「ただいま文庫」子育ち拠点

「ただいま文庫」子育ち拠点
坂手港の旧JA事務所は、去年の瀬戸内国際芸術祭 2013 で
は、ei( 小豆島の方言で良いところの意味)と名付けられ、観
光案内とアーティスト、クリエイターらがワークショップを
したり、地域の人たちが交流する場として賑わいました。
芸術祭終了後も、引き続き、ei の 1 階では、地元の皆さん
が観光案内の場所としたり、地元の皆さんが気楽にくつろぐ
場所となっています。
京都造形芸術大学在学中に、坂手港待合所に、
「小豆島縁起
絵巻」という壁画を描いた岡村美紀さんは、その後も小豆島
に残り、今は小豆島町の地域おこし協力隊員として、子ども
たちの絵画教室を、ei の1階で開催しています。 岡村さん
の絵画教室が開かれている日は、50 人を越える子どもたち
交流の場として
さまざまな役割を担う
「ei」
が小豆島中から集まって、熱心に、楽しく、ときに厳しく、
岡村さんと一緒に絵画づくりに取り組んでいます。
その光景を見ながら、小さな変化がここで起きようとして
いると感じています。小豆島は、自然など魅力にあふれたと
ころなのに過疎化・人口減少に苦しんでいます。とくに、か
つて京阪神の玄関口で あった坂手地区はそうです。
ジャンボフェリーという神戸と結ぶ航路の就航と芸術祭で
の賑わいは、これからの坂手地区、小豆島の可能性を示唆す
るものでしたが、その賑わいを、地域でどう具体化し、どう
持続させるか、私に とって、重たいテーマでした。
小豆島再生の鍵は、未来を担う大勢の子どもたちが健やか
に育ち、その子どもたちが、引き継がれた小豆島の素晴らし
アーティストやクリエイターらの
絵本の寄贈により完成した
「ただいま文庫」
いものを、さらに磨いて次代に引き継いでいける循環の仕組
みをつくれるかにどうかにかかっています。
岡村さんの取り組みは、間違いなく、その一歩となってい
ます。子どもたちの歓声を聞くことが少なくなっていた坂手
に子どもたちの歓声が戻ってきました。しかも、小豆島町だ
けでなく、小豆島中から。
子どもたちは、ただ集まるだけでなく、自分の頭で自由に、
伸びやかに考え、行動すること、いろいろな子どもたちと触
れ合うことなど、子どもたちが健やかに成長する上で大切な
ことを学んでいます。
今度、その ei の 1 階に、もうひとつの新しい子育ち拠点が
できました。それが
「ただいま文庫」
です。
「ただいま文庫」
には、
芸術祭で来られたアーティスト、クリエイターらの皆さんが
「ただいま」と言う想いで、小豆島のこどもたちへ贈っていた
だいた絵本がたくさんおいてあります。小さなスペースです
が、子どもたちは、そこで絵本を読んだり、遊んだりするこ
とができます。
「ただいま文庫」
オープニング
セレモニーのようす
「ただいま文庫」は、たくさんのアーティスト、クリエイター
らの皆さん、地元の皆さんの協力でできあがりましたが、新
しく発足した「小豆島アートデザインプロジェクト」の松尾
由美さん(和歌山出身、芸術系大学に学び、大阪のMUES
UMという編集会社を経て、小豆島に移住されています)が
中心になってつくりあげてくれました。今後の運営も松尾さ
んが中心になります。
岡村さんの絵画教室と松尾さんの「ただいま文庫」を合わ
せると、この場所は、ちょっとしたというより、立派な子育
ち拠点になっています。
そうです。ちょっとした工夫と知恵をあわせるだけで、こ
「ただいま文庫」の運営中心者
松尾由美さん
れだけのことができるのです。坂手という小豆島という京阪
神の玄関口で、地元の皆さんと小豆島の外から来られたアー
ティスト、クリエエイターらの皆さんとのコラボや、子育て、
子育ちのすべての関係者の皆さんとの知恵と力をあわせて、
新しい子育ちの取り組みを、これからいろいろなかたちで、
地域全体でやってみようと思います。
(平成 26 年 6 月 9 日)
岡村美紀さんはホワイトボードを使い
即興の紙の無い紙芝居を披露しました