• 特別な和の値(導出は難しい) ∞ 1 π2 , = n2 6 n=1 ∞ 1 π2 (−1)n+1 2 = , n 12 n=1 ∞ n=1 1 π2 = (2n − 1)2 8 • 至る所不連続だがリーマン積分可能な関数:記号 (x) を「x に最も近い整数」 とする。例えば (1/3) = 0, (7/4) = 2 など。ただし最も近い整数が 2 つある とき((1/2) や (7/2) など)には (x) = 0 と定めることにする。こうして (nx) (x) (2x) (3x) + 2 + 2 +··· = 1 2 3 n2 n=1 ∞ f (x) = と定める。 – 右辺の級数はすべての x で収束する。(|(nx)| < 1 に注意)だから、こ の関数はすべての x に対して問題なく定義されている。 p – しかし、n と p を互いに素な整数で p を奇数とするとき、x = 2n とおく p p と、(nx) = ( 2 ) = 0 となる。しかし x = 2n にいくらでも近くの数で、 どのような整数 n でも (nx) = 0 とならないものがあるから、f の定義 によってその点で f は不連続である: 1 (1 + 2n2 1 f (x − 0) = f (x) + 2 (1 + 2n 1 1 + 2 + · · · ) = f (x) − 2 3 5 1 1 + 2 + · · · ) = f (x) + 2 3 5 f (x + 0) = f (x) − π2 16n2 π2 16n2 (1) (2) – しかもそのような分数で表示される点 x はどのような微小区間にも無数 にかつ稠密に存在する。従ってこの関数はすべての点で不連続である: 12 12 "riemann.dat" "riemann.dat" 10 10 8 8 6 6 4 4 2 2 0 0 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 – 【リーマン積分可能性に対するリーマンの定理】ある関数 f (x) がリー マン積分可能である必要十分条件は、関数 f は有界であり、しかも任意 の σ > 0 に対して、変動が σ よりも大きくなる区間の長さの和をいくら でも小さくできることである。 1 • リーマン積分不可能な至る所不連続な関数:f (x) を x が有理数のときに 1 で 無理数のときに 0 を取るような関数とすると、どのような区間でも変動は 1 であるから、リーマンの定理によって積分不能である。(またはダルブーの 不足和は常に 0 で過剰和は常に 1 を採用して計算されるから、これらが一致 することはない) • 【ダルブーの定理】有界閉区間上で連続な関数はリーマン積分可能である。 • 有界閉区間 [a, b] と c ∈ (a, b) に対して、f (x) が [a, b] 上で積分可能であるこ とと、[a, c] および [c, b] の両方で積分可能であることは同値であり、 c b b f (x) dx = f (x) dx + f (x) dx a a c が成り立つ。 • 関数 f が [a, b], [b, c], [a, c] 上で積分可能であるとき、 c c b f (x) dx + f (x) dx = f (x) dx a b a が成り立つ。ただし a > b のときには b f (x) dx = − a a b f (x) dx と定義する。 • 【積分の性質】 – 積分は線型汎関数である:α, β ∈ R とするとき、f と g が [a, b] 上積分 可能であれば αf (x) + βg(x) も積分可能であって、 b b b αf (x) + βg(x) dx = α f (x) dx + β g(x) dx a a a b が成り立つ。これを L(f ) := a f (x) dx と書くと L(αf + βg) = αL(f ) + βL(g) と書け、L は実数値の線型写像(線型汎関数という)ということ がわかる。 – f (x) が [a, b] で積分可能であれば、|f (x)| も [a, b] で積分可能であって、 b b ≤ f (x) dx |f (x)| dx a a が成り立つ。【注意】広義積分のときには |f (x)| が積分可能かどうかは 一般には不明になる。 2 – f (x) と g(x) が [a, b] 上積分可能で、f (x) ≤ g(x) であれば a b f (x) dx ≤ b g(x) dx a が成り立つ。 • 【平均値の定理】f (x) が [a, b] 上で連続とする。すると、 b a f (x) dx = f (c)(b − a) を満たすような (a, b) 上の点 c が存在する。f が積分可能であっても連続と は限らない場合には、積分が m(b − a) となる値 m はあるが、m = f (c) とな る点 c があるかどうかは分からない。 • 【微積分の基本定理】f が連続関数のとき、積分は微分の逆である。つまり x d f (t) dt = f (x) dx a が成り立つ。特に、f (x) が連続のとき、F (x) を f の(何でもいい)原始関 数、つまり F (x) = f (x) が成立するような任意の F に対して b a f (x) dx = F (b) − F (a) が成り立つ。 • 【狭義積分と広義積分】有界閉区間 [a, b] 上で有界な関数 f に対する積分 b f (x) dx を狭義積分という。もし区間が有界でなかったり、関数が有界で a ない場合には、まだ積分を定義できていない。その場合には問題なく定義で きる有界閉区間上の有界関数の積分を考えてから、極限を取って定義する。 それを広義積分という。単純に定義を拡張できないのは、次のような危険性 があるからである。 • 【数列の和の条件収束と絶対収束】数列 an に対して、絶対値を取ったものの ∞ ∞ ∞ 和 |an | が収束するとき、 an は絶対収束するという。( |an | < ∞ な ら n=1 ∞ n=1 n=1 ∞ an < ∞ である。)もし n=1 an < ∞ だが ∞ n=1 n=1 |an | = ∞ であれば、 ∞ n=1 an は条件収束しているという。 • 条件収束している数列は、その和の順番を入れ替えると、任意の値に収束す るようにできる。 3 – まず、条件収束しているから an には正のものも負のものも混在している (すべてが同符号なら発散するか、絶対収束するかのどちらかである)。 − – そこで、a+ (a+ n と an を正部分、負部分と定義する。 n := max(0, an ), − + − − an := − max(0, −an ))。すると an = an − an , |an | = a+ n + an が成り 立つ。 ∞ ∞ – 条件収束しているから、 a+ a− (【演習問題】 n = ∞, n = ∞ である。 n=1 少し考えてみよ。両方有限なら みが有限であれば ∞ n=1 ∞ n=1 n=1 |an | < ∞ となってしまう。一方の an が収束しない。) – そこで、収束させたい和の値を α とする。α を超えるまで a+ n のみを加 + え、その後 α を下回るまで a− n を引く。さらに α を超えるまで an を加 え、その後 α を下回るまで a− n を引く。これを繰り返す。これを繰り返 ∞ ∞ a+ a− (絶対収束 すことができるのは、 n = n = ∞ だからである。 n=1 n=1 しているときにはこれら両者が有限だから、この操作は途中でやめざる を得ず、今の議論は成り立たない) – ところが、この毎回の操作では α を超えたり下回ったりする総量は、当 然 an よりも小さい(足したり引いたりしているのが an なのだから)。 ∞ ところが an < ∞ だから、 lim an = 0 である。そうでなければ和は n→∞ n=1 発散するから。 – 従ってこのようにした和は α に収束する。 – 従って、条件収束するような場合には、 「和」という概念はそれほど強 い意味を持っていない。 • 【絶対収束の条件】もし数列 an が |an | ≤ c を満たしていれば ∞ n=1 1 n1+α , α>0 an は絶対収束する。これはすべての n で成り立たな くても、あるところ(どこでもいい)より大きな n で成り立っていれば成り 立つ。 • 【交代級数】数列 an は an > 0 でしかも単調減少、かつ lim an = 0 であると n→∞ ∞ n (−1) an は(一般に条件)収束する。 する。すると n=1 4
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