法[CZ法:チョクラルスキ-(Czochralski)法]
単結晶の種子結晶を高周波溶解や抵抗加熱法によって加熱・溶融し、
下部に設置された溶融体と接触し、上部に引上げ種子結晶と同じ方位
を有する単結晶を成長させる
・・・半導体Si製造用装置(~10インチ・ウエハ-作製用←大口径化)
固体Si-融液Siの接触界面における結晶成長(Crystal Growth)
図 CZ法で作製したBi12SiO20単結晶
図 単結晶製造装置(チョクラルスキ-法)
物質創製科学
現状の材料のプロセスと既存核生成機構
○ 材料(物質)の製造(現状の材料プロセス)
(ex. 金属合金,半導体,無機,有機(含 医薬品)材料)
結晶成長(Crystal Growth)
気相プロセス(ex. 半導体,薄膜材料など)
液相プロセス(ex. 単結晶材料のMelt Growth)
固相プロセス(ex. メカニカルアロイング,粉末焼結)
核生成(Nucleation)
※ 全ての材料の結晶成長の前駆段階としての
統一的現象および理論
(固相法の場合は,界面 growth が支配)
既存・核生成理論(核生成機構)
1. 均一核生成(Homogeneous Necleation)
・・・理想状態下で生じる本来の核生成現象
2. 不均一核生成(Heterogeneous Necleation)
・・・通常の材料製造・作製時における核生成現象
(ex. 基板上への薄膜作製,液相からの結晶作製(←溶融・凝固)
※ 核生成理論の推移
1926年:Volmer, Weber (Z. Phys. Chem, 119 (1926) 277.
1950年:D. Turnbull (J. Chem. Phys., 18 (1950)198.
既存核生成理論
核生成に対 表面自由エ
する駆動力 ネルギー項
体積自由エ
ネルギー項
均一核生成 ・・・
不均一核生成・・・
ΔG(T, r)
r
σLS
ΔGv
θ
: 核生成に伴う系の自由エネルギー変化
: 核の半径
: 固-液間における界面エネルギー
: 温度 T における単位面積当たりの固液間における
自由エネルギーの差
: 異種固相上に形成された凝固相(結晶化する液相)
のなす角・・・異種固相(不均一核生成サイト)と液相
(核生成する凝固相)との接触角(濡れ角)
θ: 異種固相上に形成された凝固相(結晶化する液相)のなす角
・・・異種固相(不均一核生成サイト)と液相(核生成する凝固相)
との接触角(濡れ角)
異種固相に対してθ≒ 180°ならば,均一核生成として扱える.
既存「核生成理論」(Nucleation Theory)
均一核生成,不均一核生成ともに;
安定(平衡)結晶の成長のみを仮定した統一的理論
21世紀の材料科学(物質科学:Materials Science)
における新たな展開
1. 従来の安定平衡物質(製造,材料物性)の延長でよいか?
2. 既存概念にない新たな構造と物性を発現する.
⇒ 新物質創製(≡非平衡相,非平衡物質)の探索
既存核生成理論に変わる
新たな『非平衡相の核生成理論』構築の必要性