ジャガイモで独楽は作れるか? 安定に回転させる条件は? 鉛筆は独楽になるか? Can we make a top of a potato? C-3 尾島 悠莉 S-3 藤原 直茂 S-3 森 光晴 (担当:平板組み合わせモデル物体による回転安定性・慣性モーメント測定) (担当:ジャガイモのコマ) (担当:鉛筆状円柱の回転安定性) 概要 安定に回る独楽の条件を見つけるためにアクリル板を組み合わせたモデルを作製して回転の様子を調べた。モデルの慣性モーメントを特徴的な軸 周りに測定し、回転との関係を考察した。その結果、回転軸が慣性モーメント最大の慣性主軸に一致し、かつ回転軸の接地点が存在するとき安定に回転で きることが分かった。この考察結果を応用して、いびつな形状のじゃがいもを独楽化する方法を見つけた。また、独楽として回りにくいと考えていた鉛筆 を安定に回転させる方法を実験的に調べた。 結論 1/Iz 物体を安定に回転させる条件 Ix = Iz > Iy 慣性モーメント最大の慣性主軸回りの回転で も,回転軸が変化できると回転に対応する接地 点が確保できない場合、安定に回転できない。 1.回転軸が重心を通ること 重心を通らないと軸自体が回転してガタツク.無理に回すには,外部か ら向心力となる力を加える必要がある. 2.回転軸が慣性主軸と一致していること 回転軸と角運動量の向きがずれると軸の方向が回転する.無理に回すに は外部からトルクを加える必要がある. 3.回転軸が慣性モーメント最大の慣性主軸と 一致していること 1/Iy 1/Ix モデルDの慣性楕円体 ジャガイモ を安定に回すには,最大慣性モーメントを持つ慣性主軸を見つ けることがポイント. 1.ジャガイモをつるす 2.ジャガイモを吊るした状態で回す 3.回転軸がぶれないポイントを探す 4.軸がぶれない点とその真下をマーキングする 5.マーキングした2つの点を通るように軸を通す 手順 回転が下がると運動量を保存したまま回転軸の方向が変化する. 4.回転軸となる接地点があること 床に点で接地しないと摩擦力を受けて回転が停止する. z 通常の独楽の場合の慣性楕円体 物体には直交する慣性主軸が3つある.ジャガイモでコマを作るには3つの 中で慣性モーメントが最大になる慣性主軸を上記の方法で探す必要がある. さらに,条件4を満足するため軸の下端が床に接する必要がある. Iz > Ix = Iy 青:等角運動量面(等L面) 白:等エネルギー面(等E面) y x 等L面と等E面が交差する点が角速度 の方向と大きさになる.各慣性主軸回りの 慣性モーメントの大きさが独楽の回転安定性に重要な関わりを持つ. ジャガイモ独楽(軸は割りばし) モデル物体 k I T I0 の慣性モーメントの測定は測 定対象物を図のようにテグスの先に吊り下げて ねじり振動の周期Tから求めた。慣性モーメント をとすると、被測定物の慣性モーメントI は左 式により求まる。 2 kT I0 4 2 鉛筆 大成功! 安定に回転するジャガイモ独楽 は独楽に似た形をしているが回りそうに思えない. z E 減少 z Iz < Ix = Iy 1 ○ ① I ② x ③ ③ 実験のために作製したモデル物体につ いて測定された各軸回りの慣性モーメ ントは以下の通り. E減少で回転軸の方向が変 化.回転軸は不安定. ② モデルA モデルB 板の形…円 板の数…2枚 回らない 板の形…円 板の数…3枚 どの軸でも回る y x y 鉛筆のようなz軸に長い物体の慣性楕円体 円柱の高さを h 半径を r とすると,円柱の慣性モーメント Iz,Ix は以下のようにな る. ① 表1:4つのモデルの慣性モーメント ① サンプル 回転軸 A ① 4.54 8.67 5.88 23.12 ② 6.95 8.59 1.204 23.29 ③ 6.84 B C D 8.74 ② 11.1 (×10 -7 Iz ③ ② モデルC 板の形…卵型 板の数…2枚 回らない モデルD 板の形…楕円、円 板の数…3枚 ①,②を軸に回る r h 円柱が回る条件は,Iz>Ix なので, 2 kg・m ) A,Cは軸①周りに回転させると条件2まで満足する。うまく軸が立ったまま回転すれ ば回るが、すぐに不安定になる。 A,Cは軸①に直交する軸周りの慣性モーメントが最大なので、条件3までを満足し, 軸②の周りに安定に回りそうだが、板の数が少ないため、条件4を満たさず,すぐに回 転が止まる。 BとDはAやCよりも板の数が多いため回転軸の方向が変わっても接地点が存在する場 合があり、回りやすい。 Bは慣性モーメントに方向性がないため、どの軸でも安定に回転するが回転軸の方向 は一定せず、③の方向が回転軸になると条件4を満足できず回転が止まる。 Dのコマは、③に直交した軸周りの慣性モーメントが最大で、かつ面内で方向性がな い。AやCとの違いは途中に接地点となる板があることで、上記条件4を満たし、回転 軸の方向が変わっても安定に回ることができる。 Iy Ix よって,高さhが半径rの 回る. 倍より小さければ理論上,鉛筆は しかし、実際はh> 3 rでも回る。角速度 を非常に大きくす れ ば,h> 3 rでも回すことは可能である。つまりおもいきり速 く回せば長い鉛筆でもコマになる。 また,右図のように軸先に丸い物をつけると摩擦によるトルク で軸を直立させる作用が働き安定に回る。
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